中卒でも自衛隊に入隊できる?入隊条件と流れをわかりやすく解説!

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中卒でも自衛隊に入隊できる?入隊条件と流れをわかりやすく解説!

自衛隊といえば、自然災害における被災者の救助や遭難者の捜索などを行う、国の安全を守るために設置された部隊。国家公務員で、安定した職業の一つとしても有名です。

そのため、「社会の役に立つ仕事がしたい」「頭より体を使う仕事を探している」という中卒の方の中には、自衛隊に入隊したいと考えている方もいると思います。しかし、入隊条件や入隊方法が分からないという方も多いでしょう。

そこで本記事では、中卒の成人男性に向けて、自衛隊の入隊条件と入隊方法を解説します!

中卒でも自衛隊に入隊できるのか、どのように入隊するのかを理解できるので、安定した仕事を探している方は参考にしてみてください。

中卒でも自衛隊に入隊できる条件と方法を紹介!

中卒でも自衛隊に入隊できる条件と方法を紹介!

はじめに、中卒が自衛隊に入隊する条件と方法を年齢別にご紹介します。

①15歳以上17歳未満なら「高等工科学校」に入学するのが最短ルート

15歳以上17歳未満であれば、「高等工科学校」に入学するのが最短ルートといえるでしょう。

高等工科学校とは、将来的に陸曹(3等陸曹~陸曹長の階級にある自衛官)になる人材を養成するための陸上自衛隊の学校です。正式名称は「陸上自衛隊高等工科学校」。また、高等工科学校に在学中の身分は、特別職国家公務員の「自衛隊員」となります。

高等工科学校の生徒の処遇
・手当として毎月収入が得られる
・駐屯地内での生活が必須で、宿舎を無料で利用できる
・食事や被服類、寝具は支給または貸与される
・週休2日制、祝日、年末年始休暇があり休みを取れる

生徒手当は、令和5年1月1日現在だと毎月106,900円が支給されます。ここから共済組合掛金などの控除があるため、実際の現金支給額は約80,000円程度となるでしょう。また、年2回(6月・12月)に期末手当の支給もあります。

【入隊条件】高等工科学校の応募資格は17歳未満の男子が対象

高等工科学校は推薦入学と一般入学の2つがあり、それぞれの応募資格は以下の通りです。

高等工科学校の応募資格
推薦:中卒(見込み含む)17歳未満の男子かつ学校長の推薦必要
一般:中卒(見込み含む)17歳未満の男子

また、それぞれの試験内容は以下の通りです。

推薦一般
口述試験筆記試験(作文を含む)身体検査【第1次試験】筆記試験:国語、社会、数学、理科、英語、作文
【第2次試験】口述試験(個別面談)身体検査

上記の試験に合格すると、4月から高等工科学校学生として採用され、入校することになります。提携する通信制高等学校に入学すると、生徒課程修了時に高等学校の卒業資格を取得することも可能です。

【入隊難易度】試験の倍率は一般で6.2倍!過去問題集で対策は必要

自衛隊への入隊難易度は決して低くありません。高等工科学校の試験の倍率は以下の通りです。

区分応募者数採用者数倍率
推薦3031042.9
一般1,4762376.2
合計1,7793415.2
参考:防衛省「令和3年度自衛官などの応募及び採用状況」(参照 2023-6-14)

一般で6.2倍の倍率なので、しっかり勉強して試験に臨む必要があります。一般の第1次試験は国語、社会、数学、理科、英語、作文の筆記試験。いずれも中学卒業レベルの問題が出題されますから、過去問題集を使って対策すると良いでしょう。

過去問題集は、出題傾向を理解するために過去5年分のものを選ぶのがポイントです。通販でも購入が可能なので、在庫がなくなる前に購入しましょう。

また、ただ過去問を解くだけではなく、勉強のコツを押さえて受験対策を行うことが重要です。以下の勉強法をしっかり押さえておきましょう。

ポイント
①過去問を購入する
高等工科学校 2022年版【2018~2022年実施問題集録】(自衛官採用試験問題解答集7)

②時間を気にしないで過去問を解く
まずは時間を気にせず、問題の難易度やどのような問題が出るかをざっくり把握する

③苦手科目と苦手問題を把握する
一通り問題を解いて採点後、自分にとっての苦手科目や苦手問題を把握する

④苦手科目と苦手問題の克服
苦手科目と苦手問題を中心に、徹底的に問題を解いて復習・克服する

⑤本番と同じ時間配分で過去問を解く
本番の時間に合わせて、国語・社会・理科を2時間、数学・英語を1時間40分で解く

⑥何度も問題集を解いて復習を繰り返す
本番の試験に向けて、②~⑤を繰り返して対策を徹底する

②中卒で18歳以上なら「一般曹候補生・自衛官候補生」に応募する

中卒で18歳以上なら、「一般曹候補生・自衛官候補生」に応募しましょう。

一般曹候補生とは、陸上、海上、航空自衛隊の曹(3曹~曹長までの階級)となる自衛官を養成する制度です。入隊して2年9ヶ月経ったあとに、選考により3曹へ昇任します。

自衛官候補生とは、自衛官になるために必要な基礎的教育訓練に専念する制度です。所要の教育を経て3ヶ月後に2等陸・海・空士(任期制自衛官)に任官。任期制自衛官として所要の教育訓練を受けたあと、各部隊・基地に配属されます。

そして、約9ヶ月後に1等陸・海・空士に昇任し、さらに1年後、陸・海・空士長に昇任します。

一般曹候補生と自衛官候補生、高等工科学校は中卒でも応募資格がありますが、それ以外は高卒以上の学歴がなければ応募資格がありません。

【入隊条件】応募資格は18歳以上33歳未満の男女が対象

一般曹候補生と自衛官候補生の応募資格は以下の通りです。

一般曹候補生と自衛官候補生の応募資格
日本国籍を有する18歳以上33歳未満の者
※32歳の場合は、採用予定月の末日現在、33歳に達していない者

高等工科学校と違い、一般曹候補生と自衛官候補生は男子だけでなく女子の募集も受け付けています。

また、試験の内容はそれぞれ以下の通りです。

一般曹候補生自衛官候補生
【第1次試験】筆記試験(国語、数学、英語、作文)適性試験
【第2次試験】口述試験身体検査
筆記試験(国語、数学、地理歴史及び公民、作文)口述試験身体検査

【入隊難易度】国語・数学・英語で高校卒業程度の学力があれば合格できる

一般曹候補生と自衛官候補生の倍率はそれぞれ以下の通りです。

区分応募者数採用者数倍率
一般曹候補生【陸】16,8004,0274.2
一般曹候補生【海】5,0071,5103.3
一般曹候補生【空】6,6119137.2
一般曹候補生【計】28,4266,4504.4
自衛官候補生【陸】17,5093,1675.5
自衛官候補生【海】4,5576736.8
自衛官候補生【空】6,2061,5104.1
自衛官候補生【計】28,2725,3505.3
参考:防衛省「令和3年度自衛官などの応募及び採用状況」(参照 2023-6-14)

高卒レベルの学力が求められるので、過去問を繰り返し解いて苦手科目や苦手問題を把握、克服するなどして対策を徹底することが必要です。

過去問は、自衛官のホームページや過去問題集を活用して勉強しましょう。

本番の試験と同様の時間配分で問題を解くことがコツといえます。出題の傾向や難易度をしっかり把握したうえで、繰り返し復習するようにしましょう。

中卒で自衛隊に入隊するメリット

中卒で自衛隊に入隊するメリット

続いて、中卒で自衛隊に入隊するメリットについて解説していきます。

国家公務員になるため社会的信用が高い

自衛隊は国家公務員なので社会的信用が高いのがメリットです。

国家公務員は国が雇用しているため、身分が保障されます。自衛隊なら一般企業のように倒産するといったリスクもないので、安定して働けるのも魅力の一つです。

また、社会的信用が高いというイメージが定着していることから、女性や企業からもプラスのイメージを持たれやすいでしょう。結婚や転職活動など、将来的に多くのチャンスを得られる可能性があります。

安定した給与と賞与が期待できる

自衛隊は安定した給与にくわえて、賞与も期待できるのがメリットといえます。

一般曹候補生自衛官候補生
初任給179,200円142,100円
賞与(採用2年目)約850,000円約810,000円
参考:自衛隊帯広地方協力本部「自衛官のお給料について」(参照 2023-6-10)

民間企業で働く中卒よりも高い給与が期待できるでしょう。自衛隊は等級と年齢に応じて収入がアップする給与体系のため、等級を上げることができればさらに高い給与が得られます。

また、自衛隊は駐屯地内では宿舎費無料で生活ができるので、家賃や水道・光熱費、食費などの生活費がかからないのも大きな特徴。制服や作業着、寝具も支給または貸与されますから、給与のほとんどを貯金にまわすことが可能です。

中卒で自衛隊に入隊するデメリット

中卒で自衛隊に入隊するデメリット

職が安定しているという点だけで自衛隊への入隊を決めてしまうと、思わぬミスマッチを起こしてしまうので注意しなければなりません。ここでは、中卒で自衛隊に入隊するデメリットについて解説していきます。

一般的な仕事よりも危険である

自衛隊は地上戦闘の骨幹部隊であり、災害地域における救助活動や捜索活動などを行うだけでなく、有事の際に必要な情報の収集、敵を撃破・捕捉するといった業務も担います。社会的貢献度が非常に高い仕事である一方、危険が伴う仕事でもあるのが大きな特徴です。

災害時や有事の際は最前線でさまざまな活動を行うため、怪我や命を落とすリスクもゼロではありません。身の安全が保障されない仕事であるという点に留意しましょう。

キャリアアップを目指すには道のりが厳しい

自衛隊でキャリアアップを目指すのは決して簡単なことではありません。一般の民間企業で働く中卒よりは安定した給与をもらえる可能性はありますが、より高収入を得るのであれば「防衛大学」へ進学しなければ難しいでしょう。

防衛大学を卒業すると「幹部候補生」になり、ようやく一般企業と同等の初任給をもらえるようになります。中卒が将来的な安定だけを求めて自衛隊に入隊するのは、道のりが厳しいためにコスパの悪い選択となることもあります。

転職する際の職種の選択肢が狭くなる

自衛隊に入隊している間は、自衛隊としての業務を全うするため、一般企業で求められるスキルを身につけにくいのが特徴です。そのため、自衛隊から転職する際は選べる職種が狭くなってしまう可能性があるのが、デメリットとして挙げられるでしょう。

一方、自衛隊で培ってきた体力や忍耐力などのスキルを活かせば、以下のような仕事に転職できる可能性もあります。

自衛隊からの転職がしやすい職種
・警備員
・スポーツインストラクター
・木工
・清掃員
・トラックドライバー
・営業職

高等工科学校を卒業したあとのキャリアは?

高等工科学校を卒業したあとのキャリアは、大きく以下の2つに分かれます。

  • 陸上自衛官として任官
  • 防衛大学へ進学または航空学生

高等工科学校を卒業後は、原則的に4月1日付けで「陸士長」の階級が与えられ、陸上自衛官として採用されます。そこから約1年間の教育を経て3等陸曹へ任官し、ようやく自衛隊の中核になることができるのです。

一方、防衛大学に進学または航空学生になるという進路を選択するケースもあるでしょう。先述したように、防衛大学に進学して卒業できれば、幹部候補生になれます。

いずれにしても、階級が細かく設けられている自衛隊は、一定期間の教育を経てキャリアアップを目指していくため、今すぐのキャリアアップは望めません。じっくり時間をかけて自衛隊としてのキャリアを積んでいきたいという人に向いている進路といえるでしょう。

また、キャリアアップへの道のりが厳しいことから途中で転職を検討する人も少なくありません。

自衛隊から転職をするなら、資格取得を目指すのがおすすめです。大型自動車運転免許を取得してバスの運行会社や建設会社に転職、消防整備士の資格を取得してビルメンテナンス会社や公共施設に転職というように、特定の資格を取得できれば転職先の幅が広がるでしょう。

中卒で自衛隊に入隊は可能!出世や給与面をよく考えて決めよう

ここまで、中卒で自衛隊に入隊する方法や入隊するメリット・デメリット、卒業後のキャリアについて解説してきました。今回解説した内容をおさらいしていきましょう。

まとめ

  • 自衛隊の入隊方法は、15歳以上17歳未満なら「高等工科学校」へ入学、18歳以上33歳未満なら「一般曹候補生・自衛官候補生」に応募するのが最短ルート
  • 中卒で自衛隊に入隊すると、国家公務員として社会的信用を得られる、安定した給与と賞与が期待できるなどのメリットがある
  • 中卒で自衛隊に入隊すると、一般的な仕事よりも危険である、キャリアアップが難しい、転職する業種が狭くなるなどのデメリットがある
  • 高等工科学校卒業後のキャリアは、陸上自衛官として任官、防衛大学へ進学または航空学生、別の業界へ転職などが挙げられる

以上のポイントを押さえて、自分の希望するキャリアや給与面をよく考えたうえで自衛隊に入隊するかどうかを決断しましょう。

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