「ご挨拶させていただきます」は、ビジネスシーンにおける挨拶の冒頭や、初対面の相手とのやり取りで使われる表現です。
一方で、「させていただきます」を使う場面や頻度には注意も必要です。
この記事では、「ご挨拶させていただきます」の意味や正しい使い方、ビジネスメールでの例文などを詳しく解説します。
場面に応じた適切な言葉遣いを身につけ、良い人間関係を築くきっかけを掴んでください。
「ご挨拶させていただきます」は上司や目上の人に使用して良い

「ご挨拶させていただきます」は、上司や目上の人に使っても問題ない表現です。
相手への敬意を込めながら自身の立場を謙虚に示すことができるので、丁寧な挨拶の定型句として口頭・文面を問わずビジネスシーンで広く用いられます。
たとえば、初対面の取引先の人にアポイントを取りたいときや大事な商談の場面などに使えるでしょう。
「挨拶」という単語に謙譲語の「ご」「させていただく」をつけることで、挨拶する機会をもらえたことに関する感謝の気持ちを相手に伝えられるのです。
日常的なやり取りで使うにはややかしこまった表現なので、使用するタイミングには注意が必要です。
「ご挨拶させていただきます」の意味と語源

「ご挨拶させていただきます」は、相手への敬意を示しつつ挨拶する機会をもらえたことへの感謝を伝える表現です。
このフレーズは「ご挨拶」「させていただき」「ます」という3つの言葉が組み合わさっています。
- 「ご挨拶」:「ご(御)」をつけて丁寧さを表した、挨拶を受け取る相手を敬う謙譲語
- 「させていただき」:「させてもらう」の謙譲語で、相手からの許可や恩恵を受けるという意味が含まれている
- 「ます」:文末を整える丁寧語
「ご挨拶させていただきます」ということで、相手に謙虚で丁寧な印象を与えられます。
ただし、場面によっては「ご挨拶いたします」のほうが簡潔で自然なケースもあるため、相手との距離・場のフォーマル度に合わせた言葉選びをするのが重要です。
「ご挨拶させていただきます」の使用例

「ご挨拶させていただきます」の具体的な使用例を紹介します。
例文
「僭越ながら、ご挨拶させていただきます」
「ご挨拶をさせていただきたく、ご連絡いたしました」
「先日、貴社の〇〇様にご挨拶させていただきました」
これらのフレーズは、ビジネスメールの書き出しや初対面で挨拶をする際など、主に改まった自己紹介・訪問・開始のタイミングで使用されます。
また、相手の時間・場を借りて話し始める前置きとしても使える表現です。
何の前置きもなくいきなり自己紹介を始めると、場合によっては相手を驚かせてしまったり、急かしてしまったりするでしょう。
しかしクッションのような役割を果たす言葉を挟むことで、相手も聞く姿勢を整えやすく、さりげない配慮が示せます。
「ご挨拶させていただきます」を使う際の注意点

「ご挨拶させていただきます」は、目上の人にも使える非常に丁寧な表現です。
しかし、相手との距離感やシチュエーションを考慮せずに使うと、不自然な印象になってしまうケースがあります。
ビジネスの場で適切に「ご挨拶させていただきます」を使えるよう、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 「させていただきます」を使う場面に注意する
- 「させていただきます」を多用しない
- 「いただく」は漢字表記にしない
ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説していきます。
①「させていただきます」を使う場面に注意する
挨拶をするときの「させていただく」は、相手に挨拶する機会をもらえたことに対する感謝の意味合いが強いです。たとえば、以下のような場面で使用します。
例文
「新しい部署に着任するにあたり、ご挨拶させていただきます」
この場合、新しい部署で顔合わせの挨拶を行うことを許可されているので、「させていただく」が適切です。
一方、会社の同期や後輩など、わざわざ許可を取る必要のない相手や、すでに長い関係性が構築されている取引先に対して「させていただく」を使うのはかえって不自然になるケースもあります。
近年のビジネス現場では「~させていただく」が慣習化されてしまっていますが、本当に適切な場面なのかを見極めるのが重要です。
②「させていただきます」を多用しない
「~させていただく」を多用するのはやや過剰な表現で、相手に不快な印象を与えてしまう場合があります。そのため、一文の中や短い会話の中で何度も使うのは避けましょう。
「~させていただく」は文法としては正しいものの、多用するとまわりくどくなってしまい、本当に伝えたい内容が相手に正しく伝わらない可能性があります。
×悪い例
「お時間をいただきますことを感謝させていただきます。まずはご挨拶させていただきます」
○良い例
「お時間をいただきありがとうございます。まずはご挨拶させていただきます」
このように、謙譲語と丁寧語を過度に盛り込むより、短く言い切ったほうが誠実さがストレートに伝わります。
③「いただく」は漢字表記にしない
ビジネスメールや文書で使用する場合、「いただく」はひらがなで表記するよう意識しましょう。なぜなら、「いただく」は動詞か補助動詞かで意味と役割が異なるからです。
もらう・食べる・飲むなどの謙譲語として使われる「いただく」は、言葉そのものが行動を示す動詞です。
対して「~していただく」「~させていただく」のように、他の言葉と連結している「いただく」は補助動詞であり、動詞本来の意味をほとんど持ちません。
「ご挨拶させていただきます」の「いただく」は、他の動詞にへりくだる意味を加える役割を持っているため、補助動詞にあたります。
「頂く」と「いただく」を使い分けられるかどうかも、ビジネスシーンにふさわしい敬語表現を身につける一歩につながります。
「ご挨拶させていただきます」のビジネスメールの例文

ビジネスメールにおける「ご挨拶させていただきます」は、主に初めて連絡する相手や担当が変わった際の一通目でよく使われます。
最初のメールの内容次第では第一印象の良し悪しにつながるため、適切な使い方を意識しましょう。
ここでは「ご挨拶させていただきます」を使ったビジネスメールの例文を、社内向け・社外向けに分けて紹介します。
使用時のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
【例文1】社内向けビジネスメール
異動・着任の連絡として、異動先の部署や上司に対して初めて挨拶をする際のビジネスメール例文を紹介します。
- 参考
- 件名:異動に伴う着任のご挨拶
〇〇部
〇〇部長
お疲れ様です。
本日付で〇〇部へ配属となりました、△△と申します。
取り急ぎメールにてご挨拶させていただきます。
これまでの経験を活かしつつ、一日も早く貢献できるよう努めてまいります。
新しい環境での業務となり、至らない点も多々あるかと存じますが、ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
社内メールの場合、主にこれから関係を築きたい相手に使われるケースが多いです。すでに面識のある同僚や上司など親しい間柄の相手に使うと、他人行儀な人だと思われる可能性があるため、注意しましょう。
【例文2】社外向けビジネスメール
すでに取引がある顧客に対して、取引先の担当が変わり、前任者からの引き継ぎとして初回連絡をする際の例文です。
- 参考
- 件名:担当者変更のご連絡および新任のご挨拶
株式会社〇〇
〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の□□です。
この度、前任の●●に代わり、貴社の担当を務めることになりました。
本来であれば直接お伺いすべきところ、まずはメールにてご挨拶させていただきます。
つきましては、日を改めてご挨拶に伺う機会を頂戴できれば幸いです。
前任者より業務を引き継ぎ、これまで同様に円滑なお取引ができますよう努めてまいります。
今後とも、末永くよろしくお願い申し上げます。
社外に向けて「メールにてご挨拶させていただきます」とする場合には、日を改めて直接挨拶に伺いたい旨を加えると、より丁寧な印象になるでしょう。
「ご挨拶させていただきます」以外の類似表現

「ご挨拶させていただきます」というフレーズは、他の類似表現に置き換えることも可能です。
相手や状況に合わせて言葉を選ぶと、より自然にコミュニケーションが取れ、相手との距離も縮まるでしょう。
- ご挨拶申し上げます
- 挨拶に代えさせていただきます
- お目にかかりたく存じます
それぞれの表現が適しているシーンや正しい使い方を解説します。
①ご挨拶申し上げます
「ご挨拶申し上げます」は、「ご挨拶させていただきます」よりさらに改まった挨拶です。
初対面の取引先との商談や企業の式典・イベントのような、フォーマルな場面で主に使われます。
例文
「本プロジェクトのリーダーを務めることになりました、△△でございます。プロジェクト始動にあたり、一言ご挨拶申し上げます」
自分の挨拶をへりくだって伝える「ご挨拶申し上げます」は、相手を敬い立てる表現です。
「言う」の謙譲語である「申し上げる」に、丁寧語の「ます」をつけたこのフレーズは、最上級の敬意・丁寧さを表現したい場面に適しています。
ビジネスにおいて特に格式高い場面や公式の場で挨拶する際に、覚えておくと便利な言い回しです。
②挨拶に代えさせていただきます
「挨拶に代えさせていただきます」は、対面で挨拶できない場面で使う表現です。
本来であれば訪問・対面の形で挨拶すべきところを、文面で代替する際の結びの定型句としてよく使われます。
「代える」とは、同じ役割を別のものに代理・交代させるという意味です。つまりこのフレーズは、挨拶そのものを省略していることを示しています。
例文
「書面をもって挨拶に代えさせていただきます」
このフレーズはメールや書面の結びに使われるのが一般的ですが、スピーチや謝辞の最後など、口頭でも使用できます。
ただし、日常会話で使うには形式ばった表現なので、フォーマルな場面で使用すると良いでしょう。
③お目にかかりたく存じます
「お目にかかりたく存じます」は、主に取引先に対して面会の希望・依頼をメールで丁寧に伝えられる表現です。
「お目にかかる」は「会う」の謙譲語で、自分を低く表現して相手への敬意を示しています。また、「~したく存じます」は「~したいと思っています」の最上級の敬語表現です。
謙譲語を二重に重ねることで最上級の敬語表現となり、相手を立てながら自分の希望を伝えられるでしょう。
例文
「まずはメールにてご挨拶させていただきます。後日、改めてお目にかかりたく存じます」
上記の例文のように、「ご挨拶させていただきます」と組み合わせて使ったほうがより誠意が伝わりやすいです。
「ご挨拶させていただきます」の英語表現をご紹介

「ご挨拶させていただきます」は、英語圏のビジネスシーンでも頻繁に使われる表現です。
ただし、似たような意味合いのフレーズがいくつかあるので、相手や状況に合わせて適切な言葉を使い分けましょう。
ここでは、「ご挨拶させていただきます」を表現できる英語のフレーズを3つ紹介します。
- I’d like to say a few words.
- Allow me to introduce myself.
- I would like to welcome you.
それぞれのフレーズについて解説するので、微妙なニュアンスの違いや使いどころに対する理解を深めてください。
①I’d like to say a few words.
「I’d like to say a few words.」は「一言ご挨拶させていただきます」という意味です。
主に、短めの挨拶やスピーチ、何か意見を述べるときの前置きとして使われます。
会話例
A::I’d like to say a few words.
(少しご挨拶させていただきます)
B:Sure, please go ahead.
(どうぞ、お話しください)
「I’d like to」は「~したい」という意味で、「say」は動詞で「言う」、「a few words」は直訳すると「二言三言」ですが、ここでは「簡単な挨拶」や「ちょっとしたこと」を表しています。
これらを連結させて「I’d like to say a few words.」とすると、「ご挨拶させていただきます」に近いニュアンスを表現できるでしょう。
ただし、ビジネスメールや初対面の相手と会う際には、この後紹介する別のフレーズを使ったほうが自然な印象になることもあるので、場面に合わせて使い分けてください。
②Allow me to introduce myself.
「Allow me to introduce myself.」は「自己紹介をさせていただきます」という意味です。
初対面での挨拶や自己紹介をする際に使えるこのフレーズは、フォーマルな場面にも適しています。
会話例
A::Allow me to introduce myself. My name is Tanaka.
(自己紹介させてください。田中と申します)
B: Nice to meet you, Mr. Tanaka.
(はじめまして、田中さん)
英語には、日本語のような明確な文法上の敬語システムはありません。しかし、敬意を示す表現は存在し、「allow me to~」もその一つです。
「allow me to~」は直訳すると「私に~する許可をください」となり、日本語でいう「~させてください」とほぼ同じ意味になります。
これに「自己紹介をする」という意味の「introduce myself」と続けることで、礼儀正しさを表現しつつ自己紹介を兼ねた挨拶ができます。
③I would like to welcome you.
「I would like to welcome you.」は「皆様を歓迎するとともに、ご挨拶させていただきます」という意味です。
敬意や歓迎の意を表す表現で、ビジネスシーンの初対面の場、イベントやスピーチの冒頭などでよく使われます。
A: I would like to welcome you all at the start of this event.
(本イベントの開催にあたり、皆様にご挨拶させていただきます)
B: Thank you. We’re looking forward to your speech.
(ありがとうございます。スピーチを楽しみにしています)
「~したい」という意味の「I would like to」には、「~したいのですが…」と少し控えめなニュアンスが含まれています。同じ意味の「I want to」よりも丁寧な印象になるため、ビジネスや目上の人との会話で使いやすい表現です。
また、「挨拶」の英語訳として一般的に使われるのは「greeting」ですが、ここではイベントやスピーチの冒頭で相手を迎え入れるニュアンスを出すため、動詞の welcome を使うのがより自然です。
「ご挨拶させていただきます」を正しく使って好印象を与えよう

「ご挨拶させていただきます」は、挨拶することを丁寧かつ謙虚に伝える敬語表現です。
ビジネスシーンでは、これから信頼関係を築きたい相手に対して、このフレーズがよく用いられています。
本記事の重要ポイントをおさらいしておきましょう。
- 「ご挨拶させていただきます」は、初回のアポイントや大事な商談の場面で使われるフレーズ
- 「させていただきます」を多用しすぎると回りくどくなってしまうおそれもある
- 相手との関係性や状況によって類似表現を使い分ける
正しい敬語表現は、信頼関係を深めるきっかけになります。相手に配慮した丁寧な言葉遣いを心掛け、ビジネスコミュニケーションを円滑に進めてください。