「面目次第もございません」は、自分の過失を深く反省し、強い恐縮や恥の気持ちを表す際によく使われる言葉です。
主に自分に非がある場面で使用される言葉なので、「ビジネスシーンに適した正しい敬語なのか」「相手を問わず使えるのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
この記事では「面目次第もございません」の正しい意味や使い方を、例文を交えながらわかりやすく解説します。
ビジネスの場で使う際の注意点もお伝えするので、安心して正しい表現を使えるようになりましょう。
「面目次第もございません」は上司や目上の人に使用して良い

「面目次第もございません」は、上司や取引先といった目上の人にも問題なく使用できる丁寧な言葉です。
相手に対して申し訳ない気持ちや、合わせる顔がないほど恥ずかしい気持ちを表現し、主にビジネスの場で自分の非を強く認めて恐縮していることを伝える際に使用されます。
そのため、重大なミスをしてしまったときや、同じミスを繰り返してしまったときに適した表現といえるでしょう。
相手への配慮や敬意を示しながら謝罪できる言葉なので、上司や目上の人に対して使っても失礼にあたりません。
謝罪の代表的なフレーズに「申し訳ございません」があります。「面目次第もございません」は、謝罪の言葉と併せて使うことでより強い反省の気持ちを表現できます。
「面目次第もございません」の意味と語源
「面目次第もございません」は「申し訳が立たず、恥ずかしくて顔向けできない」という意味です。
「面目ない」という表現は日常生活でも使われますが、「面目ない」をより丁寧にした言い回しが「面目次第もない」になります。
「面目」とは、世間や周囲に対する体面・名誉・評価です。これを「ない」とすることで「申し訳なくて世間に合わせる顔がない」という意味になります。
また、「面目次第」は面目を丁寧にした言い回しです。「面目次第もない」のように打ち消し表現で用いられます。
「こんな結果になってしまって面目次第もございません」など、結果が悪く、周囲に合わせる顔がない状況で用いると、反省と謝罪の意をしっかりと相手に伝えられるでしょう。
参考:コトバンク「面目次第も無い」(参照 2026-03-31)
「面目次第もございません」の使用例

「面目次第もございません」は「恥ずかしくて顔も見せられない」というニュアンスで、強い反省や恐縮の気持ちを伝える際に適した表現です。
主に、取引先・顧客・上司に対して大きな迷惑をかけてしまったり、期待に応えられなかったりした場面で用いられます。
ビジネスシーンの使用例は以下の通りです。
- 「この度は不注意でご迷惑をおかけし、面目次第もございません。」
- 「お手数をおかけする形となり、面目次第もございません。以後このようなことがないよう、確認体制を改めます。」
- 「先日は面目次第もございませんでしたが、期限内にご対応いただき、大変感謝申し上げます。」
単に「面目次第もございません」だけで終わらせず、ミスをした場合は再発防止を徹底する旨を伝えたり、相手に何かしてもらった場合は感謝の言葉を添えたりすると、より丁寧な印象になります。
日常的に使われる「申し訳ございません」よりも少し硬い「面目次第もございません」を使うと、事態を深刻に受け止めている姿勢や深い反省の気持ちを示せるでしょう。
「面目次第もございません」を使う際の注意点

「面目次第もございません」は強い反省と謝罪を表す言葉なので、使いどころや使い方を間違うと相手に違和感を与えてしまう可能性があります。
ビジネスの場で「面目次第もございません」を使用する際には、以下の点に注意しましょう。
- 軽いお詫びや些細なミスには使用しない
- 謝罪表現とセットで使う
- 具体的な改善策や再発防止策を添える
状況をよく見極め、適切な言葉を補うことを意識すると、より相手に伝わりやすくなります。
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
①軽いお詫びや些細なミスには使用しない
謝罪の気持ちを表現する言葉はたくさんありますが、その中でも「面目次第もございません」は謝罪の度合いが強く、使いどころを選ぶ言葉です。
頻繁に使うと「相手への敬意が薄い」「軽々しく使っている」と受け取られる可能性があるため注意しましょう。
特に、些細なミスに対して使用すると「大げさ」だと受け取られやすく、かえって白々しい印象を与えてしまう場合があります。
たとえ反省している気持ちがあっても、客観的に見て軽いミスであれば、次のような表現で謝罪するのが適切です。
- 「失礼しました」
- 「お詫びいたします」
- 「申し訳ございません」
状況に合わせて謝罪のニュアンスを変え言葉を使い分けると、相手も謝罪を受け入れやすく、良好な関係が保てるはずです。
②謝罪表現とセットで使う
「面目次第もございません」は、恥ずかしさや申し訳なさを表す言葉です。
謝罪の気持ちも含まれた言葉ではあるものの、「顔向けできない」「合わせる顔がない」というニュアンスが強く出やすいため、基本的には以下のような謝罪の言葉とセットで使われます。
【例文】
「重大なミスを招き、面目次第もございません。誠に申し訳ございませんでした」
「ご迷惑をおかけし、面目次第もございません。深くお詫び申し上げます」
このように謝罪表現を重ねて使うことで、深いお詫びの気持ちが伝わりやすくなります。
ただし、謝罪表現を多用しすぎると、相手にくどい印象を与えたり、敬意が伝わりにくくなったりする可能性があるため注意しましょう。
③具体的な改善策や再発防止策を添える
ビジネスの場で「面目次第もございません」を使う際には、具体的な反省点や今後の改善策まで併せて述べるとより強く誠意を示せます。
謝罪はスピードも重要ですが、原因特定や改善に向けた対応ができていない状態で行っても相手に誠意が伝わりません。状況によっては軽薄な印象を与え、不信感を招くおそれもあるため注意が必要です。
次の例文のように、抽象的ではなく具体的な対策を提示しましょう。
【例文】
「このような不手際を招き、面目次第もございません。今後はこのようなことがないよう、(具体的な再発防止策)を実施し、再発防止に努めてまいります」
起きた事態を正確に把握し、今後どのような対策や予防をしていくのかを明確にしたうえで適切に謝罪することが重要です。
「面目次第もございません」のビジネスメールの例文

ここでは、社内向け・社外向けに分けて「面目次第もございません」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。
本来謝罪は、直接会って伝えるのが基本です。どうしても対面での謝罪が難しいときは、まずはメールで謝罪するのが適切なケースもあります。
「面目次第もございません」はビジネスメールでも使われる表現ですが、同じ言葉を用いても書き方次第で印象が大きく異なるため、相手や状況に合わせた文面を意識しましょう。
【例文1】社内向けビジネスメール
自分の不注意で社内業務に支障を出したことを、上司に謝罪する場面でのビジネスメール例文です。自分の非を認めつつ、問題解決に取り組む姿勢を簡潔に伝えましょう。
- 参考
- 件名:業務上の不手際に関するお詫び
〇〇部
〇〇課長
お疲れ様です。△△部の□□です。
この度は、私の不注意により社内業務に影響を及ぼしてしまい、面目次第もございません。
〇〇課長にもご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後は同様の不手際を繰り返さないよう、入力したデータのダブルチェックを徹底してまいります。
誠に申し訳ございませんでした。
発生したトラブルに対する率直なお詫びと具体的な改善策をセットで伝えると、反省の気持ちと再発防止への意識が伝わりやすくなり、信頼の回復につながります。
【例文2】社外向けビジネスメール
取引先に、納品が遅れたことを謝罪する際のビジネスメール例文です。納期や入金などに遅延が発生した際は、謝罪とあわせて必ず「新たな納期・入金日」を伝えるのがマナーです。
- 参考
- 件名:納品遅延に関するお詫び
株式会社〇〇
〇〇様
いつもお世話になっております。
△△株式会社の□□です。
この度は、弊社の不手際により納品に遅れが生じてしまい、誠に申し訳ございません。
多大なるご迷惑をおかけしましたこと、面目次第もございません。
現在、速やかに準備を進めており、改めての納品は〇月〇日となる見込みです。
今後は同様の事態を招かぬよう、進行管理の徹底に努めてまいります。
本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところ、まずはメールにてお詫び申し上げます。
何卒ご容赦賜りますようお願い申し上げます。
このように、メールで連絡せざるを得ない状況を詫びる一文を添えると、より誠意が伝わりやすいでしょう。
「面目次第もございません」以外の類似表現

「面目次第もございません」は謝罪したい場面で使いやすいフレーズですが、相手や状況によっては硬すぎる印象を与えてしまう場合があります。
ビジネスコミュニケーションでは相手に合わせた言葉選びが重要なので、以下のような類似表現もおさえておきましょう。
- 合わせる顔がございません
- 弁解の余地もございません
- 申し訳が立ちません
言葉のレパートリーが増えると、自分の感情や考えを正確に相手へ伝えられます。誠意が伝わりやすくなり、信頼の回復にもつながるはずです。
①合わせる顔がございません
「合わせる顔がございません」は、謝罪や反省の意を示す慣用句です。
申し訳なさや恥ずかしさによって、相手の前に出られないという意味で使われます。
「どのような顔をして会えば良いのかわからない」が語源となっており、痛切な反省の意を伝えたい場面で効果的な表現です。
【例文】
「重大なミスにより多大なるご迷惑をおかけし、合わせる顔がございません。深くお詫び申し上げます」
「面目次第もございません」と同様に重い表現ですが、より「相手に会わせる顔がない」という感情に焦点が置かれている点が特徴です。
そのため、ビジネスシーンでは、仕事上の重大なミスや約束が果たせなかったことにより、取引先や上司、同僚に対して顔向けができない場面で用いるのが適切です。
②弁解の余地もございません
「弁解の余地もございません」は、謝罪の姿勢をはっきり示す言葉です。
主張できる正当性がなく、こちらの非を全面的に認めるという意味で、言い訳を一切しない姿勢から誠実な謝罪の意を伝えられます。
【例文】
「今回の誤報については、私の確認不足が原因であり、弁解の余地もございません」
「面目次第もございません」が恥や恐縮の気持ちを強調する表現であるのに対し、「弁解の余地もございません」は非を全面的に認め、言い訳をしない姿勢を強く示す点が特徴です。
このフレーズを使うと、失敗や過ちに対して、弁解や言い訳が通らないことを強調しながら謝罪できます。
なお、「弁解の余地もございません」と述べた後に「実は…」と事情を話すと、言い訳だと捉えられて言葉の重みが薄れてしまうおそれがあります。事情を話す必要がある場合は使用を避け、率直にミスを認める場面で使うことが重要です。
③申し訳が立ちません
「申し訳が立ちません」は、言い開きや償いができないほど申し訳ないというニュアンスで使われる表現です。
理由や弁解の言葉が見つからない、あるいは悪い結果について相手にうまく説明できない、といった意味で使用されます。
【例文】
「今のクオリティのまま納品することは、取引先に申し訳が立ちません。」
言葉が持つ意味やニュアンスは「面目次第もございません」とよく似ていますが、使用に適したタイミングはやや異なる点に注意が必要です。
「面目次第もございません」は、主にミスやトラブルが起きた後の謝罪表現として使われます。
一方、「申し訳が立ちません」は問題が起こる前、あるいは起こりつつあるときに「~してしまっては、申し訳が立たない」のように使うのが一般的です。
「面目次第もございません」の英語表現をご紹介

日本語特有の表現である「面目次第もございません」は、英語に直訳しにくい言葉です。
無理に直訳すると意図と異なる意味で伝わる可能性があるため、「強い恥」または「強い謝罪」のどちらかのニュアンスを表現するのが良いでしょう。
ここでは「面目次第もございません」に相当する英語のフレーズを3つ紹介します。
- I am deeply ashamed of myself.
- There is no excuse for my actions.
- Please accept my deepest apologies.
それぞれのフレーズについて解説するので、相手や状況に合わせて使い分けてください。
①I am deeply ashamed of myself.
「I am deeply ashamed of myself.」は、「我ながら深く恥じています」という意味です。
叙述的形容詞「ashamed」は「恥じ入って」という意味を持ち、自分の行為に対する恥や罪の意識を表現できます。
「be ashamed of oneself」は、自分のミスや不適切な言動を恥じる気持ちを表す定型表現であり、日本語の「面目ない」に近いニュアンスの言い回しです。
【会話例】
A:What happened with the client report?
(クライアント向けレポートに何があったのですか?)
B:I made a serious mistake in the data. I am deeply ashamed of myself.
(データに重大なミスがありました。深く反省しています。)
ただし、このフレーズは道徳的な後ろめたさを伴う表現のため、ビジネスシーンではやや強すぎると受け取られる場合があります。
そのため、深刻なミスや不適切な行為があり、強い反省の気持ちを示したい場面に限って使用するのが適切です。
②There is no excuse for my actions.
「There is no excuse for my actions.」は、「弁解の余地もありません」という意味です。
自分の非を全面的に認めるフレーズであり、「面目次第もございません」の類似表現として使用できます。
言い訳や弁解を意味する単語「excuse」を「no excuse」と否定することで、「言い訳がない」という意味になります。
言い訳の対象は「for」以降の「my actions(私の行動)」で、「my oversight(私の見落とし)」「this delay(今回の遅延)」など、状況に合わせて言い換えることも可能です。
【会話例】
A:How could this error go unnoticed?
(なぜこのミスに気付かなかったのですか?)
B:It was my oversight. There is no excuse for my actions.
(私の確認不足によるものです。弁解の余地もございません。)
このように、潔く責任を認める姿勢を示す表現は、ビジネスにおいて信頼回復が求められる場面で役立ちます。
③Please accept my deepest apologies.
「Please accept my deepest apologies.」は「心よりお詫び申し上げます」という意味です。「面目次第もございません」と同様に、深い反省と誠実な謝罪を丁寧に表現できます。
「accept my apologies」は「私の謝罪を受け入れてほしい」という意味です。「apologies(謝罪)」の前に「deep(深い)」の最上級「deepest」を付けることで、より丁寧で強い謝罪のニュアンスになります。
【会話例】
A:The delay has caused serious issues on our end.
(今回の遅延によりこちらに深刻な問題が生じています。)
B:I understand. Please accept my deepest apologies. We are working to resolve this immediately.
(承知いたしました。心よりお詫び申し上げます。現在、早急に対応しております。)
このフレーズは、ビジネスメールなどフォーマルな場面に適した謝罪表現です。
特に、自分のミスで相手に大きな迷惑をかけたときや、最大限の誠意を示したいときに使用すると効果的です。
「面目次第もございません」は自分の非を認めて丁重に謝罪したい場面で使おう

「面目次第もございません」は、合わせる顔がないほど申し訳ないという、深い反省と謝罪を表す言葉です。
ビジネスにおいてミスやトラブルの発生は避けられないため、適切な謝罪表現を身につける必要があります。
以下の点をおさらいしておきましょう。
- 「面目次第もございません」は、目上の上司や社外の人にも使える
- 強い謝罪表現なので、使いどころはよく考え多用しない
- 「面目次第もございません」と一緒に、他の謝罪表現や今後の改善策も伝える
誠実な謝罪は、相手の怒りや不安を和らげ、信頼回復につながります。正しい言葉遣いを意識し、状況に応じて適切に使い分けていきましょう。
