中卒でビルメン​になるには?転職成功のポイントと求められる能力

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中卒でビルメン​になるには?転職成功のポイントと求められる能力

  • 中卒からビルメンになって手に職をつけたい

  • 中卒でビルメンになるにはどんな資格が必要?

ビルメンとは「ビルメンテナンス」の略称で、ビルの安全や快適さを守る仕事です。中高層の建物の保守・管理を行う専門職で、職務内容は多岐にわたります。

結論から言うと、中卒からでもビルメンになることはできます。

しかし、職場によっては資格が必要なものもあるため、本格的に目指す前に、中卒からビルメンになる方法を理解しておいたほうが良いでしょう。

本記事では、中卒からビルメンになる方法やメリット・デメリット、ビルメンになったあとのキャリアパスなどを解説します。

資格試験の対策方法やビルメンに向いている人の特徴などもあわせてご紹介するので、中卒からビルメンを目指したい方はぜひ参考にしてみてください。

中卒でビルメンになることはできる

ビルメンは学歴不問・無資格・業界未経験でも応募可能な求人があるため、中卒からなることができます。

ビルメンは主にオフィスビルや商業施設ビルなどの管理室に常駐し、モニター監視、セキュリティ管理、施設トラブルの初期対応、来客対応、施設内の巡回、設備点検といった施設管理・保守業務を行うのが主な仕事です。

保守や管理をする設備は「電気設備」「空調設備」「ボイラー」「給排水設備」「防災設備」などが挙げられます。

ビルメンに必要な知識や技術は、入社後の新人研修や配属後のOJTを通じて学べるので、就職する際に学歴を問われるケースはほとんどありません。

入社後に資格取得が必要となる会社であっても、求人では無資格者や未経験者を募集している背景として、ビルメン業務の深刻な人材不足が挙げられます。

働き手獲得のために、まずは資格・経験の有無を問わずに人材を採用し、研修や資格取得支援を通じてスキル・資格を身につけてもらうという雇用スタイルをとっている企業が珍しくありません。

ただし、資格を保有していないと担当できない業務も多いため、無資格・未経験の場合は業務範囲が限られてしまい、結果として給与も控えめになってしまう点には注意が必要です。

より良い環境の職場で就職するなら、就職先の選択肢を増やせるように、あらかじめ資格取得をする点も視野に入れましょう。

ビルメンになる基本条件

ビルメンの仕事に就くために必須の条件はありません。

今すぐに就職するなら、「学歴不問」「無資格・未経験OK」の求人に応募しましょう。

しかし、先述したように、ビルメンは資格を持っていないとできない業務も多いので、就職前に資格を持っていればビルメンの就職で有利に働きやすいです。

より専門性の高い仕事に就いて高収入を得るには、資格の取得は欠かせないと言えます。

ビルメンの就職で有利に働く資格の例は以下です。

第二種電気工事士電気工事を行うために必要な資格。
屋内の配線や照明・コンセント・エアコンの設置工事といった600V以下で受電する小規模設備の電気工事が可能。
第三種冷凍機械責任者冷凍機械の設備管理に必要な資格。
1日の冷凍能力が100t未満の製造施設において、冷凍設備の管理や保守、メンテナンス業務、点検の立ち会いなどが可能。
危険物取扱者乙種4類消防法で定められている「危険物」の取扱いができる資格。
乙種4類ではガソリンやアルコール類、灯油といった引火性液体の取扱いや定期点検、保安監督が可能。
二級ボイラー技士ボイラーの管理・点検・修繕に必要な資格。
伝熱面積が25㎡未満のボイラーの管理や点検、メンテナンスなどが可能。
エネルギー管理士電気・熱エネルギーなどの使用量の管理に必要な資格。
省エネ化のための設備の維持や使用量の監視、現場での指揮、省エネ計画の立案・評価などが可能。

エネルギー管理士を除く4つの資格は「ビルメン4点セット」と呼ばれており、保有していると多くの職場で重宝されます。

本記事では、「ビルメン4点セット」の試験についても詳しく解説しているので、そちらもご確認ください。

中卒でビルメンになる方法と手順

ここからは業界未経験の中卒者がビルメンになる方法を詳しく解説します。

  • 学歴不問・未経験OKの企業に転職する
  • 業務に直結する資格を取得してから転職する
  • 職業訓練でスキルを身につけてから転職する

「今すぐ就職したい」「より待遇の良い職場に就職したい」などの希望に応じて、おすすめの方法は異なります。どの方法が自分に合っているかを考えながらチェックしていきましょう。

中卒でビルメンになる方法①学歴不問・未経験OKの企業に転職する

ビルメンの仕事は需要が高いため、一人でも多くの人材を確保するべく「学歴不問・未経験者OK」の採用に積極的な企業が多いです。

すぐに就職したい場合は、学歴や保有資格、実務経験に関係なく採用している企業の求人に応募しましょう。

とは言え、やはり実務未経験だと、大手企業や正社員としての就職は難易度が高いのが実情です。

まずは中小企業に応募を絞って、場合によっては派遣社員や契約社員、嘱託社員として働き始め、実務経験を積んでから大手企業・正社員を目指す方法が現実的です。

実務経験を積むと同時に資格取得を目指すと、その先の転職が有利に進みやすくなります。

未経験OKの企業は、研修制度や資格取得支援制度を設けているケースも多いです。未経験者への実務のフォローやスキルアップのバックアップがしっかり整っている企業を狙えば、必要な知識やスキルをイチから学びながら仕事を覚えていけるのでおすすめです。

なお、選考では未経験というハンデをカバーするために、スキルアップへの意欲をアピールすることが重要です。やる気がある姿勢を伝えられると、企業から好印象を持たれやすくなります。

中卒でビルメンになる方法②業務に直結する資格を取得してから転職する

ビルメンは学歴不問・未経験でも就職できますが、資格の有無で評価や収入が大きく変わる職種です。

特に設備の管理や保守は特定の資格を持っていないと携われない場合が多く、業務の幅を広げるには仕事に直結する資格を取得していることが必要不可欠と言っても過言ではありません。

未経験での就職で採用率を上げたり、入社後もすぐに重宝される人材を目指したりするために、就職前に可能な限り資格を取得しておくのも手です。

資格を取得しておくと、ビルメンに必要な知識を持っていることを証明できるだけでなく、ビルメンとして働く意欲のアピールにもつながり、初任給を上げられる可能性があります。

また、入社後に資格手当を得られるケースもあるので、資格取得は少しでも高収入を目指したいという人におすすめです。

いわゆる「ビルメン4点セット」(第二種電気工事士、第三種冷凍機械責任者、危険物取扱者乙種4類、二級ボイラー技士)の中から1つでも入社前に取得しておけば、書類選考や面接でのアピールポイントになります。

将来的にキャリアアップする際にも資格取得は欠かせないので、「ビルメンとして頑張っていきたい」「年収を上げたい」という意欲がある場合は、できるだけ早い段階から資格を取得しておきましょう。

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中卒でビルメンになる方法③職業訓練校でスキルを身につけてから転職する

いきなり就職したり資格取得を目指したりせずに、職業訓練校でビルメンに関する基礎的な知識やスキルを身につけてから就職するという方法も手です。

職業訓練校とは、ハローワークが主催している求職者を対象とした再就職支援の制度の一つで、実践的な技術を学びながら資格も取得することができます。

授業を行ってくれる講師は、ビルメンとして働いていた経験がある人や、類似の仕事に就いている人ばかりなので、実務の具体的な話を聞けるのもポイントです。ビルメンの仕事内容について詳しく教えてもらえるため、入社前にビルメンの仕事をイメージしやすくなります。

また、ビルメンを募集している企業は「職業訓練校を卒業している人=基礎知識がある人」と評価する傾向にあり、職業訓練を受講していると実務未経験でも採用されやすいです。

さらに、訓練校には独自の採用枠が設けられていたり、学校推薦が受けられたりと、就職に有利な条件もそろっています。

そのうえ、雇用保険の受給者であれば、職業訓練校を受講すると失業手当が延長して支給されます。教材や作業着代などはかかるものの、お金をもらいながら無料で資格取得を目指せるのです。

このように、ビルメンについて右も左もわからないという状況なら、職業訓練で資格取得を目指した勉強をしたり、実務を意識した実習を行ったりするメリットはたくさんあります。いくつか受講条件はあるものの、無料で受けられるので、ぜひ活用してみると良いでしょう。

ただし、職業訓練校は少なくとも半年以上の間、毎日朝から夕方まで通学が必要です。就職までに半年以上の時間がかかってしまう点には注意しなければいけません。

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中卒でビルメンになるための資格試験と対策方法

中卒でビルメンを目指す場合、特定の資格をあらかじめ取得しておくと就職活動を進めやすくなります。

ビルメンで特に取得が推奨されているのは、通称「ビルメン4点セット」と呼ばれる4つの国家資格です。まずは「ビルメン4点セット」の取得を目指しましょう。

  • 第二種電気工事士
  • 二級ボイラー技士
  • 第三種冷凍機械責任者
  • 危険物取扱者乙種4類

ここでは、中卒でビルメンになるために取得すべき「ビルメン4点セット」の資格の試験形式や対策方法について解説していきます。

問題の傾向を掴み、苦手分野を洗い出したり、得点をとりやすい分野を重点的に勉強したりといった対策を立てるのがおすすめです。

また、どの試験も共通して言えることですが、本番と同じ時間配分で過去問を繰り返し解くことが重要です。

「第二種電気工事士」の対策方法

「ビルメン4点セット」の中でもっとも難易度が低いとされているのが、「第二種電気工事士」です。

とは言え、電気工事はどのビルでも実施する可能性があり特に需要が高いので、ビルメンとして活躍するなら、取得は必須とも言えます。

第二種電気工事士の試験は学科試験(筆記試験)と技能試験の2つに分かれており、両方に合格することで資格を取得できます。

なお、学歴・職歴などの受験資格がないため、誰でも受験可能です。

それぞれの試験概要やおすすめの対策方法は以下です。

筆記試験技能試験
試験科目1.電気に関する基礎理論
2.配電理論及び配線設計
3.電気機器、配線器具並びに電4.気工事用の材料及び工具
5.電気工事の施工方法一般用電気工作物等の検査方法
6.配線図
7.一般用電気工作物等の保安に関する法令
1.電線の接続
2.配線工事
3.電気機器及び配線工具の設置
4.電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
5.コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
6.接地工事
7.電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
8.一般用電気工作物等の検査
9.一般用電気工作物等の故障箇所の修理
試験形式マークシート方式(パソコンで解答を入⼒するCBT方式)実技方式(持参した作業用工具と支給される材料でを使用)
試験日上期:4月末~5月末
下期:9月末~10月末
上期:7月末
下期:12月中旬
※技能試験は、筆記試験合格者または学科試験免除者のみが受験できます。
合格率例年約60%例年約70%

合格基準は、筆記試験が約60点、技能試験は「作品に欠陥がないこと」です。

筆記試験は計算問題25%・知識問題75%で構成されているため、まずは知識問題の対策を優先的に行いましょう。暗記が必要な「電気機器と器具」「施工方法」「配線図」は、特に重点的に学習したほうが良いです。

計算問題に関しては、苦手な人は後回しにしても問題ありませんが、簡単な計算問題も含まれているので、すべて捨ててしまうのはもったいないです。基本的な計算問題だけでも解法を押さえておいて損はありません。

筆記試験は全50問のマークシート方式で試験時間は120分あります。効率良く問題を解くために時間配分を工夫することも欠かせません。本番では、時間切れでの取りこぼしがないように暗記で対応できる知識問題から解くといったように、問題を解く順番や時間配分に気を付けて試験を進めていくのも重要ポイントです。

技能試験は実務経験がある人にとってはそこまで難しくはないものの、未経験の人は入念な対策が必要です。

動画や参考書などを見ながら複線図を書く練習をしたり、成果物を経験者に見せてアドバイスをもらったりするのが合格への近道です。

また、制限時間がある中でミスなく作業をしなければいけないので、正確性や作業スピードも重要になってきます。本番で慌てないように、何度も繰り返し作業の練習をしておきましょう。

参考:
一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」(参照 2025-01-21)
一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度第二種電気工事士下期技能試験の結果について」(参照 2025-01-21)

「二級ボイラー技士」の対策方法

二級ボイラー技士の資格を取得するには、以下の2つの方法があります。

  1. 二級ボイラー技士試験の学科試験に合格し、ボイラー実技講習を3日間(合計20時間)受講する
  2. ボイラー取扱技能講習を受講し、4ヶ月の実務経験を積む

就職前に二級ボイラー技士の資格を取得するなら、1の「学科試験(筆記試験)へ合格したあとに、実技講習を修了させる」選択肢がスムーズです。

ちなみに、二級ボイラー技士の試験に学歴・職歴などの受験資格はなく、誰でも受験できます。

二級ボイラー技士試験の学科試験概要やおすすめの対策方法は以下の通りです。

試験科目1.ボイラーの構造に関する知識
2.ボイラーの取扱いに関する知識
3.燃料及び燃焼に関する知識
4.関係法令
※各10問、100点ずつの配点
試験形式マークシート方式
試験日都道府県ごとに4月~翌年3月の期間に月に1~2回実施
合格率例年50~60%

合格には各科目4問以上かつ、合計24問以上の正解が必要となります。合格率は例年50~60%の間で推移しているので、しっかり勉強すれば一発合格も目指せます。

筆記試験の学習方法は、テキストを読んでボイラーの基礎知識をしっかり理解し、知識を定着させてから過去問演習に移るのが効果的です。なお、テキストは専門用語が多く、理解しづらい部分も出てきます。その際は、動画を活用して具体的なイメージを掴むようにしましょう。

また、お伝えした通り、筆記試験に合格しただけでは二級ボイラー技士の資格を取得できません。20時間の実技講習の修了も免許取得に必須なので、講習の受講時期も計画的に検討しなければいけません。

実技講習と筆記試験の受験はどちらが先でも問題ないため、筆記試験の前に実技講習を受けることも可能です。筆記試験の前に実技講習を受ければ、ボイラーの操作方法や取り扱い方などに関する知識を習得でき、試験対策もスムーズに進められるメリットがあります。

実技講習の日程は都道府県ごとに日程が決められており、3日間通して受講しなければいけません。人数制限があるので、早めに受講の予約をしておきましょう。

参考:
一般社団法人 日本ボイラ協会「二級ボイラー技士免許の取得について」(参照 2025-01-21)
日本建設情報センター「二級ボイラー技士」(参照 2025-01-21)

「第三種冷凍機械責任者」の対策方法

第三種冷凍機械責任者の資格を取得するには、以下の2つの方法があります。

  1. 第三種冷凍機械責任者試験で全科目を受験し、「保安管理技術」と「法令」の2科目で合格する
  2. 高圧ガス製造保安責任者講習を受講し、検定試験に合格したのちに、第三種冷凍機械責任者試験で「法令」の科目で合格する

1を選択するメリットは、出費が試験の受験料と教材費だけで済むため、費用を抑えられる点です。ただし、年1回しか受験のチャンスがないうえに2科目合格の合格率は例年かなり低いので、しっかり勉強をして臨まなければなりません。

2を選択するメリットは、難易度の高い第三種冷凍機械責任者試験で「保安管理技術」の科目が免除される点です。ただし、講習や検定試験の受講料・受験料が高く、1の方法に比べて費用が高額になるので注意が必要です。

ちなみに、第三種冷凍機械責任者試験は、学歴・職歴などの受験資格がなく、誰でも受験できます。

第三種冷凍機械責任者の試験概要やおすすめの対策方法は以下の通りです。

試験科目1.法令(20問)
2.保安管理技術 (15問)
試験形式マークシート方式
試験日毎年11月の第2日曜日
合格率1.法令、保安管理技術受験の場合:18%
2.法令のみ受験の場合:約80%
※令和2年度試験の場合

いずれもマークシート方式で、合格するには各科目60%程度以上の正答が必要です。合格率は例年バラつきがあり、直近5年間でも「法令」と「保安管理技術」の2科目の合格率は18.3%~40.5%と差が開いています。

しかし、いずれにせよ合格率が低いので、合格には膨大な勉強時間が必要となります。

「保安管理技術」は、冷凍機の基礎知識を理解することが重要となるため、テキストと過去問を併用して知識を定着させましょう。「法令」は、3つの文章の正誤を組み合わせる問題なので、条例を確実に暗記する点が重要です。

参考:
高圧ガス保安協会「高圧ガス製造保安責任者試験・高圧ガス販売主任者試験のご案内(令和6年度分)」(参照 2025-01-21)
高圧ガス保安協会「令和2年度 高圧ガス製造保安責任者試験結果(大臣試験)出願者数・受験者数・合格者数・合格率一覧表」(参照 2025-01-21)

「危険物取扱者乙種4類」の対策方法

危険物取扱者の「乙種4類」はガソリンや灯油、軽油などの引火性液体の取り扱い・管理ができるようになる資格です。

他業界・多職種などでも重宝されやすく、危険物取扱者の中でも突出して取得者が多い資格と言えます。なお、危険物取扱者の乙種試験は、学歴・職歴などの受験条件を設けておらず、誰でも受験できます。

試験を受ける会場は居住地がある都道府県でなくても問題ないので、少しでも早く資格を取得したい場合は、直近の日程で試験が開催されている他の都道府県で受験するのがおすすめです。

危険物取扱者乙種4類の試験概要やおすすめの対策方法は以下の通りです。

試験科目1.危険物に関する法令(15問)
2.基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
3.危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
試験形式マークシート方式(五肢択一式)
試験日都道府県によって異なる
(年2~6回程度。東京都ではほぼ毎週行われている)
合格率例年30~40%

いずれもマークシート方式で、合格するには各科目60%以上の点数を取ることが必要です。合格率は例年30~40%で難易度は比較的高いので、しっかり対策を行わなければ合格は難しいです。

また、出題範囲は広範囲にわたります。効率良く勉強を進めるためにも、まずは物理・化学の基礎から始めていきましょう。

特に、燃焼と消火に関する基礎知識は、例年の頻出項目なので、重点的に学習するのがおすすめです。

次に危険物の性質を徹底的に暗記し、最後に出題数の多い法令の科目を集中的に学習していきましょう。法令は状況に応じた取り決めをすべて暗記する必要がある科目なので、最後に勉強したほうが記憶を維持しやすいです。

出題範囲が広いからといって、すべてを覚えようとするのは非効率です。頻出問題を重点的に学習することで、短期間でも効率的に得点力を上げられるようになります。

参考:財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況」(参照 2025-01-06)

中卒でビルメンになったあとのキャリアパス

ビルメンは資格を取得すると業務の幅が広がり、キャリアアップも望める職業です。

ここでは、中卒でビルメンになったあとの代表的なキャリアパスを3つご紹介します。

  • 資格や経験を積んで転職する
  • 所長(責任者)を目指す
  • ビルマネ(ビルマネージャー)を目指す

どのような選択肢があるかを理解して、自分の目指したいキャリアパスを明確にしてみてください。

資格や経験を積んで転職する

資格取得の勉強をしながら実務経験を積むのが、ビルメンとしてのキャリアアップの近道です。

ビルメンの仕事は技術力が重視される業界です。そもそも資格がなければ携われない業務も多いので、キャリアアップをするには、まず資格取得が必要不可欠です。

「ビルメン4点セット」のように学歴不問で受けられる資格も多数あるため、中卒でも取得できる資格は積極的に取得していきましょう。資格取得支援制度を設けている企業に就職すれば、会社からサポートを受けながらの資格取得も可能です。

ちなみに、ビルメン系の資格には、「ビルメン4点セット」の他に「ビルメン3種の神器」や「ビルメン5点セット」といった呼ばれ方が定着している資格があります。

ビルメン3種の神器第三種電気主任技術者(電験三種)
建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)
エネルギー管理士
ビルメン5点セット1.第二種電気工事士
2.2級ボイラー技士
3.第三種冷凍機械責任者
4.危険物取扱者乙種4類
5.消防設備士

「ビルメン3種の神器」に挙げられている資格はどれも「ビルメン4点セット」よりも取得難易度が高いですが、その分需要が高く、業務の幅をさらに広げられる資格がそろっています。

「ビルメン5点セット」はビルメン4点セットに「消防設備士」の資格を追加したものです。消防設備士は、火災報知設備をはじめとする消火設備などの設置・保守・点検・修理が可能になる資格です。

いずれの資格も、合格すれば建物ごとに専任を置くことが義務付けられている役割を担当できるようになります。

また、資格を取得すると、資格手当による収入アップや業績評価での昇給・昇格につながるとともに、転職時のアピールポイントとしても有効です。

必要な資格を取得してビルメンとして現場で経験を積んだら、より良い待遇の企業への転職を視野に入れてみるのも良いでしょう。転職が成功すれば、年収アップや手厚い福利厚生などが期待できます。

ただし、転職によって今より職場環境や人間関係が悪化する可能性もゼロではありません。転職するメリットだけでなく、起こりうるリスクも考慮して、慎重に判断することが大切です。

所長(責任者)を目指す

責任者・管理職へ昇格をするのも一つのキャリアパスです。

ビルメンテナンス会社では、評価されれば「主任→係長→副所長→所長」といったように役職が上がっていきます。

ビルメンは技術ありきの実力主義の業界なので、実力と出世への意欲次第で、数年で所長(責任者)に昇進できる可能性もあります。役職に就くと給料や待遇が向上するため、高収入も目指しやすいです。特に大手企業での出世なら、大幅な年収アップも見込めるでしょう。

ただし、所長になると、建物のオーナーとの折衝や部下の指導、会議の増加、トラブル時の対応指示、書類の確認など、業務量と責任が大幅に増えます。給料が上がる一方で業務量が膨大になり忙しさが増すため、割に合わないと感じる人も少なくありません。

しかし、所長経験は転職市場での評価が高く、転職時のアピールポイントにもなります。場合によっては、さらなるキャリアアップにもつながります。

非常に大変なポジションではありますが、やりがいがあるのも事実です。マネジメントに興味がある人ややりがいを感じる人にとっては、責任者を目指すのも有力な選択肢と言えます。

ビルマネ(ビルマネージャー)を目指す

ビルメンの経験を活かして、ビルマネ(ビルマネージャー)へのキャリアアップを目指すのも選択肢の一つです。

ビルマネとは、建物全体の収益管理や運営を担当し、オーナーとの折衝や事務作業が中心となるポジションです。

現場仕事のビルメンを統括的にマネジメントする立場となり、よりオーナーに近い場所で仕事をすることになるでしょう。(ビルメンは、ビルマネジメントの業務の中で、設備管理の部分だけを担当しているとも言えます。)

給与水準が上がるので、ビルメンよりも高収入を目指せるというメリットもあります。さらに、マネジメントが中心となる仕事のため、マネジメント志向の人にとっては魅力を感じるステップアップ先です。

ちなみに、ビルマネになるために必須の資格はありませんが、下記のような資格を持っているとアピールポイントになります。

大きなビルメン会社であれば、他部署にビルマネ部門がある場合も多く、転職をせずともビルメンを経験してからそのまま社内異動をするという方法もあります。

  • 認定ファシリティマネジャー(CFMJ)
  • 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)
  • 宅地建物取引士
  • ビル経営管理士
  • 統括管理者

ビルメンとして培ってきた現場での実務経験・知識を活かせる一方で、デスクワークを主体とした事務仕事が中心となるので、ビルメンとは働き方が大きく異なる点には注意しましょう。

ビルメンのように現場で体を動かしながら働きたいという人や、事務作業が苦手という人には向いていないキャリアパスでもあります。

中卒でビルメンに向いている人・向いていない人

ビルメンは学歴や経験に関係なく始められる職業ですが、専門的な知識や資格が必要な業務もあることから、人によって向き・不向きが出ます。

「就職が簡単そう」というイメージだけで就職してしまうと、実際の働き方や業務内容とのギャップに悩まされ、長く仕事を続けられなくなる可能性もあります。

ビルメンを目指す前に、まずは自分がビルメンに向いているかどうかを確認することが大切です。

ビルメンに向いている人・向いていない人の特徴をそれぞれ3つずつご紹介するので、参考にしてみてください。

ビルメンに向いている人ビルメンに向いていない人
向上心がある人ルーティンワークが苦手な人
手先が器用な人潔癖症な人
協調性がある人不規則な勤務が苦手な人

中卒でビルメンに向いている人の特徴3つ

ビルメンになるのに向いている人の特徴は、以下の3つです。

  • 向上心がある人
  • 手先が器用な人
  • 協調性がある人

ビルメンとして活躍するには、ビルに設置されている設備に対する幅広い知識や技術を持ち、資格を取得することが必要となります。

よって、「どんどん資格を取って業務の幅を広げたい」「新たな知識を得たい」と思える向上心やチャレンジ精神が欠かせません。働きながらスキルアップをしていかなくてはいけないので、勉強熱心な人に向いている仕事です。

また、ビルメンの仕事内容は、設備の点検や修繕などの細々とした作業も多いことから、手先の器用さが求められる職業です。手を動かすのが得意な人や几帳面な人は、ビルメンの業務において有利に働きやすく、活躍できる可能性が高いです。

そして、ビルメンの仕事は複数人でビルを維持・管理するのが一般的なため、協調性も必要不可欠です。

他のスタッフとコミュニケーションを取りながらチームで作業を行ったり、テナントやオーナーとのやりとりがあったりと、人と関わる機会は少なくありません。時には、業者との折衝業務が発生したり、顧客から苦情やクレームを受けたりすることもあります。

人とのコミュニケーションが苦ではなく、協調性を持って仕事に取り組める人は、ビルメンとして活躍しやすいでしょう。

中卒でビルメンに向いていない人の特徴3つ

ビルメンになるのに向いていない人の特徴は、以下の3つです。

  • ルーティンワーク苦手な人
  • 潔癖症な人
  • 不規則な勤務が苦手な人

ビルメンの仕事は、トラブルが発生しない限り、定期的な点検や清掃など、ルーティンワークが中心になります。基本的に毎日似たような作業を繰り返す必要があり、同じ作業を繰り返し正確に行うのが苦手な人にとっては苦痛に感じるでしょう。

そして、重大なトラブルを防ぐためにも、単純作業であっても集中力を保って真剣に仕事に取り組まなければなりません。集中力がもたない人や、細かい点に気づくことができない人もビルメンには不向きと言えます。

また、ビルメンはトイレの詰まりの除去、漏水による天井裏の点検、汚水槽の点検など、いわゆる汚れ仕事を行う場合もあります。汚物の処理をしたり、ねずみや虫を目にしたりするケースも少なくありません。

清掃や点検作業はゴム手袋や防具などを使用して行ううえに、経験を積んでいけば次第に慣れてくるものとは言え、潔癖症な人にとってビルメンの仕事内容は苦労する可能性が高いです。

さらに、ビルメンの仕事は職場によっては勤務時間が不規則になります。特に24時間体制で管理をする必要がある建物が職場の場合、日勤・夜勤・宿直に分かれるシフト制が採用されているケースが多いです。

夜勤や宿直があると体調面の管理が難しくなる人や、生活リズムが乱れて疲れを感じやすくなる人もいるので、規則正しく日勤の仕事だけをしたい人は要注意です。シフトの組み方や条件などが気になる人は、必ず就職前に企業に問い合わせましょう。

中卒でビルメンになるメリット・デメリット

中卒でビルメンになるメリット・デメリットを解説します。

お伝えしてきたように、ビルメンは学歴に関係なく目指せる職業ですが、資格の有無によって待遇が左右される業界でもあることから、未経験・無資格で目指すべきか迷っているという人も多いのではないでしょうか。

ここでは、ビルメンになるメリット・デメリットをそれぞれ3つずつご紹介するので、ビルメンを目指すかどうかの判断材料にお役立てください。

中卒でビルメンになるメリット中卒でビルメンになるデメリット
重労働が少ない資格がなければ年収が低め
将来的に安定した業界とされている夜勤や休日出勤がある
資格取得でキャリアアップを目指せる感謝される機会が少ない

中卒でビルメンになるメリットは3つ

中卒でビルメンになるメリットは、以下の3つです。

  • 重労働が少ない
  • 将来的に安定した業界とされている
  • 資格取得でキャリアアップを目指せる

ビルメンの仕事は職場や担当の建物、個人のスキルなどによって中心となる業務が異なりますが、基本的に施設の管理が主なので、現場仕事の割には重労働が少ない傾向にあります。

特に、オフィスビルは、不特定多数の人が頻繁(ひんぱん)に出入りする商業施設よりもクレームやトラブルが少ないです。そのため、定期点検以外は基本的にモニター監視がメインという場合も珍しくはありません。

平時は体力的な負担が少なく、ルーティンワークでもあることから、体力に自信がない人や未経験者でも働きやすいのが特徴の仕事です。さらに、特別な知識や経験がなくても働き始められるので、中卒者にとっても比較的ハードルが低めの業種と言えるでしょう。

建物の維持・管理を担うビルメンの仕事は、ビルが解体されない限り必要な仕事です。ビルは再開発によって現在も増築されており、管理をする建物はオフィスビル、商業ビル、ホテルなど多岐にわたります。

ビルメン業界は若手の人手不足が深刻でもあるため、今後もビルメンの仕事は求められていくでしょう。将来的にも比較的安定している業界で働けるというのもメリットです。

とは言え、AIやロボットの進化、新規建築の需要の低下、市場成長の鈍化などの可能性は、もちろん捨てきれません。機械に仕事を代替されないように、丁寧な作業を心がけるのはもちろん、コミュニ―ケーションスキルやマネジメントスキルなども磨いておくと、長く活躍できる可能性が高まります。

そして、ビルメンは無資格からでも始められる一方で、資格を取得することでキャリアアップも目指せます。「ビルメン4点セット」をはじめ、ビルメンに必要な資格を取得しておけば、学歴がなくても活躍の場が広がり収入アップも期待できるのです。

資格取得は他業界・多職種への転職時のアピールにも直結するため、学歴をカバーしてキャリアの幅を広げたい中卒者にもうってつけの職種と言えます。

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中卒でビルメンになるデメリットは3つ

中卒でビルメンになるデメリットは、以下の3つです。

  • 資格がなければ年収が低め
  • 夜勤や休日出勤がある
  • 感謝される機会が少ない

ビルメンは特別な経験や知識がなくても採用される可能性がある反面、年収は低めに設定されていることが多いです。

技術がモノをいう仕事は、資格やスキルがないとあまり稼げないのが実情です。ビルメンも業務に直結する資格を取得すれば、資格手当を受けたり、昇給・昇格のチャンスが増えたりといった可能性が上がります。

勤続年数だけで収入を上げていきたい人や、業務時間外の資格取得の勉強に抵抗がある人にとっては、ビルメンの仕事の評価基準は大きなデメリットと言えるでしょう。

また、建物管理は設備のメンテナンスや急なトラブルに対応するために、「24時間・365日体制」で行われるのが基本です。基本的にシフト勤務制で、職場によっては夜勤や休日出勤が発生するケースも珍しくはありません。

特に商業施設やオフィスビルのメンテナンスは、利用者がいない夜間や休日に行われる場合が多く、生活スタイルに影響が出る可能性があります。

ビルメンは基本的にルーティンワークのため、何もなければ残業が少ない職種ですが、常に家族や友人と休みを合わせたい人や、カレンダー通りに休みたい人にとっては、デメリットとなりえます。

さらに、ビルメンの仕事は一般的に「裏方」「縁の下の力持ち」といった役割が強いです。

ビルの設備が正常に動くのは「当たり前」と考えられがちなので、日々の点検や修理といった業務の努力が表に出づらく、人から直接感謝される機会が少ない仕事でもあります。つまり、人に感謝されることで仕事のやりがいを見出す人は、モチベーションを保ちにくい恐れがある仕事です。

「人の役に立ちたい」という人に向いている仕事ではあるものの、他者からの直接的な感謝の言葉や笑顔が働くモチベーションという人は、やる気を維持するのは難しいかもしれません。

ビルメン以外で転職を検討するならナイト系がおすすめ

ビルメンは学歴・経験不問で働ける求人も多く、中卒者も転職しやすい職業です。

しかし、資格が重視される業界であることから、資格がないと年収は低くなりがちです。すぐに結果を出したい人や、資格勉強をせずに稼ぎたい人にとって、ビルメンへの転職は仕事へのモチベーション低下を招くおそれがあります。

  • 未経験・無資格でも稼げる業界で働きたい

  • 学歴や保有資格に関係なく早期からキャリアアップを目指せる業界を探している

このように考えている中卒者は、ぜひナイト系を視野に入れてみてください。

ナイト系は18歳以上(高校生不可)であれば基本的に誰でも応募可能で、学歴・経験不問の求人も多く出ています。資格も必要なく、実力次第で高収入を狙える業界です。

頑張り次第で早期から昇給・昇格のチャンスをつかめますし、実際に中卒者から業界に飛び込んで店長やエリアマネージャーといった役職に就いて高収入を得ている人もいます。

さらに、企業によっては独立支援制度が設けられているところもあり、サポートを受けながら独立に必要なノウハウも学べます。キャリアアップもしやすく、自分次第でどんどん上を目指せるでしょう。

興味がある方は、ぜひ一度ナイト系をチェックしてみてください。

中卒でビルメンになるためのおさらい

最後に、中卒者がビルメンになるためのポイントをまとめました。

ポイント
【中卒でビルメンになる方法】
・学歴不問・未経験OKの企業に転職する
・業務に直結する資格を取得する
・職業訓練でスキルを身につける

【ビルメンに向いている人の特徴】
・向上心がある人
・手先が器用な人
・協調性がある人

【中卒からビルメンになるメリット】
・重労働が少ない
・将来的にも安定した業界とされている
・資格取得でキャリアアップを目指せる

ビルメンは学歴に関係なく目指せる職業ですが、キャリアアップを目指すには資格取得が必要不可欠となってきます。

ビルメンに必要な資格を取得すれば業務の幅が広がり収入アップも目指せるので、安定した生活を送りやすくなると言えるでしょう。

本記事でビルメンを目指してみたいと本気で思った方は、さっそく今日からビルメンになるための準備を始めてみてください。

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