公認会計士に30代高卒でもなれる?合格率と年収、就職・転職事例

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公認会計士に30代高卒でもなれる?合格率と年収、就職・転職事例

  • 30代高卒が公認会計士試験に挑戦するのは無理?

  • 30代高卒が公認会計士試験に合格しても実際に就職はできる?

このように、公認会計士を目指すにあたって学歴や年齢を気にしている方も多くいるのではないでしょうか。

学歴や年齢にかかわらず、公認会計士を目指す道のりは簡単ではありません。しかし、高卒30代の方が公認会計士試験を受験したり、試験合格後に就職先を見つけたりすることは可能です。

本記事では、高卒30代が公認会計士になれるかどうか、また高卒30代の方が公認会計士を目指すメリットやデメリットなどを紹介します。

公認会計士を目指す際の注意点や事前準備も解説しているので、今から高収入を目指したい方や、公認会計士の仕事に関心がある方はぜひ参考にしてください。

公認会計士とは?

公認会計士とは?

公認会計士とは、会計や税務に関する専門知識とスキルを活かして、企業の財務諸表の監査や税務相談などを行う職業です。

公認会計士のメイン業務である監査は、独占業務(国家資格である公認会計士の有資格者しか関われない業務)であり、非常に難易度の高い仕事でもあります。

ちなみに、「公認会計士試験」に合格して国家資格を得ただけでは公認会計士を名乗ることはできません2年間の実務経験(業務補助)と3年間の実務補習(座学研修)を経験した後に修了考査に合格して、初めて公認会計士を名乗ることができるようになります。

高卒30代も公認会計士の受験資格はある

高卒公務員に向いている人物像

公認会計士の資格は「三大国家資格」と呼ばれるほどの難関資格ですが、公認会計士試験の受験資格に条件はなく、学歴や年齢、国籍を問わず誰でも受験できます。そのため、高卒や30代でも公認会計士を目指すことが可能です。

2005年度までの旧試験制度では大卒か短大卒業、もしくは旧第1次試験への合格などが受験資格として求められていましたが、2006年度の試験からはその条件が撤廃されました。

一度撤廃した以上、これからも学歴が受験資格となる可能性はないと予想されるので、高卒30代の方も安心して挑戦できます。

ただし、誰でも受験できると言っても、公認会計士は難関資格なので誰でも合格できるというわけではありません。

公認会計士試験の30代の合格率

令和5年の公認会計士試験における30代の合格率は以下の通りです。

年齢層 合格率
30歳以上35歳未満 5.4%
35歳以上40歳未満 3.0%
参照元:公認会計士・監査審査会「令和5年公認会計士試験合格者調」(参照 2023-12-25)

30代の公認会計士試験の合格率はかなり低いように見えますが、受験者数が最も多い20歳以上25歳未満でも10.1%、受験者全体での合格率は7.6%です。公認会計士試験は全年齢において合格率が低い難関試験と言えます。

公認会計士試験は難易度があらゆる資格試験のなかでも最高レベルです。必然的に長い勉強時間が必要なので、比較的勉強時間を取りやすい学生やフリーターなどが多い20代の合格率が高いのもうなずけます。

とは言え、公認会計士はしっかり努力すれば年齢に関係なく合格を目指せる資格です。30代という年齢が気になる方も、勉強時間をとれるのであればチャレンジする価値はあります。

公認会計士試験の高卒合格率

30代に限らず全年齢を対象にしたデータではありますが、令和5年の公認会計士試験における学歴別の合格率は以下の通りです。

合格者学歴 合格率
高校卒業 4.6%
大学在学中(短大含む) 9.7%
大学卒業(短大含む) 7.5%
大学院在学中 10.9%
大学院修了 3.9%
参照元:公認会計士・監査審査会「令和5年公認会計士試験合格者調」(参照 2023-12-25)

ちなみに、高卒の合格者の割合は全体の6.2%しかおらず、圧倒的に大卒以上の合格者が多い傾向にあります。

しかし、高卒者の合格率が著しく低いわけではないことがわかります。

このように高卒者の合格率がゼロではない以上、努力次第で合格を目指せる資格なので、諦める必要はありません。

公認会計士の主な業務内容

高卒30代の方も公認会計士を目指せることについてお話してきましたが、そもそも公認会計士の業務内容はどのようなものなのでしょうか。

ここでは、公認会計士の基本的な業務内容を解説します。公認会計士の具体的なイメージをつかむ意味でも参考にしてみてください。

監査業務

公認会計士の監査業務とは、企業が作成した財務諸表が法令に則った内容か、数値が正確かといった点をチェックする仕事です。監査業務は公認会計士の有資格者しかできない独占業務に定められています。

投資家にとって、各企業が出す貸借対照表・損益計算書・利益処分計算書・附属明細表などの財務諸表は、投資の大事な判断材料です。正確性が欠けていると投資家が損失を被るだけではなく、企業側も信頼喪失や株価暴落、利害関係者との関係悪化などのおそれがあります。そういったデメリットを回避するために公認会計士が監査業務を行うことで、企業の経営活動の正当性を保証しているのです。

上場企業のほか、学校法人・社会福祉法人・医療法人・独立行政法人などでも、法令で監査が義務づけられています。

税務業務

税務業務とは、企業や個人に代わって法人税や所得税、消費税などの各種税務にかかわる書類を作成したり、税務処理をしたりする仕事です。また、企業から税務に関する相談を受けてアドバイスすることも税務業務に含まれています。

公認会計士は所定の研修を受ければ税理士の登録も可能になるため、就職先で税務業務を担当する人も多いです。

コンサルティング

公認会計士が行うコンサルティングとは、経営戦略や経営計画、組織再編といった企業の経営全般にわたる悩みや課題を解決に導けるようにアドバイスする仕事です。

特に上場企業は、従業員や顧客、株主をはじめ多数の利害関係者が関わっています。それらの利害関係者と良好な関係を築くために、監査や会計のプロである公認会計士に経営のアドバイスを求める企業は少なくありません。

公認会計士試験の内容は2種類

ここでは、公認会計士試験の概要を解説します。

公認会計士試験では、短答式試験と論文式試験の両方に合格する必要があります。試験範囲が膨大で、なおかつ論文式の試験もあるので、独学だけで合格するのはかなり難しい試験です。

また、明確な合格点はなく、「総点数に対して一定の点数比率を満たす、かつ答案提出者内での相対評価」で合否が決まるのが特徴です。

ここでは、短答式試験と論文式試験のそれぞれの概要を解説します。

短答式試験

公認会計士試験の短答式試験では、監査や会計などの基本的な専門知識を幅広く理解しているかどうかを問われます。

短答式試験に合格しないとその先の論文式試験は受けられません。しかし、短答式試験に合格すると、以後2年間は短答式試験が免除されて論文式試験から受験できるシステムがあります。

実施時期 第1回:12月上旬~中旬第2回:5月下旬
試験形式 マークシート形式
試験科目 財務会計論管理会計論監査論企業法
合否 総点数の70%以上が目安
参照元:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」(参照 2023-12-25)

合格点は総点数の70%以上が目安で、公認会計士・監査審査会が「相当」と認めた得点比率となります。1科目でも満点の40%に満たない場合や、答案提出者の下位33%の人の得点比率に満たない場合は不合格となる可能性があります。

論文式試験

公認会計士試験における論文式試験は、監査や会計などの専門知識の理解に加え、実践的な思考力や判断力、応用力が問われる試験です。また、試験は3日間にわたって行われます。

実施時期 8月下旬に3日間
試験形式 論述形式の筆記試験
試験科目 【必須科目】会計学(財務会計論・管理会計論)監査論企業法租税法
【選択科目(いずれか1つ)】経営学経済学民法統計学
合否 総点数の52%以上が目安
参照元:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」(参照 2023-12-25)

論文式試験の合格基準は総点数の52%以上が目安となっており、短答式試験と同じく審査会が「相当」と認めた得点比率を満たしている必要があります。また、1科目でも得点比率が40%に満たない科目があった場合は、不合格となる可能性が高いです。

高卒30代が公認会計士になる流れ

公認会計士の試験に合格して資格を取得しただけでは、公認会計士を名乗ることはできません

公認会計士になるには、公認会計士名簿への登録(開業登録)および日本公認会計士協会への入会も義務付けられています。そして、公認会計士名簿への登録には、一定期間の間実務経験を積み、実務補習所へ通学したりした後に修了考査で合格しなければいけません

具体的には下記の流れが基本になります。

①公認会計士試験の合格後に就職活動を開始する 公認会計士試験の合格日から就職活動を開始できます。ちなみに監査法人の採用活動は、公認会計士試験の合格発表後におよそ2~3週間の短期間で行われます。
②業務補助を経験する(3年) 就職先などで公認会計士としての業務補助(実務経験)を合計3年以上積む必要があります。ちなみに資格試験の合格前の経験も要件として認められます。
③実務補習所へ通学する(3年) 試験合格後に原則として3年間実務補習所に通学し、単位を取得する必要があります。
④修了考査を受けて合格する 実務補習所で必要な単位数を取得して初めて日本公認会計士協会による修了考査を受験できます。合格できなかった場合は、さらに1年間補習所に通う必要があります。
⑤開業登録をする 公認会計士登録の要件を満たしていることを示す書類などを提出し、登録審査会の審査を受けます。審査が下りれば公認会計士として認められます。
参照元:REX「公認会計士になるには:公認会計士にはどうやってなるの?流れを解説!年収は?」(参照 2023-12-25)

公認会計士試験に合格した直後の就職活動ではまだ公認会計士登録ができないため、公認会計士候補として実務経験を積める就職先を探す必要があります。

ちなみに、仮に30歳のときに公認会計士試験の勉強を始め、2年後に合格、すぐに就職して実務経験を積み始めると同時に実務補習所への通学をスタート、3年後にストレートで修了考査に合格したとしても、開業登録は36歳ごろになります。一人前の公認会計士になるにはかなりの年月がかかることを理解しておきましょう。

高卒30代の公認会計士の就職先4選

高卒で入れる優良企業への転職活動ですべきこと

公認会計士試験に合格したとして、そもそも高卒30代で就職先が見つかるのかと疑問が生じている方もいるでしょう。

結論から言えば、高卒30代から公認会計士になった場合でも就職先を見つけることは可能です。代表的な就職先をご紹介していきます。

①9割は監査法人に就職

監査法人とは、第三者として企業の会計監査を行う機関です。設立には5名以上の公認会計士が社員として在籍していることが求められます。

監査法人の社員は全員が出資者かつ業務執行権を持っているので、一人ひとりが株式会社の取締役・役員クラスといった立ち位置であることが特徴です。

また、監査法人は新人の公認会計士の養成にも関わることができる組織でもあります。そのため、公認会計士試験の合格者の9割近くは、まずは監査法人に入って実務経験を積みます。

監査法人によって規模は異なりますが、大手監査法人と中堅や中小の監査法人は働くうえで下記の違いがあります。

  メリット デメリット
大手監査法人 大手顧客に対して複数の公認会計士が協力して業務にあたることができる

・英語力が必要なことが多い

・分業体制の傾向にあるので、監査業務の全体に関わりづらい

中堅や中小の監査法人 いろいろな業界の監査に関わる機会が多く、幅広い経験を積める 大手監査法人と比べると給料が低い傾向にある

監査法人に就職する際には、給料と経験のどちらを重視するか考えるのがポイントです。

ちなみに、4大監査法人(BIG4)として知られる大手監査法人の「有限責任あずさ監査法人」「有限責任監査法人トーマツ」「EY新日本有限責任監査法人」「PwCあらた監査法人」は、公認会計士の就職先として特に有名ですが、未経験から就職するのはかなり難しいです。しっかりと実務経験を積んでから転職活動で狙ってみるのも手です。

②民間企業の経理・財務部門に就職

民間企業に就職し、企業内会計士(インハウス会計士)として活躍する道もあります。

企業内会計士は自社の日々の売上や仕入れの管理、税金の計算、決算書の作成といった業務を行うことが多いです。また、社員の給与や保険の管理・計算といった業務を担当する場合もあります。

企業内会計士は経理実務に幅広く携われるのでやりがいを感じやすく、また入社する企業によっては充実した福利厚生と安定性があるのがメリットです。

上場企業や他にまだ会計の専門家が在籍していないことが多いベンチャー企業の場合は多様な会計業務を行う必要があるため、特に公認会計士が重宝されやすいです。

③会計事務所に就職

会計事務所に就職する場合は、顧客である企業や個人に代わって税務申告や経理処理といった業務を行います。定期的に顧客のもとへ訪問し、会計データをチェックしたり、月次・年次の会計処理を担当したりするほか、経験を積めば経営コンサルティングを任される場合もあります。

会計事務所は、監査法人ではなかなか経験を積みにくい会計実務や税務申告の業務を自分で経験できるので、その後のキャリアに幅を持たせられるのがメリットです。

ちなみに、「会計事務所」には「会計士事務所」「税理士事務所」があり、公認会計士が所属していない税理士事務所の場合は監査業務ができないので注意しましょう。

参考:SMC税理士法人「「会計事務所」「会計士事務所」「税理士事務所」「税理士法人」いろいろ呼び名があるけど、どう違うの?」(参照 2023-12-25)

④経験を積んで開業登録後に「独立」も可能

実務経験を積んで公認会計士として開業登録をすれば、独立することも可能です。

独立すると自分で仕事を選べるようになるので、税務業務やコンサルティング業務など、自分の得意分野だけに集中できるメリットがあります。また、自分の裁量で仕事を受注できるのでワークライフバランスを整えやすくなったり、経営が軌道に乗れば収入がアップしたりするといった可能性も出てきます。

ただし、開業したものの営業力不足や実力不足などで思うように仕事がとれず、再度就職し直すケースもないとは言えません。また、大企業の監査は有名監査法人が担当することが多いので、大きな案件に携わる機会が減ってしまうといったデメリットもあります。

そのため独立開業は、自由に仕事を選びたい人や、経営知識が豊富な人、顧客獲得のために努力できる人でないと後悔してしまうケースがあるという点には注意しましょう。

公認会計士試験は高卒30代に不利なのか?

「助かります」は敬語として扱われる

ここまで、高卒30代の方も公認会計士になれること、そして就職先などについて解説しました。

ここからは、公認会計士試験は高卒30代にとって不利なのかを解説します。公認会計士試験の受験を考えている高卒30代の方は参考にしてください。

大卒より合格までの学習時間が長くなる可能性はある

公認会計士の試験問題には、大学の経済学部や法学部の履修範囲も含まれています。そのため、経済学部や法学部出身の大卒者は基礎知識がある状態で公認会計士の勉強を始められるのです。

基礎知識を学ぶ機会がない多数の高卒者は、その分だけ学習時間が長くなる傾向にあります。

そして、これは一概には言えませんが、勉強が苦手だったという高卒者は、学習に対する意欲や吸収力が大卒者と異なるケースも考えられます。「何時間もずっと勉強をするのに抵抗がある」「高校で習った範囲も含めて経済や法律の知識がまったくない」ような人にとって、公認会計士の試験勉強のハードルはかなり高いです。

このような理由から、大卒者と比較すると高卒者が公認会計士試験の学習時間が長くなる可能性があります。

高卒だと公認会計士の試験科目免除を受けづらい

高卒の場合、公認会計士の試験科目免除が受けづらい点にも注意が必要です。

公認会計士の試験は、過去2年間の間に短答式試験に合格した人や、一定の条件を満たした学歴・経歴の人は、試験内容を一部免除されるシステムがあります。

具体的には、商学・法律学関連における博士学位取得者は短答式試験を全科目免除、法科大学院修了者は短答式試験を一部科目免除など、商学・法律系の分野を大学院で学んだ人に対して試験科目が免除されます。

高卒だとこういった免除制度は利用しづらく、原則として全科目の勉強をしなければいけません。

とは言え、試験科目の免除を受けられる人は全受験者の中でも限られているので、免除を受けられないことをハンデに感じることはないでしょう。

ちなみに、税理士の資格を持っている人なども一部の科目が免除されるので、先に税理士の資格を取得している場合は、試験免除の申請を忘れずにするようにしてください。

強い意志で独学できれば学歴や年齢は関係ない

高卒者は、大卒者よりも公認会計士試験において不利になるケースがあります。とは言え、強い意志を持って頑張り続けられるなら、大卒者との差をなくすことは可能です。

公認会計士試験の基礎知識の土台が大卒者よりも不足しているケースがないとは言えませんが、大学の講義で学べる知識量と公認会計士の試験に合格するために必要な知識量はまったく違います。

基本的な大卒者と比べてもスタートラインにそこまで大きな差があるわけでもないので、最終的には学歴や年齢などは関係なく、努力し続けられる人が合格を掴み取れます。

公認会計士に向いている高卒30代の4つの特徴

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高卒30代で公認会計士試験に合格できても、公認会計士としてしっかり働けるか不安な方もいるのではないでしょうか。

ここでは、公認会計士に向いている人の特徴を解説します。

数字が好きで長時間集中して取り組める

公認会計士の仕事は、細かく数字をチェックしたり計算したりすることが欠かせません。そもそも数字が苦手な人には不向きな職業なので、長時間集中して数字のチェックや計算に取り組める人ではないと、公認会計士を続けるのは難しいでしょう。

また、公認会計士は書類の作成やチェックなどといった地道な作業が多く、基本的にミスは許されません。作業の正確性も求められることから、細かい作業にコツコツと取り組める人や慎重な人は、公認会計士として活躍できる可能性が高いです。

正義感が強くやり遂げる力がある

公認会計士には、中立的に考えられる正義感の強さが求められます。企業の不正を見つけたらしっかりと指摘ができる勇気や責任感がある人は、公認会計士として適性があります。

また、難しい監査やイレギュラーな対応を求められるケースがあっても、最後まで投げ出さずにやり遂げる意志の強さや対応力も必須の職業です。

仕事のために学び続けられる

公認会計士は難関資格であり、膨大な試験範囲を勉強する必要があります。そして、試験に合格すれば勉強を終われるというわけではありません。

公認会計士試験に合格後も、仕事のために勉強し続けることが必要不可欠です。会計に関する法律は常に改定を繰り返しており、改定されるたびに新しい知識を学び直さなければなりません。

将来的にもずっと学び続ける意欲がある人でないと、公認会計士として働き続けるのは難しいでしょう。

コミュニケーションをとることが得意である

公認会計士は数字と向き合う仕事であると同時に、人と関わることも多い仕事です。企業へのヒアリングやアドバイスなどが業務に含まれており、同じ職場内だけではなくさまざまな立場の人と話す機会が多いので、コミュニケーション能力は必須です。

また、独立開業した場合は、集客のために営業力も求められます。コミュニケーションが得意だと、公認会計士として活躍できるチャンスが広がります。

高卒30代が公認会計士になる3つのメリット

30代高卒男性が転職するメリット

そもそも、高卒30代で公認会計士になることにはメリットがあるのでしょうか。

ここでは、高卒30代が公認会計士として働くメリットを解説します。

平均年収が700万円以上アップする可能性がある

公認会計士の平均年収と高卒者全体の平均年収は以下の通りです。

参考
【公認会計士の平均年収】
●中小企業(企業規模5~9人):650万円
●大企業(企業規模1,000人以上):1,150万円
【高卒の平均年収】
●約442万円

全業界・職種における高卒者全体の平均月収は29.5万円なので、年間賞与3か月分と仮定すると、平均年収は約442万円です。公認会計士として大企業に勤められれば年収が700万円以上高くなる可能性があります。

公認会計士になるまでは非常に難易度が高いものの、年収が2倍以上高くなる可能性もあるので、努力する価値はあるでしょう。

参考:
賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 企業規模5~9人(参照 2023-12-25)
賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(参照2023-12-25)
厚生労働省令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況(参照 2023-12-25)

公認会計士は需要が高い国家資格である

公認会計士の資格は「三大国家資格」と呼ばれるほどに高難易度の資格であり、資格を持っているだけで優秀な人材だとみなされます。

また、公認会計士が携われる監査業務は、公認会計士の有資格者しか担当できない独占業務です。専門職でもあるため、資格を取得できれば全国どこでも活躍できる可能性が高くなります。

そんな資格を持っているからこそ、公認会計士は需要が高く、監査法人だけではなく民間企業への転職や独立などさまざまな進路があります。そのため、幅広い選択肢の中から自分らしい働き方を選べるのも大きな魅力です。

公認会計士はなり手が少ないからこそ人手不足の傾向があるため、就職や転職に困りにくいというメリットがあります。

いろいろな企業や人とつながりが持てる

公認会計士は大企業とのつながりを持てることも魅力の一つです。

高卒で特定の企業に勤める場合は、関わることができる企業や人は限定されがちです。しかし、公認会計士になると大企業や社外の多様な職種の人と関わりを持てるので、人脈づくりにも役立ちます。

後に独立したり転職をしたりするときにも、幅広い業界の人脈はかなり重要になります。有益な経験を積みながら多くの人とのつながりを持ちたい人にとって、公認会計士はぴったりな仕事です。

高卒30代が公認会計士になる3つのデメリット

中卒で就職するデメリット

高卒30代で公認会計士になると大きなメリットがあることがわかりました。しかし、高卒30代から公認会計士を目指す場合、デメリットもあります。

メリットだけではなくデメリットについても理解して、公認会計士を目指すかを今一度考えてみましょう。

資格取得の難易度が高い

公認会計士は、合格までに3,500時間以上の勉強時間が必要だとも言われています。2〜3年で合格する目標を立てたとしても、毎日3〜5時間以上勉強しなければならない計算です。

そのため、資格の勉強に長期間費やせる忍耐力や経済的な余裕があり、また勉強そのものがある程度得意でないと、公認会計士に合格することは難しいでしょう。

高卒に限った話ではありませんが、試験勉強に費やせる時間的・経済的余裕がないのであれば、まずは試験勉強に集中できる環境を整備する必要があります。

高卒30代以上は就職が厳しい可能性がある

公認会計士合格の平均年齢は24〜25歳です。そのため、30代で合格した場合は20代と比べて就職が厳しくなるケースもないとは言えません。

転職者のキャリア形成や研修のしやすさなどを考えて、同じような条件であればより若い人材を採用する企業が多いのは事実です。

年齢を重ねていくにつれて就職が厳しくなる可能性が高まったり、記憶力が衰えたりするので、公認会計士試験を受けるならできるだけ早い段階での挑戦・合格を目指しましょう。

ただし、公認会計士の資格取得には年齢制限はありません。就職活動の対策をしっかりすれば高卒30代の方も公認会計士として働ける可能性はあるため、スタートが遅い場合でも諦めずに挑戦してみてください。

参考:公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」(参照 2023-12-25)

市場の変化などで将来的に需要が低くなる可能性がある

現在、公認会計士の需要は非常に高いですが、将来的に市場の変化や技術の発達によって需要が減少するおそれがあります。実は公認会計士はAIの発展などで仕事がなくなるかもしれないと言われている職業の一つでもあるのです。

公認会計士試験に合格するまでに費やす時間は膨大です。

そのため、「何年も勉強しているうちに環境が変わる可能性がある」「公認会計士でも一生安泰な職業ではない」ということを理解し、将来的に公認会計士を取り巻く状況が変わった場合にも上手く立ち回れるように準備しておく必要もあります。

高校卒業から年齢を重ねて一念発起して人生を一発逆転させたいと考えている方は、特に忘れてはならない点と言えます。

高卒30代で公認会計士を目指す方法

高卒30代で公認会計士を目指すには、独学で勉強する方法と、資格専門学校に通う方法があります。

ここではそれぞれの方法について、メリットとデメリットに触れながら解説していきます。

独学で資格取得を目指す

独学は自分のペースで勉強できる点や、資格専門学校に通うよりも学習費用を抑えられ、経済的な不安を感じずに勉強できる点が魅力です。

ただし、公認会計士試験は合格までの勉強時間の目安が約3,500時間と言われており、なおかつ学習範囲も広範囲にわたるため、一人での勉強だとモチベーション維持が大変です。わからない部分があっても有識者に質問できず、勉強の効率が落ちてしまう可能性も出てきます。

一人でやってみて独学では難しいと感じたら、通信教育を始めるのも一つの方法です。通信教育なら「自分のペースで学べる」「学習費用を抑えられる」という独学のメリットを得ながら、「わからない問題を解決することが難しい」というデメリットを補えます。

資格専門学校で資格取得を目指す

公認会計士の資格取得を目的にした専門学校は全国にあります。

公認会計士試験は長期にわたる学習が必要ですが、資格専門学校に通えば生徒同士の交流や講師による授業によってモチベーションを維持しやすくなります。また、わからない問題はすぐに講師に聞くことができるのも大きなメリットです。

ただし、受講料がかかるため、経済的に余裕がないと入学が難しい傾向にあります。通学と仕事の両立も難しくなるので、時には現職を退職しなければいけない場合も出てきます。

可能な限り今の環境で通いやすい学校を探すようにしましょう。

また、基本的には生徒数が多く、合格者を多く輩出している専門学校がおすすめです。

公認会計士の合否基準は絶対評価ではなく相対評価であり、資格専門学校に通っている間から自分の相対的な立ち位置を見極めることが重要だからです。生徒数が極端に少ないと母数が少なくなり、自分の立ち位置を知るのが難しくなるおそれがあります。

公認会計士を目指す方法別のメリット・デメリットまとめ

公認会計士試験に挑戦する各方法のメリットとデメリットは下記の通りです。

  メリット デメリット
独学

・自分のペースで学べる

・学習費用を抑えられる

・通信教育と併用しやすい

・モチベーション管理が大変

・わからない問題を解決しづらい

資格専門学校

・学習のモチベーションを維持しやすい

・学校に通うことで仲間ができる

・わからない部分を講師に質問できる

・独学よりも費用がかかる

・通学と仕事との両立が難しい

どちらにもメリット・デメリットはあります。相当の学習時間と学び続ける努力が必要なのはどちらも変わらないので、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

高卒30代が公認会計士になるための準備

中卒者がハローワークを利用するときに知っておきたい注意点

高卒30代が公認会計士を目指すために準備しておくべきことがあります。

やみくもに勉強を始めるのではなく、まずはしっかりと環境を整えることが大切です。

公認会計士試験について情報収集する

まずは、資格試験の勉強に必要な期間や勉強方法、資格取得後の就職先のリサーチなど、公認会計士になるための全体像を把握しましょう。全体像がわかれば、公認会計士試験に挑戦するための具体的な計画を立てやすくなります。

とりあえず資格専門学校に入学したり参考書を買ったりするのではなく、公認会計士試験について情報収集をして、いつまでに試験に合格するか、合格後にどこに就職して最終的にどうなりたいのかといった目標を立て、目標から逆算して今何をするべきかを見極めてください。

自分に合う参考書を選ぶ

試験勉強をする際は最初から難しいテキストを選ぶと理解しづらく、挫折するリスクが高まります。独学なら初心者向けのテキストから少しずつステップアップできるように、段階を踏んで勉強しましょう。

簿記や会計の初心者向けのテキストなども売っているので、まずはどんなテキストがあるのかを調べて、自分の理解度に合ったものを選ぶことがコツです。

ライフスタイルに合う勉強方法やペースを見つける

ライフスタイルや自分の性格などによって効率の良い勉強方法は変わるので、自分なりの勉強方法をできるだけ早く見つけることが重要です。

公認会計士試験は長期にわたる学習となり、自分に合った勉強方法でないとモチベーションを維持できず、いずれ挫折してしまうリスクがあります。

数ヶ月ではなく長期間勉強を続けていくと考えて、自分にとって独学がいいのか、専門学校がいいのかなどを判断することが大切です。

息抜きの方法を見つける

公認会計士試験は難関資格であり、たゆまぬ努力が必要です。しかし、勉強のみの生活ではモチベーション維持が難しくなっていくのも事実です。

適度に気分転換できる趣味やストレス発散方法を見つけることも、合格まで走り続けるうえで大切です。

とは言え、気分転換やストレス発散に時間をかけすぎては本末転倒なため、あくまでも勉強のモチベーションを保つためのものと割り切って短時間で楽しめるような方法を見つけると良いでしょう。

生活費や勉強代のためにお金を貯める

公認会計士試験の勉強に集中するために仕事をやめて無職やフリーターになるなら、生活費や通学資金などをあらかじめ貯める必要があります。お金が足りないまま公認会計士試験の勉強に専念すると、すぐに勉強を続けられなくなったり、心配のあまり勉強に手が付かなくなったりしかねません。

現時点でお金の心配があるなら、短期間で高収入を目指せる仕事やアルバイトに転職することも有効です。

特に、ナイト系の仕事なら学歴を問わず頑張り次第ですぐに稼げるチャンスがあるほか、シフトを自由に入れて短期間・短時間だけ働けるアルバイトの求人も豊富なので、公認会計士試験の勉強との両立も可能です。

ナイト系の仕事は「短期間でお金を貯めて公認会計士試験に専念したい」「アルバイトと勉強を両立したい」という方にぴったりと言えます。

就職面接の対策も入念に行う

公認会計士になるためには、資格取得がゴールではありません。合格しても就職できないと意味がないため、資格取得後は就職面接の対策もしっかりと行う必要があります。

特に、公認会計士試験の勉強に専念した結果フリーターや無職になった期間があると、なぜ空白期間があるのかを面接にて高確率で問われます。

高卒30代の方は空白期間がネックになりやすいので、「受験のために無職やフリーターになった」など、理由を明確に説明できるよう準備しておくことがポイントです。

また、面接のマナーも事前にしっかり押さえて落ち着いて面接に望んでください。

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高卒30代でも努力次第で公認会計士になれる!

公認会計士は難関資格ではあるものの、高卒30代で目指すことは可能です。

30代の高卒の方が公認会計士になると「平均年収が700万円以上アップする可能性がある」「一生使える資格を取得して手に職がつく」「多様な企業とつながりが持てる」といったメリットもあります。

ただし、公認会計士試験は非常に難易度が高いので、相当な学習時間と努力、そして生活費や勉強資金の確保などが必要です。

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