高卒で海上保安官になるには?転職成功のポイントと求められる能力

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高卒で海上保安官になるには?転職成功のポイントと求められる能力

  • 高卒で海上保安官になるにはどうすればいいの?

  • 高卒で海上保安官を目指すメリットやデメリットが知りたい

このように、海上保安官になるためにはどうすべきか悩んでいる高卒者もいるのではないでしょうか。

本記事では、高卒で海上保安官になるための方法や試験内容、海上保安官を目指すメリットやデメリットを詳しく解説します。

海の安全を守る海上保安官に転職し、国家公務員としてキャリアアップを図りたい方はぜひご覧ください。

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高卒でも海上保安官になれる

海上保安官は、高卒者も目指せる職業です。

高卒の場合、卒業後の年数に応じて以下の2つのパターンで海上保安官を目指すことができます。

  • 高卒2年未満の場合:海上保安大学校学生採用試験に合格し、海上保安大学校の本科に入学
  • 高卒12年未満の場合:海上保安学校学生採用試験に合格し、海上保安学校の各課程・コースに入学

海上保安大学校と海上保安学校は別物です。各学校の入学試験を受けるためには、高校卒業後の年数以外にもいくつか条件があります。

  • 日本国籍を有している
  • 懲役や禁錮などの重い刑罰を受けていない
  • 過去に国家公務員として懲戒免職を受けた場合、処分日より2年以上経過している

高校を卒業してから12年以内に各条件を満たすことで、海上保安官になれる学校の入学試験を受験する権利が得られます。

参考:海上保安官採用サイト「海上保安大学校(本科)試験要綱」(参照 2024-12-07) 

海上保安大学校と海上保安学校の違い

海上保安大学校と海上保安学校は、海上保安官を育成する方向性が異なります。

  • 海上保安大学校:将来の幹部候補を育成
  • 海上保安学校:一般職員を育成

海上保安大学校は、将来の幹部候補を育成するのが主な目的です。高卒者の場合、「本科」に入学して海上保安業務に求められる知識やスキルを学びます。本科は卒業すると学士(海上保安)の学位が授与されるのが特徴です。

海上保安学校と比べて教育期間が長いので、「高卒2年以内」という受験条件が設けられています。

一方、海上保安学校は、海上保安官の一般職員の育成が主な目的です。学位こそ得られないものの、希望するコースで海上保安の現場業務に活かせる技術が学べます。また、コースによって海技士や無線技士、船舶操縦士などさまざまな資格が得られます。

なお、海上保安学校卒でも3年以上を目安に実務経験を積み、選抜試験に合格して海上保安大学校特修科に進学すると幹部への昇進を目指すことが可能です。

高校卒業後、12年以内であれば受験できるため、海上保安大学校より目指しやすいと言えます。

高卒で海上保安官になるための必須条件

海の安全を守る海上保安官は、国家公務員として収入が安定しているため、定年まで安定した生活を送れる職業と言えます。

ここでは、高卒で海上保安官になるための以下の条件をご紹介します。

  • 海上保安大学校に入学して課程を修了する
  • 海上保安学校に入学して課程を修了する

それぞれの学校に入学後、どのような流れで課程を修了していくのか詳しく解説していくので、気になった方はご覧ください。

海上保安大学校に入学して課程を修了する

高卒者が海上保安官を目指す方法の一つとして、高校卒業後2年以内に海上保安大学校の本科に入学することが挙げられます。

入学試験に合格したあと、4年間の海上保安官に関するカリキュラムを修了し、9カ月かけて「専門科」「研修科」でより実践的な知識やスキルを習得できれば、海上保安官になれます。

【カリキュラムの流れ】

引用:海上保安大学校「本科」(参照 2024-12-07)

本科を卒業すると専攻科に進み、6カ月ほどかけて船で世界を一周する「遠洋航海実習」に参加します。その後、研修科に進み、3カ月間の国際業務課程を修了する流れです。

海上保安大学校のすべてのカリキュラムを修了すると、巡視船の主任職員として配属されます。本庁との陸上勤務もこなしながら、幹部職員を目指してキャリアを積んでいきます。

海上保安学校に入学して課程を修了する

高卒から海上保安官になるもう一つの方法は、高校卒業後12年以内に海上保安学校に入学して、課程を修了することです。先述した通り、海上保安学校は現場の即戦力として従事できる一般職員を育成するための養成学校なので、カリキュラムの修了期間は1~2年程度と海上保安大学校より短くなります。

なお、2024年度より一部のカリキュラムにおいて、名称の変更や廃止がされています。2024時点では「一般課程」「管制課程」「航空課程」「海洋科学課程」と4つの過程があり、希望の課程を修了すれば晴れて海上保安官になれます。

一般課程は、さらに以下の5つのコースに分類されているのが特徴です。各コースの履修科目と取得できる資格を表でまとめました。

【一般課程の各コースの履修科目・取得資格】

コース名(各1年)履修科目取得資格・免状
航海コース航海、運用、海事法規、気象・海象など四級海技士(航海)筆記試験免除五級海技士(航海)筆記試験免除
第一級海上特殊無線技士
など
機関コース機関、電気機器、海事法など四級海技士(機関)筆記試験免除五級海技士(機関)筆記試験免除第一級海上特殊無線技士など
通信コース通信実技、情報通信、電気機器、基礎電子工学など第三級海上無線通信士航空無線通信士第二級陸上特殊無線技士など
主計コース主計(総務、経理、補給、船舶衛生)調理など船舶料理士船舶衛生管理者第一級海上特殊無線技士
航空整備コース整備、機体、発動機、航空英語など第一級海上特殊無線技士第二級陸上特殊無線技士一級小型船舶操縦士

参考:海上保安官採用サイト「海上保安学校」(参照 2024-12-12)

海上保安学校の各課程と履修科目・取得できる資格を以下の表にまとめました。

課程名履修科目取得資格
管制課程(2年)情報通信、航行安全、管制業務機器、海事一般など第三級海上無線通信士
第二級陸上特殊無線技士
一級小型船舶操縦士など
航空課程(1年)数学、物理、気象・海象、航空通信運用など航空無線通信士一級小型船舶操縦士
海洋科学課程(1年)数学、基礎科学、海上安全業務、気象・海象など国際水路測量技術士第一級海上特殊無線技士第二級陸上特殊無線技士など

参考:海上保安官採用サイト「海上保安学校」(参照 2024-12-12)

海上保管学校は、各課程の卒業、もしくは在学中の試験に合格するとさまざまな資格を取得できるのが特徴です。船舶運航システム課程は9月に、その他のコースは3月に卒業式が執り行われ、海上保安官としての第一歩を踏み出します。

2024年秋に実施される海上保安学校学生採用試験より、「船舶運航システム課程」は「一般課程」に名称が変更されます。

また「情報システム課程」は廃止され、通信士を目指すための「通信コース」が一般課程に設置されています。

高卒で海上保安官を目指す難易度

高卒で海上保安官を目指すことは、決して簡単ではありません。

2023年度の海上保安大学校と海上保安学校の受験者と合格者をもとに、それぞれ合格率を算出しました。

【海上保安大学校】

全受験者数合格者数合格率
276名101名36.5%

参考:人事院「海上保安大学校学生採用試験実施状況」(参照 2024-12-09)

【海上保安学校】※旧課程名別の受験者と合格者、合格率を紹介

課程名全受験者数合格者数合格率
船舶運航システム課程1,523名563名36.9%
航空課程172名27名15.7%
情報システム課程60名32名53.3%
管制課程40名18名45%
海洋科学課程58名25名43.1%
全課程の合計1,853名665名35.8%

参考:人事院「海上保安学校学生採用試験区分別実施状況」(参照 2024-12-09)

海上保安学校は2024年度より「船舶運航システム課程」の名称が「一般課程」に変更されています。また、「情報システム課程」が廃止される代わりに、一般課程に新たに「通信コース」が新設されています。

2023年の海上保安大学校と海上保安学校の合格率は、どちらも約3割強です。司法試験の合格率が約4割である点を踏まえると、海上保安官になる難易度は高めと言えます。

2023年の受験倍率は、過去5年間で最も低くなっていると言われており、受験者数は年々減少傾向です。ただし、2025年度の採用試験からは、海上保安学校の航空課程を除き、採用試験における身長・体重の制限が撤廃されます。海上保安庁は、より多彩な人材を確保する方針を固めつつあるため、今より海上保安官を目指しやすくなるでしょう。

参考:海上保安官採用サイト「海上保安大学校学生採用試験等における身長及び体重に係る制限の廃止について 」(参照 2024-12-09) 

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海上保安大学校・海上保安学校の試験内容

海上保安官を目指すためには、まず各学校に入学するための採用試験に合格しなければなりません。しかし、合格率は3割程度と決して高い数字ではないので、あらかじめ試験内容を把握して入念に対策を行うことが大切です。

ここでは、海上保安大学校・海上保安学校の入学試験内容について解説します。十分な試験対策を立てられるように、入りたい学校の試験内容を理解しておきましょう。

海上保安大学校の試験内容

海上保安大学校の本科は、二次試験まで開催されます。

【海上保安大学校の試験内容】

学科名試験内容
海上保安大学校(本科)【一次試験】
基礎能力試験(多肢選択式、知能・知識分野)
学科試験(多肢選択式・記述式、数学・英語)作文試験

【二次試験】
人物試験(個別試験)
身体検査・身体測定・体力測定

参考:人事院「2024年度 国家公務員 海上保安大学校学生採用試験 受験案内」(参照 2024-12-12)

基礎能力試験では、知能分野が「文章理解・課題処理・数的処理・資料解釈」の4つ、知識分野が「自然科学・人文科学・社会科学・情報」の4つから40問が出題されます。また、学科試験では「数学I・II」「数学A・B・C」「英語コミュニケーションI・II」から26問が出題されます。

海上保安大学校の採用試験の難易度は、国立大学の入試問題並みだと言われているため、約1,000時間ほどの勉強時間が必要です。

ここでは、2023年秋の学科試験で実際に出た問題をご紹介します。

No.17
次のA、B、Cの()内のア、イから、より適切なものを選びだしたものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
A.My brother has (ア twice as many books イ twice the number of books)that I have.
B.Your report is superior (ア of イ to)mine.
C.Exercise is no(ア less イ least)necessary to health than food.

出典: 人事院「H6-2023-学科(多肢選択式)試験問題」(参照 2024-12-09)

二次試験は、「人物試験(個人面接)」「体力検査」などが行われます。

※身体測定は、2025年度の採用試験より一部課程を除き「体重・身長」の制限が撤廃される予定です。

海上保安学校の試験内容

海上保安学校では、海上大学校と同じく基本的に二次試験まで行われます。

航空学科のみ、船を操作する能力や身体能力をチェックするために三次試験も実施されます。

【海上保安学校の試験内容(2024年度の内容)】

課程名試験内容
一般課程【一次試験】
基礎能力試験(多肢選択式、知能・知識分野など)作文試験

【二次試験】
人物試験(個別試験)身体検査・身体測定・体力検査
航空課程【一次試験】
基礎能力試験(多肢選択式、知能・知識分野など)
学科試験(多肢選択式、数学・英語)

【二次試験】
身体検査・身体測定・体力検査

【三次試験】
人物試験(個別試験)
適性検査(操縦検査)
身体測定(精神・神経系)
管制課程【一次試験】
基礎能力試験(多肢選択式、知能・知識分野など)
学科試験(多肢選択式、数学・英語・物理)

【二次試験】
人物試験(個別試験)
身体検査・身体測定・体力検査
海洋科学課程【一次試験】
基礎能力試験(多肢選択式、知能・知識分野など)
学科試験(多肢選択式、数学・英語)

【二次試験】
人物試験(個別試験)
身体検査・身体測定・体力検査

参考:人事院「2024年度 国家公務員 海上保安学校学生採用試験 受験案内」(参照 2024-12-12)

一般課程の基礎能力試験は、国家公務員試験の高卒程度に合格できるレベルの学力が求められる傾向です。知能分野では文章理解や数的処理、知識分野では自然科学や社会科学などが出題されます。なお、合格ラインの目安は6割程度という声もあります。

また、一般課程以外で実施される学科試験は、大学入試レベルの学力が必要だと言われているものの、試験種目が前もって発表されるため事前に対策しやすいです。

ここでは、2023年度に管制課程で出題された数学問題をご紹介します。

No.5 

正十角形の①対角線の本数と②10個の頂点のうちの3個を頂点とする三角形の個数の組み合わせとして正しいのはどれか。

  • 30本、110個
  • 35本、110個
  • 35本、120個
  • 45本、110個
  • 45本、120個

参考:人事院「H7-2023-数学 管制 学科(多肢選択式)試験問題」(参照 2024-12-09) 

海上保安官の試験対策

海上保安大学校や海上保安学校の採用試験の合格率は約3割強と言われており、難易度は高めです。

各学校の採用試験に合格するためには、試験ごとに対策を知っておく必要があります。ここでは、以下の海上保安官の試験対策をご紹介します。

  • 【筆記試験】過去問集で対策する
  • 【論作文】本や新聞を読み対策する
  • 【面接】回答を用意して実践練習で対策する
  • 【体力測定】普段のトレーニングで対策する

高卒で海上保安官を目指している方は、ぜひご覧ください。

【筆記試験】過去問集で対策する

筆記試験は、市販の公務員試験の過去問集や、海上保安学校・大学校の過去問集で対策するのがおすすめです。

筆記試験には「基礎能力試験」と「学科試験」があります。

  • 基礎能力試験:公務員として必要な基礎的な能力が問われる試験
  • 学科試験:数学および英語の学力が求められる試験

※海上保安学校の海洋科学課程のみ、学科試験に「物理基礎」も出題

なお、海上保安大学校では選択式と記述式、海上保安学校では選択式で出題されます。

海上保安大学校・海上保安学校の筆記試験は、基本的に配点比率が高く、問題数も多いことから、いち早く過去問の内容を網羅して自分の得意・不得意の分野を把握しておく必要があります。

過去問の内容を網羅する際は、なぜその解答になるのか本質を理解しながら解くのがポイントです。過去問の内容を把握して自分の得意・不得意の分野が理解できたあとは、苦手な分野を克服できるように勉強スケジュールを立ててみましょう。

筆記試験の傾向を掴めたあとは、本番を想定して時間を測りながら問題を解いてみるのもおすすめです。

【論作文】本や新聞を読み対策する

海上保安大学校と海上保安学校の一般課程では、50分以内に指定されたテーマで600文字程度の論作文を書く「作文試験」が実施されます。論作文を上手く書くコツは、日頃から新聞や書籍に目を通して、語彙力や読解力を鍛えておくことです。

作文試験は、課題に対する判断力や理解力を文章を通してチェックする試験なので、論理的な文章構成能力が必須です。与えられたテーマからズレない文章を作れるように、文章を読んで知識や言葉を習得する癖を身につけておけば、より高いクオリティの論作文に仕上がります。

また、作文試験を突破するポイントとして、限られた時間内で論理的な文章を組み立てる練習をすることも欠かせません。普段から「序論」「本論」「結論」を意識した文章を作れるように、何回も書いて練習しましょう。

2023年に海上保安大学校で出題された作文テーマは以下の通りです。

課題:他者に敬意を持って接することの大切さについて

参照:人事院「作文課題」(2024-12-13)

【面接】回答を用意して実践練習で対策する

面接試験では、3名の面接官を相手に約20分~30分程度の個人面接が行われ、主に積極性や堅実性、態度といった評価基準を設けています。

海上保安官にふさわしい人物かどうか見極めるために、海上保安大学校・海上保安学校ともに面接に力を入れている傾向にあります。

面接対策では以下のポイントを重視し、好印象を与えられるようにしましょう。

【1.基本的な所作に気を付ける】

  • 姿勢、お辞儀の角度に注意する
  • 大きな声ではっきりと話す
  • 相手の目を見て話す

【2.志望動機やよくある質問を事前に考えておく】

  • なぜ海上保安官を目指すのか
  • どんな海上保安官になりたいのか
  • 自分の強みをどう活かせるか
  • 海上保安官にどんなイメージを持っているか
  • 海上保安学校は厳しいが問題ないか
  • ◯◯管区はどこにあるか

「基本的な所作に気を付ける」「志望動機やよくある質問を事前に考えておく」の2つのポイントを意識しながら、実際の面接を想定して対人での練習を重ねることが合格への近道と言えます。

【体力測定】普段のトレーニングで対策する

体力測定は合否を分ける重要な試験で、以下のどれか1種目でも基準に達しなければ不合格となります。

種目男子女子
反復横跳び(20秒)44回以上37回以上
上体起こし(30秒)21回以上13回以上
鉄棒両手ぶら下がり10秒以上耐える10秒以上耐える

参照:海上保安庁「受験資格等の詳細」(2024-12-13)

ご覧の通り、体力試験では、主に筋力が求められる種目が多いのが特徴です。トレーニングを習慣化し、十分な結果が出せる体力や筋力を身に付けておくようにしましょう。

なお、海上保安大学校・海上保安学校ともに水泳の試験は実施されないため、泳げなくても体力試験に合格できる可能性があります。

とはいえ、海上保安官の業務を考えると水に慣れておくに越したことはないので、スイミングスクールに通って水への苦手意識を克服しておくのもおすすめです。

高卒で海上保安官を目指すメリット

国家公務員である海上保安官になれれば、以下のようにいくつかメリットが得られます。

  • 平均年収が高い
  • 幅広い職種から選べる
  • 異動の範囲を配慮してくれる場合がある

海上保安官になることで、国家公務員として収入が安定するのはもちろん、幅広い職種の中から自分に合った仕事を見つけやすかったり、異動を命じられる際は一人ひとりの事情に配慮してもらえる場合があったりします。

それぞれのメリットについて詳しく解説するので、海上保安官に興味がある高卒者はぜひご覧ください。

平均年収が高い

高卒で海上保安官を目指すメリットの一つは、平均年収が高いことです。

人事院が実施した「令和5年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、海上保安官の平均給与月額は40万9,111円でした。
※「公安職俸給表(二)」を参照

ボーナスが年4.5カ月支給されることを仮定すると、海上保安官の平均年収は675万332円です。この年収額は、高卒の平均年収である447万円を200万円以上も上回っています。

海上保安官の平均年収が高い理由は、基本給以外にも以下のような手当が支給される点が挙げられます。

  • 乗船手当
  • 航海日当
  • 食事代
  • 期末手当・勤勉手当(6月と12月の4.5ヶ月分)

なお、海上保安大学校・海上保安学校に入学した時点で、国家公務員というポジションに就けます。そのため、海上保安官になる知識やスキルを学びながら、給与や期末手当・勤勉手当(ボーナス)を受け取れるのも魅力です。

参考:
人事部「令和5年 国家公務員給与等実態調査 報告書」(参照 2024-12-09)
厚生労働省「(3) 学歴別にみた賃金 」(参照 2024-12-09)
海上保安庁「海上保安庁の魅力」(参照 2024-12-09)

幅広い職種から選べる

海上保安官は、以下のように幅広い職種があるため、自分に合った仕事が見つかりやすいメリットがあります。

参考
巡視船乗組員
潜水士
機動救難士
救急救命士
鑑識官
国際捜査官
化学分析官
サイバーセキュリティ対策官
運用管制官
安全対策係
環境保全係
大洋調査官
外交官
南極地域観測隊員
音楽隊員
事務職(人事・経理等)
航空整備士
航空操縦士(航空課程)

海上保安官は、主に「警備業務」「救護業務」「海上交通業務」「海洋情報業務」「操作系」の5つに分類されています。他にも、「パイロット」「情報処理官」「音楽隊」など海を守る仕事とは少し異なる職種もあります。

海上保安学校を卒業後、一般職員として現場に携わりたい方は、あらかじめ興味のある職種を明確にしたうえでそれに合った課程・コースを受験するようにしましょう。

異動の範囲を配慮してくれる場合がある

海上保安官の場合、ほとんどの職種において異動の範囲を配慮してもらえる傾向にあります。

国家公務員は、原則数年おきに異動が発生するため、生活基盤が整えにくいデメリットがあります。海上保安官も昇進のタイミングやスキルアップなどを理由に異動が発生するものの、基本的には生活の根拠地の範囲内に留まるケースが多いです。

あらかじめ決められた範囲内で異動することを「管区内転勤」と呼びます。海上保安官は、以下のように保安管区が区切られており、遠方への転勤が発生しないような仕組みが出来上がっています。

海上保安庁11の管区管区内の都道府県
第一海上保安管区北海道
第二海上保安管区青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
第三海上保安管区茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県
第四海上保安管区岐阜県、愛知県、三重県
第五海上保安管区滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、高知県
第六海上保安管区岡山県、広島県、山口県一部、香川県
第七海上保安管区山口県一部、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
第八海上保安管区京都府、福井県、兵庫県一部、島根県、鳥取県
第九海上保安管区新潟県、富山県、石川県、長野県
第十海上保安管区熊本県、宮崎県、鹿児島県
第十一海上保安管区沖縄県

参考:レファレンス共同データベース「海上保安庁の各管区の担当水域を知りたい。 | レファレンス協同データベース」(参照 2024-12-09)

ただし、海上保安大学校の卒業者と以下の過程・コースの修了者は全国転勤が発生します。

  • 航空課程
  • 管制課程
  • 海洋科学課程

なお、転勤した場合、距離に応じて給与の5%〜10%が手当として支給されます。

参考:海上保安庁「管区海上保安本部」(参照 2024-12-09)

高卒で海上保安官を目指すデメリット

高卒で海上保安官になるメリットがいくつかある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • 上下関係が厳しい
  • 命の危険と隣り合わせ
  • 休日出勤や泊りがけの業務が発生する場合もある

海上保安官は、海の安全を守る仕事だからこそ、精神的にも肉体的にもさまざまなリスクを伴う場合が多いです。

ここでは、高卒で海上保安官を目指すデメリットを解説するので、自分の将来を決める際の参考材料の一つとしてお役立てください。

上下関係が厳しい

海上保安官は、他の職種より上下関係が厳しい傾向にあります。

海上保安大学校・海上保安学校に入学すると、親元やこれまで暮らしていた家を離れて寮での生活が始まります。今までの学生生活とは異なる厳しいルールに則って過ごす形になるので、常に時間厳守や整理整頓、礼儀作法などを意識しながら生活しなければいけません。

また、厳しい上下関係や規則は学校を卒業して現場に配属されたあとも続きます。やや閉鎖的な環境下で働かなければいけない可能性が高いので、自由な生活に慣れている人にとっては大きな負担になるでしょう。

海上保安官として活躍するためには、「目上の人に対して礼儀ができているかどうか」「職場の規則に沿って活動ができるかどうか」の2つを押さえておくことが大切です。

命の危険と隣り合わせ

海上保安官の仕事は、命の危険と隣り合わせの業務ばかりです。

特に海上勤務の場合、荒れた海での救助活動や不審な船への対応、テロ対策など、危険な場面に遭遇するケースも珍しくありません。少しの判断ミスがきっかけで自身や仲間の命を危険にさらす可能性もあるため、勤務中は常に気を緩めず従事することが求められます。

海上保安官は、危険な環境下に置かれる可能性が高い職業です。そのため、日頃から緊張感と冷静な判断力を持って、業務や訓練に取り組む必要があります。

海上保安官になる際は、命の危険と隣り合わせになるかもしれないリスクを承知のうえで目指しましょう。

休日出勤や泊りがけの業務が発生する場合もある

海上保安官の職種によっては、休日でも急遽出勤を命じられるケースがあります。

たとえば、地震や台風といった大規模災害や水難事故が発生した場合、救護活動やその他対応などを行うために休日でもすぐ現場に向かわなければなりません。そのため休みの日でもすぐに連絡がつくようにしておく必要があるうえ、体力を要する仕事でありながら休みが担保されているわけではありません。 

また、巡視船に乗船する際、任務内容によっては10日ほど自宅に帰れないケースもあります。不規則な勤務が続きやすい職種が多いので、なかなかプライベートな時間を確保しにくい点も海上保安官のデメリットと言えます。

高卒で海上保安官が向いている人と向いていない人の特徴

海上保安官は、労働環境が厳しいがゆえに、向き・不向きがはっきりしている職業の一つです。

ここでは、高卒で海上保安官に向いている人・向いていない人の特徴を3つずつ解説します。海上保安官に向いているかどうか知りたい方は参考にしてください。

高卒で海上保安官に向いている人高卒で海上保安官に向いていない人
責任感が強い人臨機応変な対応が難しい人
協調性がある人船酔いしやすい人
体力がある人メンタルが弱い人

高卒で海上保安官に向いている人の特徴3つ

海上保安官に向いている人の3つの特徴は以下の通りです。

  • 責任感が強い人
  • 協調性がある人
  • 体力がある人

海上保安官は、強い責任感を持つことが必要不可欠な仕事です。職種によっては、海難救助や法令違反の取り締まりなど、人命や安全に直接関わる業務が多く、時には自分自身で重要な判断を下さなければいけないケースもあります。何より、海の治安を守るという強い正義感を持たなければ務まらないでしょう。

自分の行動に責任を持ち、最後まで任務をやり遂げる強い意志がある人は、海上保安官に向いていると言えます。

また、海上保安官はチーム単位で動くため、周りと協力しながら任務を遂行する協調性も求められます。たとえば、海上での捜索救助や災害対応など危険を伴う場合、部署を問わず多くの人と連携しながら作業を行わなければいけません。そんな状況の中で、自分勝手に行動したりチームの輪を乱したりするような人は、海上保安官として活躍するのは難しいです。

そして、体力がある人や体力作りに意欲的な人も海上保安官に適しています。荒天時の救助活動や長時間の監視業務など、体力が求められる仕事も多いので、スタミナがあるに越したことはないでしょう。

高卒で海上保安官に向いていない人の特徴3つ

海上保安官に向いていない人の3つの特徴は以下の通りです。

  • 臨機応変な対応が難しい人
  • 船酔いしやすい人
  • メンタルが弱い人

臨機応変な対応が苦手な人は、海上保安官の仕事において苦労する可能性があります。海上での活動は、天候や海の状況によって変動し、時には予期せぬ事態も発生するケースも珍しくありません。マニュアル通りの対応が難しいケースも多いため、臨機応変な対応に苦手意識がある人には難しい仕事と言えます。

また、海上保安官の職種のほとんどは、長時間船の上で過ごす傾向にあります。そのため、船酔いしやすい人には向いていません。海上保安大学校・海上保安学校の在学中に訓練を通して船酔いを克服できる場合もありますが、他の人より海上保安官になるまでの道のりが険しくなるのは間違いないでしょう。

そして、海上保安官は日頃から厳しい環境下に置かれており、メンタルの強さも求められます。職場内の厳しい上下関係にも耐える必要があるため、メンタルが弱い人は海上自衛官として続けられないかもしれません。

高卒で海上保安官になるためのおさらい

高卒で海上保安官になるためには、以下の2つの方法で学校に入学し、海上保安官になるための知識やスキルを身に付ける必要があります。

  • 高卒2年未満の場合:海上保安大学校学生採用試験に合格し、海上保安大学校の本科に入学
  • 高卒12年未満の場合:海上保安学校学生採用試験に合格し、海上保安学校の各課程・コースに入学

海上保安大学校は、幹部候補を育成するのが目的で、4年9ヶ月に及ぶカリキュラムを修了すると、幹部職員としてキャリアを歩めます。

海上保安学校は、一般職員の育成が目的です。「一般課程」「管制課程」「航空課程」「海洋科学課程」の4つのいずれかに入学後、1〜2年の訓練期間を経て現場に配属されます。

海上保安大学校と海上保安学校は、受験資格や目指すキャリアの方向性、教育期間が異なります。高卒で海上保安官になる際は、自分の今の現状を考慮したうえで今後築きたいキャリアを明確にしておくことが重要です。

今回ご紹介した記事の内容を参考に、ぜひ海上保安官を目指してみてください。

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『メンズバニラネクスト』では最終学歴が高卒・中卒(18歳以上高校生不可)の転職先を探している男性に向けた求人情報を発信しています。ご紹介する高収入男性求人は、いずれも応募資格として学歴不問を掲げながら、大卒並み、あるいは大卒以上の収入を安定して稼げる求人ばかりです。さらに業界未経験であったり、特別なスキルがなかったりしても採用に前向きな求人が多いのも特徴。誰にでも平等にチャンスがあるため、実力次第でスピード昇給・昇進も実現できます。安定した高収入を得られたら生活に余裕ができ、やりたいことや将来の夢が広がることでしょう。そのほかにも転職活動にあたって気になる情報や知っておきたい知識、面接対策などを解説したコラムも掲載しています。「学歴に関係なく評価してくれる仕事に就きたい」「高卒でも安定して稼げる仕事を探している」という方はぜひチェックしてください。

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