当方の反対は?読み方は?言葉の意味と言い換え表現を解説

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当方の反対は?読み方は?言葉の意味と言い換え表現を解説

「当方」という言葉の意味やビジネスシーンでの正しい使い方、さらにその対義語(反対語)などについて詳しく解説します。

私生活ではあまり使わない言葉なので、使い方に迷っているという方も少なくないのではないでしょうか。

当記事では、「当方」と似た言葉である「弊社」「私ども」「当社」などとの違い、個人の一人称として使えるのかといった内容もあわせて紹介しています。

「当方」を使う際に注意すべき点や英語での表現方法も解説するため、「当方」の使い方に迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

状況に応じて適切な言葉を使い分けていきましょう。

「当方」は取引先に使用して良い

「当方(とうほう)」という言葉は、ビジネスシーンにおいて取引先に使用して問題のない表現です。

「当方」は社内の相手に対して使用するのは不自然で、むしろ社外の相手のみに使える言葉です。

「当方」とは、自分が所属する組織を丁寧に示す際に用いられ、「こちら側」や「私ども」「私たち」の類義語にあたります。

ビジネスシーンでは、社外の取引先や顧客とのコミュニケーションにおいて、自分が所属する企業や部署、チームなどを指す際に使用します。

また、「当方」は、明確に担当者が決まっていない場面で用いられるケースも多いです。

担当者の名前を伝えられない場合に、「当方」という言葉を使用して、自社の代表として情報を伝える際にも使用できます。

ちなみに、正式なビジネス文章や契約書などで使うのは適切ではない表現なので、基本的には対面での会話や日常的な業務メール・チャットなどで使うようにしましょう。

「当社」や「弊社」といった言葉とはニュアンスが若干違うので、状況に応じて使い分けることが重要です。

「当方」の意味

「当方」は、主にビジネスシーンにおいて自分が所属する組織を丁寧に指す表現です。

『精選版 日本国語大辞典』によると、「当方」という言葉には以下の意味があると説明されています。

自分の属している方。自分の方。こちら。

出典: コトバンク(精選版 日本国語大辞典)「当方」(参照 2024-11-23)

「自分が所属している部署、グループ、会社」の一人称であり、個人ではなく自分が属している組織を指す言葉です。

そのため、個人の考えや行動について述べる際には使用できません。

この言葉を使うと、自分が所属する組織を代表することになるという点に注意しましょう。

また、性別を問わず男性・女性のどちらが使っても違和感がない言葉なので、幅広い場面で活用されています。

「当方」と「弊社」の違い

「当方」と「弊社(へいしゃ)」は、どちらも自分が所属する組織を丁寧に表現する言葉ですが、使用場面やニュアンスに違いがあります。

「当方」は取引先や顧客に対して丁寧な印象を与えるものの、謙譲の意味合いはなく、正式なビジネス文書では使用できません。

一方、「弊社」は公式のビジネス文書でも使用できます。自分の会社をへりくだって表す謙譲語を使いたい場合は「当方」より「弊社」が無難です。

また、「弊社」と似た言葉には、自分が所属する会社を謙遜して指す「小社」という言葉もあります。ただし、「小社」は「小さな会社」という意味も含まれているので、企業規模を考慮せずに使うなら「弊社」がおすすめです。

ちなみに、「当方」「弊社」「小社」ともに社外向けの表現なので、社内の相手には使用しません。

「当方」と「私ども」の違い

「当方」と「私ども(わたしども・わたくしども)」は、どちらも自分が所属する組織を丁寧に表現する言葉ですが、やはりニュアンスに違いがあります。

「当方」には謙譲の意味はありませんが、「私ども」は「ども」という謙遜を表す言葉が使われており、「弊社」と同じくへりくだった言い方です。

また、「私ども」は「当方」「弊社」と比べると、より柔らかく親しみやすい印象を与える表現であり、相手との距離を縮める際に適しています

「当方」と「当社」の違い

「当方」と「当社」は、どちらも自分が所属する組織を丁寧に表現する言葉ですが、使用場面に違いがあります。

「当方」は、取引先や顧客といった社外の人のみに対して用いられるのに対して、「当社」は主に自社内で使われる言葉です。

また、「当社」も「当方」と同じく謙譲のニュアンスはありません。

そのため、社外に対して使う場合は、求職者への就職説明会や、クレーム対応時、金額交渉時など、他社に対してへりくだる必要のない場合に使用されるケースが大半です。

「当社比」といった形で、自社製品の性能やサービスの仕様を伝える場合にも用いられます。ちなみに、銀行を指す場合は「当行」、店舗を指す場合には「当店」といったように、言葉が変化することも覚えておきましょう。

「当方」の反対語

「当方」の反対語は「先方(せんぽう)」です。

「先方」は、「相手方」「相手先」という意味の言葉で、「当方」にへりくだる謙譲語のニュアンスが含まれていないのと同様に、「先方」も相手を敬う敬語のニュアンスは含まれていません。

そのため、相手に対して敬意を表したい場合は「先様(さきさま)」や「御社」といった表現を用います。「先方様」といった呼び方はしません。

  • この方法で問題がないかどうか、先方の確認をとってきます。

  • 先方のご意向で、スケジュールが変更になりました。

といったように、社内で上司や同僚、部下に、相手方について報告・相談をする際などに使われる場面が多いです。

また、「先方」はその場にはいない第三者を指す際に使われる言葉なので、面と向かって社外の人に「先方」と呼ぶことはありません。

取引先や顧客の人に向かって使用するのはビジネスマナーに反してしまうので注意が必要です。

「先方」は会社や組織、部署、チームなどをまとめて指す言葉のため、社外の特定の担当者・個人を指したいときは、「〇〇様」と個人名を呼ぶようにしましょう。

「当方」の使用例

「当方」は、取引先や顧客に対して自分の属している組織を表現する際に使用されます。

以下は、会話やメールなどでの具体的な使用例です。

【使用例1】

  • 取引先:今後の打ち合わせはどなたが参加されますか。

  • あなた:当方からは△△が参加いたします。

【使用例2】

  • 取引先:〇〇の件について、異存はないでしょうか。

  • あなた:当方としましては、先日ご提示いただいた条件で問題ございません。

このように、組織を代表して社外対応をする際に使えます。

また、「当方」は担当者が特に決まっていないときや、相手方に担当者をぼかしたいときにも活用できます。

問い合わせを受けたものの、担当者が特に決まっていない場合は、下記のような使い方をしましょう。

  • 当方で担当者が決まり次第、すぐにご連絡いたします。

  • その件につきましては、当方で原因を確認中でございます。

くわえて、下記のように特にへりくだる必要がない注意書きなどにも使われるケースもあります。

  • 会場内のトラブルについては、当方は一切の責任を負いかねます。

いずれの使い方でも、所属する組織全体の代表として使用する言葉なので、その場の思いつきや私見などで発言するのは避けるのが無難です。

「当方」をビジネスで使う時の注意点

「当方」をビジネスシーンで使用する際には、適切な場面と相手を選ぶ必要があります。

「当方」は意外と使う場面に制約がある言葉なのです。

不適切な使用は誤解を招く可能性があるため、以下の注意点を守ることが大切です。

  • 正式なビジネス文書では使わない
  • 個人の一人称として使わない
  • 社内では使わない

なぜこのような注意が必要なのか、それぞれの使用方法について詳しく見ていきましょう。

【注意点1】正式なビジネス文書では使わない

「当方」は丁寧な言葉ではあるものの、比較的カジュアルな場面で使う言葉なので、正式なビジネス文書では使用しない表現です。

担当者が決まっていない場合に使うこともあり、責任の所在が曖昧な表現なので、契約書や約款、念書といった正式なビジネス文書で使用すると、文書の正式性や信頼性が損なわれる可能性があります。

内容の正確さが問われる文書では「当方」を使用しないようにしましょう。

正式なビジネス文書では、「弊社」や「当社」、または具体的な社名・部署名などを使用するのが一般的です。

ちなみに、「弊社」はへりくだった表現なので、社内向けの文書で使用するのは不適切です。社内向け文書の場合は「当社」を使用します。

【注意点2】個人の一人称として使わない

「当方」は、自分が属する組織を表す言葉であり、一個人を指す一人称として使用するのは適切ではありません。

個人としての意見を述べる際に「当方としては」と表現してしまうと、所属する組織の総意を述べていることになってしまい、誤解を招いてしまう可能性が高いです。

個人の意見を述べる場合には「私としては」や「私の意見では」といった表現を使用しましょう。

一方で、個人的な意見ではなく、組織全体の意見を述べたい場合は「当方としては」が適切です。

使用する場面に応じて適切な一人称表現を選ぶと、明確に意図を伝えられます。

誤解を招かないためにも、文脈に合わせて適切に一人称を使い分けることが大切です。

【注意点3】社内では使わない

「当方」は、自分が属する組織の代表として社外の相手と接する際に使用する言葉なので、社内の相手に対して使用するのは不適切です。

社内で「当方」を使ってしまうと、それが会社全体を指しているのか、自分が所属している部署やチームを指しているのかがわからず、相手に誤解を与えやすいため注意が必要です。

社内で、所属している会社を指す場合は「当社」や「わが社」「私ども」、自分の部署を指す場合は「うちの課」「〇〇部」などを使うのが適切です。

「我が社」「うちの部」といった表現は、帰属を示す意味合いが強いので、社員間での団結を促し、同じ組織に属していることを強調したいときによく使われます。

また、「自社製品」「自社株」などのように、「自社」という呼び方もあります。こちらも「当社」と同じく謙譲語としてのニュアンスはなく、「当社」よりもさらにくだけた表現です。

自分の所属組織を指す言葉は、相手や状況に応じて使い分けるようにしましょう。

ビジネスメールでの「当方」を言い換えた使用例文

ビジネスシーンにおいて自分の所属する組織を指す「当方」を言い換えたい際は、以下のような表現が適切です。

  • 弊社
  • 私ども
  • 当社

それぞれ若干ニュアンスが違うので、使う相手によっては不適切になってしまうケースもあります。

適切な言い換えを行うことで、ビジネスにおいてより自然で丁寧な表現を実現できます。

洗練されたコミュニケーションを取りたい際に、言葉選びは重要です。

それぞれどのような状況のときに使うのが望ましいのか、この機会にしっかり確認しておきましょう。

【例文1】弊社

「弊社」は、自分が所属する会社を謙遜して表現する際に使用されます。

取引先や顧客へのビジネスメールや公式な文書で用いられ、相手を「上」として立てたいときに使われます。

この言葉を使用することで、相手に対して敬意を示しながら自社の立場を明確に伝えられます。そのため、基本的に社内に対しては使用しません。

下記は「弊社」を使用したビジネスメールの例文です。

参考
〇〇株式会社
営業部 山田様

いつもお世話になっております。株式会社△△の佐藤です。

弊社の新製品につきまして、ご検討いただき誠にありがとうございます。
ご要望の資料をお送りいたしますので、ご確認いただけますと幸いです。

ご質問やご不明点がございましたら、いつでもお問い合わせください。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

ちなみに、似た言葉に「小社」という言葉もありますが、こちらは「商社」と聞き間違いが起こる可能性があるため、主に「書き言葉」として使用されます。

【例文2】私ども

「私ども」は、自分たちの組織やチームをへりくだって表現する謙譲語です。

「私」という表現が使われていますが、個人の一人称ではなく、所属する部署や会社全体を表す点に注意しましょう。

また、謙譲語なので主に取引先や顧客といった社外に対して使われる言葉です。「弊社」よりもやわらかく親近感を与えたい際に使うのに有効です。

そのため、公式なビジネス文章で使用されることはほぼありません。

正式な文書では「弊社」を使うのが無難です。

下記は「私ども」を使用したビジネスメールの例文です。

参考
〇〇株式会社
企画部 鈴木様

いつもお世話になっております。株式会社△△の佐藤です。

先日は、私どもの新しいマーケティングプランにつきまして、ご意見をいただき誠にありがとうございました。ご提案いただいたアイデアを参考に、さらに改善に努めてまいります。
また、次回のミーティングで、私どもの計画についてさらに詳しくご説明したいと存じます。お手すきの際にご都合の良い日時をお知らせいただけますと幸いです。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

このように「私ども」を使用することで、ビジネスシーンにおいて親しみやすく丁寧なコミュニケーションにつながります。

【例文3】当社

「当社」は、自分が所属する会社を丁寧に表現したい際に使用されます。

主に社内に向けて使うケースが多いですが、社外の対等な立場の相手や、不特定多数に対して使うこともできます。

ビジネスメールや公式な文書で用いられる場合が多いですが、「弊社」「私ども」のようなへりくだったニュアンスはないので、社外の目上の相手に使う際は注意が必要です。

顧客に対しては「弊社」、不特定多数の社外の人たちに対しては「当社」を使うようにすると良いでしょう。

以下は「当社」を使用したビジネスメールの例文です。

参考
山田部長
〇〇部の佐藤です。

先日は、新商品につきましてご意見くださりありがとうございます。いただいたご意見をもとに仕様について検討し直し、改善案をまとめました。
当社の強みを組み込んでさらに利便性を強化し、他社にはないサービスを提供していく所存です。

つきましては、改めて本製品に関する打ち合わせができれば幸いです。
ご都合の良い日時をご指定いただけますでしょうか。お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

「当方」の英語表現をご紹介

「当方」を英語で表現する際には、文脈や状況に応じて適切な言葉を選ぶことが重要です。

「当方」は主に「we」「us」「our」といった表現で訳されます。

くわえて「当社」や「弊社」は「our company」と表現することもあります。

日本語では丁寧語・謙譲語の区別がありますが、基本的には英語ではどの相手に対しても上記の表現を使用します。

以下は簡単な例文とその日本語訳です。

  • Please feel free to contact us if you have any questions. (何かご質問があれば、お気軽に当方までお問い合わせください。 )
  • I’d like to share what our company is working on. (当社の取り組みについてご紹介します。)
  • We believe that our customers’ satisfaction comes first. (当社は顧客満足第一主義です。)

英語で「当方」を指す場合、「our company」よりも「we」を使うケースの方が多いです。

ちなみに、「私の会社」「うちの会社」という意味で「my company」を使ってしまうと誤解を招いてしまいます。「my company」を使って違和感がないのは、その会社の経営者のみです。

日本語と英語は言葉の使い方の感覚が異なります。適切な英語表現を覚え、グローバルなビジネス環境でも円滑なコミュニケーションをはかりましょう。

「当方」は自分の属している組織を表す言葉

「当方」の意味や使用方法、反対語について詳しく解説しました。

おさらい

  • 当方は自分の所属している会社や部署、チームを表す言葉
  • 個人の一人称として使用するのは不適切
  • 謙譲の意味はないので「弊社」や「私ども」などと使い分けるのがおすすめ

「当方」は使う相手やタイミングなどにおいて、いくつか注意点があります。

へりくだるニュアンスはないので、相手を上に立たせた謙譲語として使うことはできません。また、正式なビジネス文書に使うのも不適切です。

「弊社」「当社」「私ども」といった言葉と適宜使い分けるようにしましょう。

正しい表現を選んで適切に使いこなすことで、スムーズにコミュニケーションをはかれます。

ぜひ本記事でご紹介した内容を実際の会話やメールで実践してみてくださいね。

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