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税理士の仕事って難しそうだけど中卒でも目指せるの?
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中卒が税理士になるにはまず何をすればいい?
税理士はお堅いイメージがあるため、それなりの学歴が必要だと思っている方が多いのではないでしょうか。
結論から言うと、中卒でも税理士になることは可能です。
そこで今回は、中卒が税理士になるまでの流れを徹底的に解説します。
この記事でお伝えすること
- 中卒から税理士になる2つの方法
- 税理士試験の内容と対策
- 税理士に向いている人・向いていない人の特徴
- 税理士になるメリット・デメリット
税理士試験合格に向けた具体的な学習プランも紹介しているので、税理士への転職を検討している中卒者はぜひご覧ください。
中卒で税理士になることはできる
中卒でも税理士になることは可能です。
令和4年の税理士法改正により、令和5年4月1日以降に実施の税理士試験から受験資格が大幅に緩和されました。
これにより一部の科目が学歴関係なく誰でも受験可能となり、中卒者も税理士を目指しやすくなったのです。
また、令和5年度の税理士試験合格者のうち、大卒の合格率が21.1%なのに対して、高卒の合格率は23.8%、中卒を含むその他の学歴の人の合格率は32.7%と上回っています。
そのため、基礎的な計算力やデータの分析力など一定の学力が求められるものの、税理士は学歴を問わずなれる職業と言えます。
参考:国税庁「令和5年度(第73回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)」(参照 2024-01-17)
税理士になる基本条件
税理士になるためには、税理士国家試験に合格後、税理士の登録が必要です。
税理士試験は「会計科目」と「税法科目」の2つに分かれており、全11科目から5科目を選択して受験します。
ただし、5科目のうち会計科目の2科目は必須で、残りは税法科目の中から選択必須科目を含む3科目を選びます。
- 参考
- 【税理士試験の試験科目】
■会計科目
・「簿記論」「財務諸表論」の2科目は必須で受験
■税法科目
・「法人税法」「所得税法」のどちらか1科目以上は必須で受験
・残り7科目から2科目または1科目を選択
会計科目は年齢・学歴不問で誰でも受験できますが、税法科目には受験資格が設けられており、学歴や資格、職歴など複数の受験条件のうち、一つをクリアする必要があります。
中卒者が税理士になる場合は、以下の手順で受験資格を得る方法がおすすめです。
- 日商簿記検定1級もしくは全経簿記検定上級に合格する
- 会計に関する仕事に2年以上従事する
税理士の登録を行う際は、2年以上の実務経験が条件に含まれているため、先に日商簿記検定1級もしくは全経簿記検定上級を合格した後、会計に関する業務に携わりながら税理士試験に挑戦する流れが一般的です。
中卒者が税理士の受験資格を得る方法や手順について、後ほど詳しく解説していきます。
税理士の学歴内訳
税理士の学歴内訳と、学歴別の税理士試験合格率は以下の通りです。
学歴 |
合格者数(受験者数) |
合格率 |
高卒・旧中卒 |
662名(2,778名) |
23.8% |
専門卒 |
456名(2,786名) |
16.4% |
短大・旧専卒 |
95名(700名) |
13.6% |
大卒 |
5,024名(23,765名) |
21.1% |
その他 |
221名(676名) |
32.7% |
税理士を目指すには、大学で法学部や経済学部を卒業したり、社会科学に属する科目を履修したりするのが一般的なので、大卒が圧倒的に多いという結果です。
税理士試験の合格者数は、中卒を含むその他の学歴の人が676名中221名で、合格率は32.7%と学歴別の中でも最も高い数値になっています。
中卒者が税理士試験に合格しているという実績があるように、税理士は学歴関係なく目指せる職業と言えます。
中卒で税理士になる方法と手順
中卒者が税理士になるためには、まず税理士試験の受験資格を得る必要があります。
ここでは、中卒で税理士になる方法と手順を2パターンご紹介します。
- 日商簿記1級もしくは全経簿記検定上級に合格する
- 会計の仕事に2年以上従事する
中卒で税理士になる方法①日商簿記1級もしくは全経簿記検定上級に合格する
前述の通り、税理士試験の会計科目は学歴不問で誰でも受験できますが、税法科目には受験資格が設けられています。
まずは、もっとも短時間でクリアしやすい条件である日商簿記1級もしくは全経簿記検定上級への合格を目指しましょう。
日商簿記1級の試験は6・11月、全経簿記検定上級の試験は2・7月とそれぞれ年2回実施されます。難易度はそこまで変わりませんが、全経簿記検定上級より日商簿記1級のほうがやや合格率が高い傾向があります。
どちらかに合格すれば税理士試験の受験資格を得られるため、できれば両方受験して合格する確率を高くするのがおすすめです。
しかし、日商簿記1級・全経簿記検定上級ともに学習範囲がかなり広く、簿記の知識がない人が合格を目指して勉強する場合、500〜1,000時間ほどの時間を要すると言われています。毎日1.5〜3時間ほど勉強すると仮定すれば、必要な勉強時間に達するまでに1年ほどかかる計算です。
そのため、忙しくてなかなか勉強する時間を確保できない人は、合格率の高い全経簿記検定上級に絞って勉強するのもひとつの手です。
中卒で税理士になる方法②会計の仕事に2年以上従事する
日商簿記1級もしくは全経簿記検定上級に合格した後は、会計の仕事に2年以上従事するのがおすすめです。
税理士試験の受験資格を得るだけであれば、「日商簿記1級」「全経簿記検定資格」のどちらかを取得すればクリアできます。
しかし、税理士試験に合格後、税理士登録をする際の条件として「会計に関する事務業務」もしくは「税理士や弁護士、公認会計士等の業務を補助する事務」に通算2年以上携わることが含まれています。
税理士として働くためには、遅かれ早かれ実務経験が必須なので、働きながら税理士試験を受験する人が多いです。
税理士になるうえで必要な実務経験を積める主な就職先は以下の通りです。
- 税理士事務所
- 会計事務所
とは言え、中途採用を行う税理士事務所や会計事務所の多くは即戦力を求める傾向があるため、学歴不問・資格不問・未経験OKの求人を出す事務所は限られています。
中卒から未経験で会計の仕事に就職するためには、先に税理士試験の受験条件に含まれている資格を取得して実力をアピールする必要があるのです。
中卒で税理士になるための資格試験の対策方法
税理士試験は5科目を受験する必要があり、さらに学習範囲も広いため計画的に勉強しなくてはなりません。
税理士試験合格に向けた対策方法を解説していくのでチェックしていきましょう。
- 学習計画を立てる
- 計算問題と理論問題をバランスよく勉強する
- 過去問を反復で解いていく
税理士合格のための対策①学習計画を立てる
税理士試験は「科目合格制」で、必須科目2つ含む「会計項目」と選択科目9つの中から3つ選択する「税法科目」の計5科目に合格する必要があります。
税理士試験の受験項目の詳細はこちらです。
会計項目 | 税法科目【必須科目】 | 税法科目【選択科目】 | |
条件 | 2科目とも合格する必要がある |
いずれか1科目で合格する必要がある ※両方選択することも可能 |
2科目もしくは1科目で合格する必要がある ※選択必須科目と合わせて計3科目 |
科目名 | ・簿記論 ・財務諸表論 |
・所得税法or法人税法 | ・相続税法 ・消費税法or酒税法 ・国税徴収法 ・住民税or事業税・固定資産税 |
各科目ごとで覚えなければならない項目は多く、5科目全てに合格するためには3〜5年ほどかかると言われています。
複数科目もしくは5科目同時に受験することも可能ですが、どの科目も合格率が10~20%前後である点を踏まえると、数年かけて5科目合格を目指す流れが一般的です。
受験する5科目のうち2科目は自由に選択できるので、自分が興味のある科目を理解したうえで、点数が取れそうな科目を選択しましょう。
また、税理士試験にいつまでに合格したいのか目安を決めたうえで、長期の学習プランを立てておくことも、税理士試験に合格するコツです。ここでは、仕事と学業を両立しながら3年で合格を目指すプラン例をまとめてみました。
年数 | プラン例 |
1年目 |
【必須科目である「簿記論」「財務諸表論」の2科目を学習・受験】 ・財務諸表論は簿記論の知識がないと理解に時間がかかるので、 「簿記→財務諸表」の順番で学習するのがおすすめ。 |
2年目 |
【選択必須科目である「所得税法」または「法人税法」を学習・受験】 ・選択必修科目はどちらも学習範囲がかなり広く、約600時間ほどの勉強時間が必要と言われている。 ・2年目は選択必須科目の1科目に絞って学習するのがおすすめ。 ・1年目で必須科目のどちらかが不合格だった場合は、必須科目+選択科目1科目の合計2科目を受験する。 |
3年目 |
【選択科目の2科目を学習】 ・自分の得意な科目や興味のある科目を学習する。 ・どの科目を受けるべきか分からない方は、他の科目より比較的学習範囲が広くない 「酒税法」「国税徴収法」「住民税」のなかから2科目選択するのがおすすめ。 |
5科目合格までの道のりは決して平らなものではないものの、計画的に学習を進めていくことで、いち早く税理士の自分に近づけられます。
税理士合格のための対策②計算問題と理論問題をバランスよく勉強する
税理士試験では、各科目で「計算問題」と「理論問題」が出題されます。
- ポイント
- 計算問題とは
計算して答えを導く問題。複雑な計算はほとんどなく四則計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)ができれば問題ないですが、スピードと正確さが求められます。
国税徴収法をのぞく全ての科目で出題されます。
理論問題とは
税法や企業会計原則などの理論に関する問題。記述式の回答が多く、条例や規則を暗記しなければいけません。
簿記論をのぞく全ての科目で出題されます。
出題比率は、酒税法の場合は計算問題40%・理論問題60%、事業税の場合は計算問題70%・理論問題30%というように科目によって異なりますが、全11科目のうち7科目は計算問題50%・理論問題50%の割合になると言われています。
税理士試験の各科目に合格するためには、どちらか一方に偏るのではなく、「計算問題」と「理論問題」をバランスよく勉強することが重要です。
参考:LEC東京リーガルマインド「税理士試験各科目の特徴」(参照 2024-01-26)
税理士合格のための対策③過去問を反復で解いていく
税理士試験に合格するために「過去問対策」は欠かせません。
受験する科目の学習がある程度進んだ段階で、過去の問題集を繰り返し解いていきましょう。国税庁の公式ホームページに、過去の税理士試験の試験問題と答案用紙が掲載されているので、まずは腕試しとして解いてみてください。
過去問を解くことで以下のようなメリットがあります。
- 出題傾向をつかめる
- 学習した内容をインプット・アウトプットできる
- 時間配分を意識して本番の練習ができる
- 自分の苦手分野を見つけられる
過去問を解くことで「この問題は毎年出題されている」「この分野は出題数が多い」というように、出題の傾向を掴みやすくなります。また、どの科目も出題範囲が広いため、時間配分を意識しながら解く練習ができるのもメリットです。
過去問を効果的に使う方法も併せて紹介するので、これらを参考にしながら効率的に勉強を進めていきましょう。
- 本番同様の制限時間内で解く練習をする
- 学習(インプット)した直後に過去問を解き(アウトプット)知識を定着させる
- 解けなかった問題は解答を見て解き方を学び、参考書で復習する。
税理士に向いている人・向いていない人
ここでは、税理士に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。
向いている人 | 向いていない人 |
知識習得に対する向上心がある人 | 数字や分析に対して苦手意識がある人 |
決められたルールに則ってコツコツこなせる人 | コミュニケーションスキルがない人 |
コミュニケーションスキルがある人 | 傾聴力や提案力がない人 |
税理士になるには、数年かけて勉強と受験を繰り返し、さらには2年以上会計の仕事に従事する必要があるので、多くの時間を費やします。
そのため、膨大な時間を無駄にしないためにも、自分に税理士としての適性があるかどうか、あらかじめ知っておくことが大切です。
税理士に向いている人の特徴3つ
税理士に向いている人の特徴は、以下の3つです。
- 知識習得に対する向上心がある人
- 決められたルールに則ってコツコツこなせる人
- コミュニケーションスキルがある人
税理士資格に合格するには毎日コツコツ勉強する必要がありますが、日々の勉強が大事なのは試験に合格して税理士になれた後も変わりません。
法律は定期的に改定されるので、必要最低限の業務の知識だけでなく、広範囲の分野の法律に触れて常に最新情報を習得することが求められます。
また、各種申請手続きや決算書の作成などさまざまなルールに基づいて行う業務が多い職業なので、常に学び続ける意欲がある人や仕事に対して丁寧に取り組める人が向いています。
さらに、税理士は事務所のスタッフとの連携や、クライアント企業の担当者から税務申告業務や会計業務といった依頼のやりとりなど、コミュニケーションを取る機会が多いです。
事務所のスタッフやクライアントから信頼される税理士になるためには、法律の知識だけでなくコミュニケーションスキルも必要です。
税理士に向いていない人の特徴3つ
税理士に向いていない人の特徴は、以下の3つです。
- 数字や分析に対して苦手意識がある人
- コミュニケーションスキルがない人
- 傾聴力や提案力がない人
税理士は、個人や企業などのクライアントから依頼を受けて、税務書類や決算書の作成、会計帳簿の記入といった数字と向き合う業務が多い職業です。また、経営や事業継承など企業に関する相談を受けた時は、その企業を分析して課題の解決に導けるアドバイスをする必要があります。
クライアントから一任される業務ばかりでミスが許されないケースがほとんどであることから、数字や分析に対して苦手意識がある人には難しい職業です。
さらに、税理士はクライアントと直接関わる機会も多く、コミュニケーションスキルが求められます。クライアントからの相談に耳を傾けつつ、自身の知識や経験をもとに適切な提案を行う必要があるため、傾聴力や提案力がない人も向いていないかもしれません。
中卒で税理士になるメリット・デメリット
税理士は、長い年月をかけて取得する難関資格です。
ハイレベルな試験を突破して税理士になるメリット・デメリットは何なのか、詳しくご紹介します。
メリット | デメリット |
働き方の選択肢が広く就職先や転職先に困りにくい | 常に勉強し続けなければならない |
独立開業によって高収入が狙える | 常に勉強し続けなければならない |
開業税理士は定年の概念がなく、自分次第で長く働ける | 独立後は顧客の獲得を全て自分で行う必要がある |
中卒で税理士になるメリットは3つ
中卒で税理士になるメリットは、以下の3つです。
- 働き方の選択肢が広く就職先や転職先に困りにくい
- 独立開業によって高収入が狙える
- 開業税理士は定年の概念がなく、自分次第で長く働ける
税理士の就職先は、税理士事務所をはじめ、会計事務所や一般企業の経理部門、コンサルティング専門企業など豊富にあります。国家資格である「税理士」の肩書を手に入れると社会的信用度が高まることも踏まえて、同業種はもちろん他業種への転職もスムーズに進みやすいのが魅力です。
また、ある程度の経験を積んだ税理士は、独立して「開業税理士」になる傾向があります。開業税理士になるメリットは、自分の成果に応じた収入を得やすい点です。既に多くの実績を持つ税理士であれば、独立すれば高収入が狙えます。
国税庁が公表したデータによると、全国の税理士登録者80,692人のうち、開業税理士は55,847人、所属税理士は12,799人と開業している人が圧倒的に多いという結果が出ています。
なお、開業税理士は定年の概念がない仕事と言われており、働く意思がある限り60代や70代以降も活躍しやすいのが特徴です。
クライアントによっては、会社の事業や財政状況への理解がある税理士から別の税理士に変更するのを避けたがる傾向があります。クライアントの要望に沿った業務ができていれば、依頼が途切れる心配は少ないので、将来現役を貫くことも可能です。
参考:国税庁「日本税理士会連合会」(参照 2024-01-17)
中卒で税理士になるデメリットは3つ
中卒で税理士になるデメリットは、以下の3つです。
- 試験に合格するまでに数年はかかる
- 常に勉強し続けなければならない
- 独立後は顧客の獲得を全て自分で行う必要がある
前述した通り、税理士試験に合格するまでには3〜5年ほどかかります。
合格するまで勉強し続けなければならないプレッシャーや受験した科目が落ちてしまった時のショックが原因で、税理士になるのを諦めてしまう人も少なくありません。
また、税理士として働き始めてからも、知識をアップデートするために日々の勉強は欠かせません。
独立した場合は、集客や事務所の資金繰り、スタッフの採用や給与の支払いなど、税理士としての仕事と並行して経営者としての業務も行います。
これらのデメリットをどう捉えるかによって、今後税理士として目指していいのかどうかが判断できるでしょう。
税理士以外で転職を検討するならナイト系がおすすめ
税理士は、中卒者が目指せる職業であるものの、数年かけて税理士試験に合格したり2年以上の実務経験が必要だったりと、就職するまでに多くの時間や努力を要します。
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中卒で税理士になるためのおさらい
中卒で税理士になる方法について詳しく解説してきました。
最後に、中卒者が税理士になるうえで知っておくべきポイントはこちらです。
- ポイント
- 中卒で税理士になる方法
日商簿記検定1級もしくは全経簿記検定上級に合格する
税理士事務所で会計に関する仕事を2年以上する
税理士に向いている人の特徴
決められたルールに則ってコツコツこなせる人
知識習得に対する向上心がある人
コミュニケーションスキルがある人
中卒で税理士になるメリット
働き方の選択肢が広く就職先や転職先に困りにくい
独立開業によって高収入が狙える
開業税理士は定年の概念がなく、自分次第で長く働ける
税理士は、なれるまでに年単位の時間と努力が必要ですが、学歴を問わず誰でも目指せます。また、会計事務所や一般企業の経理部門など、税理士事務所以外にも活躍できる就職先が豊富なので、将来安定した生活を送りたい人にもおすすめです。
この記事をきっかけに税理士に興味を持った方は、税理士資格に合格するための勉強を始めてみてください。