-
中卒で飲食業の社員になるのは難しい?
-
中卒で飲食業の社員になった時、どうやってキャリアアップしていくの?
-
そもそも自分は飲食業の仕事に向いているんだろうか……。
このように、飲食業の社員として働きたい中卒者のために、本記事では中卒から飲食業の社員になる方法やなったあとキャリアアップの選択肢を解説します。
実際に働いてみないと分からない飲食業の職場環境や、就職したあとのキャリアパス、飲食業で働くメリット・デメリットなどリアルな情報もご紹介しています。
飲食業への転職を検討している中卒者はぜひご一読ください。
中卒の仕事探しなら飲食業の社員がオススメ!
飲食業は学歴を重視しない傾向があるため、中卒者も正社員として採用される可能性が十分にあります。
また、中卒者の転職に飲食業をおすすめする理由として、通年採用をしている企業が多いことが挙げられます。
人材の出入りが激しい飲食業は、慢性的な人手不足が続いているのが現実です。
2023年に帝国データバンクが公表した業種別の人手不足の割合をまとめたデータによると、飲食業は61.3%で2022年の56.9%から4.4%も上昇しています。
ちなみに、飲食業の非正社員(アルバイト・パート)は85.2%で、2022年の77.3%から7.9%も上昇しており、人手不足の割合が高い上位10業種中1位という結果が出ています。
このように、正規・非正規ともに深刻な人手不足に陥っていることから、飲食業界は学歴を問わず比較的転職しやすい業界といえます。
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(参照 2024-04-10)
中卒で飲食業の社員を目指すならどんな求人がねらい目?
中卒者が飲食業の社員として採用されるためには、求人選びが重要です。
中卒で飲食業の社員を目指す際にねらうべき求人
- 学歴不問の求人
- 未経験OKの求人
- 飲食業に特化したサイトに出ている求人
大前提として、中卒者は「学歴不問」「未経験OK」の求人がねらい目です。
飲食業の社員の仕事内容は業態・職種によって異なりますが、店舗勤務の社員は「接客、仕込み、調理、従業員の教育やシフト管理、店舗の売上管理」、本社勤務の社員は「予算管理、商品開発、店舗開発、広報活動」などを行うのが一般的です。
店舗勤務のホールスタッフ、調理スタッフ、バーテンダーを募集する企業は、学歴や経験を問わない求人を出す傾向にあります。
ホテル・旅館、料亭といったおもてなし精神も重視する施設では、実務経験が必要な場合もあるものの、応募者の人柄や潜在能力を重視した採用基準を設ける企業がほとんどです。
また、求人を探す際は「飲食業に特化した求人サイト」を活用するのも一つの手です。
飲食業を専門に扱っているので、店舗の状況が詳しく記載されていたり、幅広い業態・職種の中から自分に合う求人を探せたりするメリットがあります。
サイトによっては、飲食業に詳しいキャリアアドバイザーに相談に乗ってもらえたり、希望に合った非公開求人を紹介してもらえたりと、さまざまなサポートが受けられます。
「学歴不問・未経験OK」の求人も豊富に掲載されているので、特に初めて転職活動を行う中卒者におすすめです。
中卒で飲食業に就職したあとのキャリアパス
中卒で飲食業に就職したあとの代表的なキャリアパスをご紹介します。
- 管理職に昇進する
- 商品開発に携わる
- 独立開業する
「飲食業=飲食店での接客・調理」というイメージが強いかもしれませんが、実は飲食業には店舗での業務以外にもあらゆる職種が存在します。
ある程度の経験を積めば、自分のスキル次第で仕事の幅を広げることが可能です。飲食業における自分の得意不得意を見極めたうえで、どんなキャリアを築きたいのか考えていきましょう。
キャリアパス①管理職に昇進する
飲食業の企業で管理職を目指す場合、まずは店舗スタッフとして現場で働いてから役職のあるポジションに昇進する流れが一般的です。
他の業界と同じく、役職が上がれば上がるほど業務の責任は大きくなりますが、大幅な昇給や役職手当などの支給により、年収アップが見込めるメリットがあります。
飲食店は「個人経営店」と「チェーン店」の2つに分類されます。
従業員が少ない傾向にある個人経営店は、オーナーや店長といった代表的な役職以外は設けていないケースがほとんどです。
一方で、企業がブランドやサービス内容などを統一して複数店舗を展開する経営形態を指すチェーン店は、多くの従業員を管理する必要があるため、チーフ、エリアマネージャー、トレーナーなどさまざまな役職が存在します。
管理職の昇進によるキャリアアップをねらうのであれば、チェーン展開している飲食企業への転職を検討しましょう。
ここでは、飲食チェーン店の代表的な役職にあたる「店長」「エリアマネージャー」の役割と業務内容の違いをまとめました。
役割 |
業務内容 |
|
店長 |
特定店舗の責任者 |
接客・調理業務と並行して、売上管理、人材採用・育成、従業員のシフト管理、衛生管理といった担当店舗の運営に関わる業務を行います。 |
エリアマネージャー |
特定のエリアにある複数店舗の管理・運営 |
エリア全体の売上向上を目指してコンサルティングを行います。 店舗の視察やスタッフの指導などで現場へ行くこともありますが、さまざまな会議に参加することから、店長より本社勤務の頻度が高いのが特徴です。 |
飲食店の管理職になるためには、「店舗の売上アップに貢献したか」「他の店舗スタッフや上司などから信頼が得られているか」など、昇進するポイントをクリアする必要があります。
飲食業の管理職を目指したいのであれば、店舗スタッフのうちから昇進に向けた実績づくりを行うことが大切です。
キャリアパス②商品開発に携わる
本部がある大手の飲食企業の場合、商品開発部門が存在します。
商品開発は、顧客のニーズやトレンドの予測といった市場調査をしたうえで、どういったコンセプトにするかを決めて、新商品・メニューの考案や既存メニューの改良などを行います。
新商品やメニューを考える際は、店舗スタッフが過度な負担にならない範囲で実現できる料理を提案することが重要です。完成までに必要な仕込みや調理方法などが複雑だった場合、たとえおいしい料理だったとしても、業務の圧迫やお客様への提供の遅れにつながります。
他にも、材料の原価・調理時間・食材の品質維持など、さまざまな面を考慮しながら改良を重ね、商品化を目指します。
メニュー完成までの道のりは長く険しいものになりますが、自分が携わった商品が店舗で提供された時の達成感は計り知れません。
商品開発に携わるためには、まず店舗スタッフとして飲食に関する知識やスキルを身につけた後、商品開発の部署への異動願いを出すのがおすすめです。商品開発の仕事は本社勤務になるので、可能であれば人事部やその他本社にいる上司に商品開発をやりたい旨を伝えておくと考慮してもらえる場合があります。
ちなみに、商品開発の求人を出す飲食企業に応募する方法もありますが、調理業務の経験や特定の食品に関する知識など何かしらのスキルを求められる傾向にあるため、未経験の中卒者が採用される確率は低いです。
キャリアパス③独立開業する
飲食業での経験を積んだあと、独立して自分でお店を出す人もいます。
独立開業は、経営が上手くいけば、会社員時代とは比べ物にならないほどの高収入を得られるのが魅力です。
飲食業で独立する方法として、「自分で店舗を立ち上げる」「フランチャイズに加盟する」の2つがあります。
- 自分で店舗を立ち上げる:コンセプト・事業計画の策定から店舗の運営まで、すべて自分自身で行う
- フランチャイズに加盟する:すでに飲食業で地位を確立している企業の店名やメニューを使用する権利を得て店舗を運営する
それぞれメリット・デメリットが存在するので、将来は独立開業も視野に入れている人は以下の内容を念頭に置いておきましょう。
メリット |
デメリット |
|
店舗の立ち上げ |
料理のコンセプトやメニュー、店舗の内装・外装デザインなど、すべて自分で決められる |
立地調査や資金調達を始め、開業までに必要なすべての工程が終わるまで、最低でも1年程度かかる |
フランチャイズ加盟 |
既存ブランドの知名度や宣伝効果を利用できる |
経営方針や事業内容など本部の指示通りに従う条件のもと、加盟金を支払い続ける必要がある |
ちなみに、飲食店の開業を目指している場合、調理師免許を取得して専門的な知識やスキルを身につけるのもおすすめです。
調理師免許を取得できれば、飲食店の開業時の必須資格にあたる「食品衛生責任者」になれるので、お客様に安心・安全な料理を提供できることを証明できるメリットがあります。
中卒者の場合、「専門学校で調理師免許を取得する」もしくは「2年以上の実務経験を積んで調理師試験に合格する」のどちらかをクリアできれば調理師になれるので、ぜひ検討してみてください。
中卒で飲食業への就職に向いている人・向いていない人
飲食業の社員に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。
過去に飲食店でアルバイトをしたことがあるからといって、安易に飲食業の正社員への転職に踏み切るのは要注意です。
アルバイトと正社員では、業務内容、職場環境、責任の重みなどが異なるため、改めて飲食業で働く適性があるのかを見極める必要があります。
向き・不向きをきちんと把握して、自分の性格と照らし合わせながらチェックしていきましょう。
中卒で飲食業の社員への就職に向いている人の特徴3つ
飲食業の社員に向いている人の特徴は、以下の3つです。
- コミュニケーション能力がある人
- 料理好きな人
- 体力に自信のある人
幅広い年代のお客様と直接対話する機会が多い飲食店では、コミュニケーション能力は欠かせません。
会話を通じてお客様に合ったお酒や料理をおすすめしたり、時にはクレームに対して適切に対応したり、いろいろな場面でコミュニケーション能力が求められます。
スタッフと楽しく会話できる飲食店は、お客様の満足度・リピーター率の向上につながり、常連客が増えるきっかけにもつながります。
ホールスタッフの場合、お客様から料理について質問される場合があります。あらゆる食材や料理の基礎知識を身につけておく必要があるため、料理好きな人は飲食業の社員として活躍できるでしょう。
また、飲食業の調理スタッフとして働く場合、「料理が好き」という気持ちも大切です。飲食業は、料理に興味がある人とない人とでは調理スキルが上がるスピードが異なるので、モチベーションによって実力差が出やすい職業といわれています。
どちらも飲食店は長時間の立ち仕事が基本で、仕入れ時に食材や備品など重い物を運ぶケースも珍しくありません。
夜勤が発生する飲食店は、さらに生活が不規則になりやすい点を踏まえると、体力に自信のある人は飲食業の労働環境に順応できる可能性が高いです。
中卒で飲食業の社員への就職に向いてない人の特徴3つ
飲食業の社員に向いていない人の特徴は、以下の3つです。
- 自分本位な人
- マルチタスクが苦手な人
- ストレス耐性がない人
飲食業の店舗運営はチームワークが重要で、正社員・アルバイト関係なくスタッフ全員で協力しながらお店をまわしていかなくてはなりません。
自分本位な態度や行動がチームワークを乱す原因になるのはもちろんのこと、お客様の要望を汲み取れず、結果的に顧客満足度を下げてしまう可能性があります。
また、飲食業の社員は適切な運営ができているかどうか店舗の状況を把握したり、現時点で月の売上予算達成率はどれくらいか確認して全スタッフに共有したり、接客や調理業務以外にも複数の役割を担う場合が多いです。
そのため、マルチタスクが苦手な人やひとつの業務に集中したい人は、飲食業の社員に向いていないといえます。
そして、飲食業の社員は、お客様からのクレーム対応、スタッフの当日欠勤、本部からの急な指示など、突発的な問題が発生しても冷静かつ柔軟に対応する能力が求められます。
ストレス耐性がなく急な環境変化に対応できない人は、飲食業の社員として働くのは難しいといえます。
中卒で飲食業の社員になるメリット・デメリット
ここでは、飲食業の社員になるメリット・デメリットをご紹介します。
飲食業の社員として働く際の良い面も悪い面もお伝えするので、実際に働いている様子をイメージしながら確認していきましょう。
メリット | デメリット |
調理スキルが身につく | 拘束時間が長い |
一般社員のうちにマネジメント経験を積める | 土日祝日休みがとりづらい |
独立開業も可能 | 基本的に立ち仕事なので体力が必要 |
中卒で飲食業の社員になるメリットは3つ
中卒で飲食業の社員になるメリットは、以下の3つです。
- 調理スキルが身につく
- 一般社員のうちにマネジメント経験を積める
- 独立開業が可能
飲食店で働く場合、仕事を通して調理スキルを習得できるのは、飲食業で働く大きなメリットです。
食材の仕入れや調理器具の扱い方といった基礎的な部分から、食材別の仕込み方、味付けのやり方、盛り付け方法まで、調理に必要な知識やスキルを学べます。
また、飲食チェーン店の場合、全スタッフのなかでアルバイトの割合が大きく占めており、店舗によっては社員数が1〜2人のみというケースも少なくありません。
そのため、他の職種では管理職に就かないと携わるのが難しいマネジメント業務を、一般社員の段階で行えるのも特徴です。
このように、飲食業界は調理スキルやマネジメントスキルをはじめ、一般社員のうちから飲食店の経営に必要なスキルや知識を身につけられる環境が整っている傾向にあるので、早めに独立開業を目指せるメリットがあります。
中卒で飲食業の社員になるデメリットは3つ
中卒で飲食業の社員になるデメリットは、以下の3つです。
- 拘束時間が長い
- 土日祝日の休みがとりづらい
- 基本的に立ち仕事なので体力が必要
業態や店舗にもよりますが、飲食業における社員の拘束時間は長い傾向にあります。
特に、早朝や深夜も営業している飲食店はスタッフの確保が難しく、その分社員で穴埋めする形になるため、中抜けをしながら長時間労働を行うケースも珍しくありません。
また、飲食業の店舗の多くは週末や長期休暇が稼ぎ時で、平日より多くの人員を確保しなければならず、原則社員は土日祝日が出勤となります。
飲食業全体が人手不足に陥っていることも相まって、社員は希望通りのシフト組みや連休の取得が難しく、ワークライフバランスを保ちにくい点もデメリットといえます。
そして、飲食業の店舗スタッフは基本的に立ち仕事なので、体力に自信がない人は働き続けるのが難しいです。
飲食業は勤務時間が不規則かつマルチタスクも求められることから、肉体的にも精神的にもハードな環境下で業務をこなさなければいけません。
飲食業の社員以外で転職を検討するならナイト系がおすすめ
飲食業の社員を募集する求人は年間を通して豊富に掲載されており、学歴・経験を重視しない企業が多いため、中卒者も転職しやすい職業です。
しかし、飲食業は特に長く生き残るのが難しい業界で、5年後も経営している飲食店の割合が全体の半分以下ともいわれています。
今後、収入アップを狙って独立開業を視野に入れている人にとって、飲食業に骨を埋めるのは多少のリスクを伴うでしょう。
-
未経験からでも長く活躍できる業界で働きたい
-
独立開業を支援してもらえる企業が多い業界を探している
このように考えている中卒者は、ぜひナイト系も視野に入れてみてください。ナイト系は18歳以上(高校生不可)であれば応募可能で、学歴や経歴を重視しない企業がほとんどです。
実際に中卒でナイト系の仕事に転職後、長く活躍している人も多数存在します。
また、ナイト系は独立支援制度を設けている企業が多く、将来自分の店舗を立ち上げたい人にとって嬉しいサポートが受けられるメリットもあります。そのうえ、成果さえ出せればスピード昇給・昇格できる傾向があるので、独立開業しなくても高収入を得やすいのも特徴です。
ナイト系の仕事は、店舗スタッフ、Web運営スタッフ、送迎ドライバーなどいろいろあるので、興味がある方はぜひ一度求人をチェックしてみてください。
中卒で飲食業の社員になるためのおさらい
中卒から飲食業の社員へ転職する方法をご紹介しました。最後に、この記事でお伝えした内容を整理しましょう。
- ポイント
- 【中卒がねらうべき飲食業の求人の特徴】
・学歴不問の求人
・未経験OKの求人
・飲食業に特化したサイトに出ている求人
【飲食業の社員に向いている人の特徴】
・コミュニケーション能力がある人
・料理好きな人
・体力に自信のある人
【飲食業の社員になるメリット】
・調理スキルが身につく
・一般社員のうちにマネジメント経験を積める
・独立開業も可能
飲食業の社員は学歴不問・未経験OKの求人が多く、年間を通じて採用活動を行っているため中卒者も転職しやすい職業といえます。
また、経験を積んで商品管理に携わったり、独立してお店を開いたり、自分次第で将来の選択肢が一気に広がるのも大きな魅力です。
飲食業の社員への転職を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしながら自分に合った求人を見つけていきましょう。