中卒で地方公務員になるには?転職成功のポイントと求められる能力

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中卒で地方公務員になるには?転職成功のポイントと求められる能力

  • 中卒から地方公務員を目指すにはどうしたらいい?

  • 中卒で地方公務員になるメリットはある?

地方公務員は、安定した収入を得られたり十分な福利厚生が受けられたりすることから、堅実な人生を送りたい方を中心に人気のある職業です。

今回は、地方公務員を目指す中卒者に向けて、以下の内容を解説していきます。

  • 地方公務員になるための基本条件
  • 地方公務員に就職したあとのキャリアパス
  • 地方公務員に向いている人・向いていない人の特徴
  • 中卒で地方公務員になるメリット・デメリット

また、中卒で地方公務員試験に合格するための対策方法もあわせてご紹介します。
地方公務員になりたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

中卒で地方公務員になることはできる

中卒者も地方公務員になることは可能です。
地方公務員になるためには、各自治体が実施する「地方公務員試験」に合格し、採用される必要があります。

地方公務員試験は年齢制限こそあるものの、学歴による受験資格は設けられていません。そのため、中卒者も地方公務員試験の受験ができます。

大前提として、公務員は「国家公務員」と「地方公務員」の2種類に分かれています。

【国家公務員と地方公務員の違い】
国家公務員とは、中央官庁や出先機関で働く公務員を指し、国の運営に関わる仕事を担います。
一方、地方公務員は都道府県庁や市区町村の役所、警察署、消防署などで働く公務員を指し、地域密着型の行政サービスを担います。
公務員は、地方公務員が全体の約8割を占めています。

なお、地方公務員のなかには、資格や免許が必要となる「資格免許職」も存在します。
資格や免許が必要な地方公務員の主な職種は、以下の通りです。

参考
看護師・保健師・助産師・栄養士・教員・臨床心理士

上記で挙げた職種は、短大卒もしくは大卒以上の学歴が必要で、中卒者が目指すにはかなりハードルが高いです。

たとえば、市役所に勤務する保健師は、看護師と保健師の国家資格を取得したうえで、地方公務員の資格免許職対象の採用試験を受けなければいけません。

とは言え、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格後、指定の養成校を卒業すれば国家試験の受験資格が得られる理学療法士や、所定の実務経験をクリアすれば中卒のままでも目指せる保育士、社会福祉士といった職業もあり、自分の努力次第で地方公務員の資格免許職に就けます。

地方公務員には、資格免許職以外にもさまざまな職種があるので、まずは興味のある分野のなかから中卒者も目指せる職業を探してみましょう。
 

地方公務員になる基本条件

中卒者が地方公務員になるための基本条件は、「地方公務員試験に合格すること」です。

地方公務員試験は「上級(大卒程度)」「中級(短大・専門学校卒程度)」「初級(高卒程度)」の3つのレベルに分かれているのが一般的で、いずれかに合格しなければなりません。
中卒で地方公務員試験を受けるなら、高卒程度の学力レベルが問われる「初級」を受験して合格する方法が地方公務員になる最短ルートと言えます。

また、地方公務員試験は学歴による条件はないものの、年齢要件が設けられています。「初級」の試験の場合、「18歳以上21歳以下(翌年4月1日時点)」の年齢要件を設定する自治体が多いです。

くわえて、特定の職種では資格要件や学歴要件、身体的条件が受験資格に含まれる場合もあるので、受験を希望する職種や自治体の受験資格を確認しておくようにしてください。

なお、令和5年における東京都の「初級」採用試験の合格率は約18%です。合格率は低めなので、事前に試験対策をしっかり行ったうえで挑みましょう。

地方公務員試験の対策方法については、後ほど詳しく解説します。

参考:東京都人事委員会「令和5年度東京都職員採用試験(選考)実施状況」(参照 2024-07-08)

【注意点】地方公務員試験を受験できないケースもある

地方公務員法第16条の欠落条項に則って、以下の内容に一つでも当てはまる人は地方公務員試験を受験できません。

【地方公務員試験を受けることができない人】

  • 禁錮以上の刑に処せられて、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの人
  • 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない人
  • 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、第60条から第63条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた人
  • 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した人

参考:e-Gov法令検索「地方公務員法」(参照 2024-07-08)

また、平成11年改正前の民法の規定による準禁治産(じゅんきんちさん)の宣告を受けている人も受験資格がない場合がほとんどです。

【準禁治産者とは】
本人、配偶者、4親等内の親族、戸主、後見人、保佐人または検事の請求により、裁判所から心神耗弱者(しんしんこうじゃくしゃ)もしくは浪費者と認定された者を指します。

たとえ年齢要件や資格要件などを満たしていても、地方公務員試験の選考を受けられないケースもあるので、不安な方は応募条件を確認しておきましょう。
 

地方公務員の学歴内訳

令和4年度の地方公務員(一般行政職)の学歴内訳は、以下の通りです。

学歴

職員数

構成比

中卒

1,427人

0.2%

高卒

178,752人

21.5%

短大卒

67,874人

8.2%

大卒

581,823人

70.1%

参考:総務省「令和4年 地方公務員給与の実態 調査結果の概要」(参照 2024-07-08)

地方公務員(一般行政職)の職員数の約7割が大卒の学歴を持っているという結果が出ています。

一方、中卒の学歴を持っている人は全体の0.2%と非常に低い数字ではあるものの、中卒者が地方公務員試験に合格し、採用されているのも事実です。

学歴を問わず地方公務員として採用されている実績があることから、地方公務員は学歴は関係なく目指せる職業と言えます。

 

中卒で地方公務員になる方法と手順

ここからは、中卒で地方公務員になる方法と手順を解説していきます。
地方公務員になるには地方公務員試験に合格する必要があり、筆記試験と面接試験の両方を突破しなければなりません。

地方公務員試験に合格するまでの手順は、以下の通りです。

  • 筆記試験に合格する
  • 面接試験に合格する

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

なお、中卒から地方公務員になるには「初級(高卒程度)」への合格を目指すのが一般的なので、ここでは「初級(高卒程度)」の試験を受けることを前提に解説していきます。
 

中卒で地方公務員になる方法と手順①筆記試験に合格する

地方公務員試験の一次試験は、筆記試験であることが多いです。
そのため、まずは筆記試験の合格を目指しましょう。

ここでは「令和6年度東京都職員3類採用試験」を参考に、事務職の一次試験の試験科目例をご紹介します。

  • 教養試験
  • 作文(事務)

教養試験と作文の「試験形式」「試験内容」「試験時間」は、それぞれ以下の通りです。

 

教養試験

作文

試験形式

択一式

課題式

試験内容

<知能分野>
文章理解、英文理解、判断推理、数的処理、資料解釈、空間概念

<知識分野>
人文科学系(歴史・地理)、社会科学系(政治・経済)、自然科学系(物理・化学・生物・地学)、生活常識

600字以上1,000文字程度

試験時間

2時間

1時間20分

参考:東京都職員採用「令和6年東京都職員Ⅱ類Ⅲ類採用試験案内」(参照 2024-07-08)

一次試験は、すべての科目の成績を合わせた総合成績によって合否が判定されます。
ただし、一つでも一定基準に達しない科目がある場合、不合格となるので注意しましょう。

なお、試験の種類によって試験内容は異なりますが、土木、建築、機械、電気といった技術職を受ける場合、作文の代わりに専門試験になるケースが多いです。
 

中卒で地方公務員になる方法と手順②面接試験に合格する

一次試験に合格したら、二次試験の合格を目指しましょう。
自治体によって面接の形式は異なりますが、個別面接もしくは集団面接が実施されるのが一般的です。

個別面接は、1人の受験者に対して3~5人程度の面接官が付きます。約15分~20分に及ぶ面接時間中は、主に受験者についてさまざまな角度から掘り下げていく傾向があるため、どのような質問にもしっかり対応する力と自分をアピールする力が求められる試験です。

一方、集団面接は3~8人程度の受験者に対して3~5人程度の面接官がつきます。個別面接に比べて1人に割り当てられる時間が短いので、質問に対して簡潔かつ的確に答える力と、他者より好印象を残せるアピール力が求められます。

近年の地方公務員試験において、学歴より人柄重視の採用基準を設ける自治体が増えていることから、面接試験での印象が悪ければ、たとえ筆記試験の結果が良くても不合格になる可能性が高いです。

一次試験の合格発表日から二次試験日まで約1カ月未満と短めに設定する自治体がほとんどなので、筆記試験の勉強と同時に面接試験の練習も行いましょう。
 

面接カード(エントリーシート)の提出も必要

面接試験では、事前に面接カード(エントリーシート)を提出するのが基本です。面接カードは、民間企業のエントリーシートと同じく、名前や最終学歴といった基本情報、自己PR、志望動機などを記入します。
民間企業の場合、書類選考で通過者を決める判断材料としてエントリーシートを活用するケースが多いです。

一方で、地方公務員試験の場合、面接カードをもとに面接試験の質問事項を決める傾向にあります。
面接カードの内容だけで合否が決まるわけではありませんが、採用されるかされないかの重要な判断材料になることは間違いありません。

また、民間企業のエントリーシートはパソコンで作成するのも珍しくありませんが、公務員試験の面接カードは手書きで記入したほうが印象が良いと言われています。

自治体によっては、手書きで記入するように指定する場合もあるため、受験する自治体からの案内より記入方法の指定があるかどうか確認しておきましょう。

 

中卒で地方公務員試験に合格するための対策方法

地方公務員試験は筆記試験と面接試験の両方に合格する必要があります。
地方公務員試験の合格率は低く、中卒者に限らず目指すには非常に難易度の高い職業と言えます。

また、一次試験も二次試験も点数が一定基準に達しないと不合格になるので、十分な勉強時間を確保したうえで試験対策にしっかり取り組まなければいけません。

ここでは、中卒で地方公務員試験「初級(高卒程度)」に合格するための対策方法について解説します。
 

中卒で地方公務員試験に合格するための対策方法①過去問で繰り返し復習する

地方公務員試験の筆記試験対策として、過去問で繰り返し復習することが効果的です。
筆記試験の過去問を解き続ければ、出題傾向を把握できるメリットがあります。

また、問題を繰り返し解くことで自分の苦手分野を把握でき、効率的に勉強を進めやすくなるのも魅力です。
地方公務員試験の過去問は、教養試験対策用の参考書に掲載されています。
さらに、一部の自治体ではホームページに過去の試験問題を公開しているので、活用するのもおすすめです。

くわえて、スケジュールを立てることも効率的に勉強を進めるうえで重要なポイントです。
地方公務員試験「初級(高卒程度)」に合格するために必要な勉強時間は、約300~800時間と言われています。勉強時間を1日2時間程度と仮定すると、5カ月~1年以上前から本格的に取り組まなければいけません。

余裕を持って試験対策を行いたい方は、遅くとも地方公務員試験日の1年前から学習スケジュールを立てておくのがおすすめです。
 

教養試験の問題例

令和5年度東京都職員の3類採用試験の教養問題を2つご紹介します。

[No.17]3辺の長さが、10cm、17cm、21cmの三角形の面積として、正しいのはどれか。

1.84㎠
2.85㎠
3.86㎠
4.87㎠
5.88㎠

出典: 東京都職員採用「試験問題の公表 3類採用試験 教養(共通)」(参照 2024-07-08)

上記の数学問題は、「数的処理」に該当します。特に、図形や確率の問題は、各1題ずつ出題される傾向にあります。

[No.38]日本の選挙制度に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 衆議院議員選挙には、小選挙区比例代表並立制が導入されており、候補者は、小選挙区と比例代表の双方に立候補する重複立候補が認められている。
2. 参議院議員選挙には、都道府県単位の選挙区選挙と比例代表制を併用しており、比例代表選挙においては全て拘束名簿方式が採用されている。
3. 一票の格差は、平等選挙の観点から問題となっているが、最高裁判所が違憲状態と判断したことはない。
4. 民主的な選挙のしくみを担保するため、秘密選挙は憲法及び公職選挙法において禁止されている。
5. なりすましなど不正行為の温床となるため、ウェブサイトやブログなどインターネットを利用した選挙活動は、公職選挙法において禁止されている。

出典: 東京都職員採用「試験問題の公表 3類採用試験 教養(共通)」(参照 2024-07-08)

上記は「社会科学」に該当します。日本の選挙制度以外にも、国連の組織や国際条約といった国際政治に関する問題が出される場合が多いです。
 

中卒で地方公務員試験に合格するための対策方法②志望動機やよく聞かれる質問を事前にまとめる

地方公務員試験の面接試験対策を行う際は、志望動機やよく聞かれる質問を事前にまとめるのが効果的です。
志望動機については、「民間企業ではなく地方公務員を選んだ理由」を聞かれる可能性が高いです。そのため、しっかり答えられるように事前に考えておく必要があります。

ただし、面接試験の場合、筆記試験のように過去問を掲載した参考書やホームページはほとんどないため、公務員試験対策を行えるオンライン講座や就活サイトなどでどんな質問が出されやすいのか確認しておくのがおすすめです。

また、ハローワークの模擬面接を活用し、面接に慣れておくのも面接対策の一つとして有効です。
担当者から基本的な面接の流れやマナーを中心にアドバイスをもらえるため、就職・転職活動の経験が浅い方や面接時の対応に自信がない方は一度受けてみましょう。
 

面接試験の質問例

東京都職員採用試験の面接シート(面接カード)を参考に、実際に面接でよく聞かれる質問を見てみましょう。

【質問例】

  • 自己PRをお願いします。
  • 民間企業ではなく公務員を選んだ理由は何ですか?
  • あなたがこれまで力を入れて取り組んだことや、興味を持っていることを教えてください。
  • 最近興味を持ったこと(時事問題等)と、そのことに対するあなたの意見を教えてください。
  • この自治体を志望した理由は何ですか?
  • この自治体に採用されたらやってみたいことは何ですか?

参考:東京都職員採用「第2次試験・提出書類等の案内」(参照 2024-07-29)

基本的に、面接カードをもとに質疑応答が行われます。
インターネットで面接試験の質問例を調べるのと同時に、自治体のホームページからダウンロードして質問事項を把握しておきましょう。

ちなみに、面接カードは所定の期日までに記入して提出する必要があります。

面接カードに記入した内容を口頭でも言えるようにしておくのはもちろんのこと、質問事項の回答に対して面接官から深く追及された際もきちんと対応できるように備えるのも重要です。
 

中卒で地方公務員試験に合格するための対策方法③面接マナーや身だしなみも意識する

面接試験において、質疑応答と同じくらい重要なポイントなのがマナーや身だしなみです。

いくら完璧な志望動機やその他質問事項への回答を用意できたとしても、面接におけるマナーや身だしなみが悪いと心象が良くなく、最悪の場合は合否に影響する場合もあります。

面接マナーで意識すべきポイントは、以下の通りです。

  • 面接会場には10~15分前までに到着する
  • 面接の受付は5~7分前に済ませる
  • 入室時はドアを3回ノックし、「どうぞ」という声がかかったら「失礼いたします」と一言添えてドアを開ける
  • ドアを閉めた直後や挨拶時、着席時、面接終了時、退室時などは一礼する
  • 着席後は椅子に深く腰掛けず、背もたれに寄り掛からないように背筋を伸ばす

面接マナーについてさらに詳しく知りたい方は、以下も参考にしてください。

転職面接の入退室マナーに関する疑問に回答!

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また、身だしなみで意識すべきポイントは、以下の通りです。

  • スーツやワイシャツにシワや汚れ、ほつれなどはないか確認する
  • パンツの折り目がついているか確認する
  • ベルトの革部分が擦り切れたり汚れたりしていないか確認する
  • 靴を磨いておく
  • 靴のかかとがすり減っていないかを確認する
  • 清潔感のある髪型にする
  • 眉毛や鼻毛、ヒゲなどは処理する
  • 爪を短く切っておく

面接マナーや身だしなみは、第一印象を大きく左右します。

特に公務員試験はマナーや身だしなみも重視する傾向にあるので、面接官に良い印象を与えられるように、上記のポイントをチェックして、面接試験に臨みましょう。

面接での身だしなみについてさらに詳しく知りたい方は、以下も参考にしてください。

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中卒で地方公務員になったあとのキャリアパス

地方公務員は、学歴や年齢に関係なく長く活躍できます。また、キャリア面において選択肢が幅広いのも特徴です。

ここでは、中卒で地方公務員になったあとのキャリアパスを4つご紹介します。

  • 昇進を意識せずに働き続ける
  • 主任職・係長職へキャリアアップする
  • 異動をきっかけに新しいビジネススキルを身につける
  • 民間企業に転職する

地方公務員としてどんなキャリアパスがあるのか理解して、自分の将来像を明確にしていきましょう。
 

昇進を意識せずに働き続ける

地方公務員になったあと、昇進せずに現場で働き続けるキャリアパスがあります。
地方公務員は、十分な福利厚生が受けられるのはもちろんのこと、昇給できる仕組みができあがっているのも特徴です。

地方公務員の給料額は「俸給表」の「級」と「号俸」に基づいて支給されており、号給が上がるにつれて給料も上がっていきます。号給は、よほど勤務態度が悪かったり自治体の財政状況が悪かったりしないかぎり、毎年4号ずつ上がるのが一般的です。

このように、長く働き続けた分だけ確実に年収が高くなっていく地方公務員は、「業務の負担や責任が増える」「ワークライフバランスを保つことが難しくなる」「やりたい仕事ができなくなる」といった理由から、あえて昇進を目指さない人も増えています。

実際に、昇任試験の受験率が下がっている自治体も存在します。
今の働き方に満足できていて、このままプライベートを大切にしていきたいのであれば、現状のポジションを維持しながら勤続年数を積むキャリアパスも可能です。
 

主任職・係長職へキャリアアップする

出世欲があるなら、主任職・係長職へのキャリアアップを目指すのもおすすめです。
自治体によって違いはありますが、一般的に地方公務員の役職は以下の7つがあります。

  • 主事
  • 主任
  • 係長・主査・担当係長・次席
  • 課長補佐
  • 課長・担当課長・専門課長
  • 統括課長
  • 部長・担当部長

地方公務員としてキャリアアップを目指す場合、まず「主任級職選考」と呼ばれる昇任試験に合格して主任職に就く流れが基本です。昇任試験を受けるためには、所定の在職期間をクリアする必要があります。

たとえば、東京都の場合、3類採用者は少なくとも8・9年以上の1級職在職期間が必須です。事務系、一般技術系、医療福祉系になると、16・17年以上の1級職在職期間かつ40歳以上であることが求められます。

また、自治体の規模によって昇任試験の受験条件が異なります。「上級」の試験に合格した職員のみ受験対象となる自治体もあれば、一定期間働いた職員を対象に昇進試験への受験を許可する自治体もあります。

実際に、「初級(高卒程度)」の試験合格者が、管理職として活躍している自治体も存在するので、あらかじめ昇級試験の受験条件を確認しておくのがおすすめです。

昇任試験は、「択一問題試験」「論文試験」「面接試験」の3つを受けるのが一般的です。
択一問題試験の出題科目は、「地方自治法」「地方公務員法」「時事」「事例行政判断」「市政知識」などがあり、法律に関する基礎的な知識を習得できているかどうか問われる傾向にあります。

近年は、論文試験や面接試験の結果を重視する自治体も多く、どの試験においても地方公務員試験と同等に入念な対策は必要不可欠です。
主任へキャリアアップができれば、一定期間の勤務後に係長への昇任試験を受けられます。

異動をきっかけに新しいビジネススキルを身につける

地方公務員は3~4年に1回、部署異動があるのが一般的です。前の職場と異なる業務を担うため、新しい業務知識とスキルを習得できる点もキャリアパスの一つと言えます。

部署異動の頻度が高い理由として、「不正の防止」「職場の活性化」「職員の知識・スキル習得につながる」などが挙げられます。
仕事を通じて多くのことを学べる機会が増えれば、自分に合った仕事と出会える可能性が高いです。今まで明確な目標がないまま働いていた人も、部署異動をきっかけに新たなキャリアパスを見つけられるかもしれません。

なお、採用された自治体内での部署異動が基本ですが、都道府県庁に勤務している場合、引っ越しを伴うレベルの大規模な異動が発生することもあります。

また、地方公務員は、民間企業と同様に出向を命じられる可能性があるのも特徴です。主な出向先として、国の省庁、他の地方自治体、民間企業などが挙げられます。
 

民間企業に転職する

地方公務員を退職して、民間企業に転職するという手もあります。
地方公務員から民間企業へ転職する際は、メリットとデメリットの両方があることを理解しておきましょう。

メリット

デメリット

  • 成果を出せば昇給・昇進による大幅な収入アップを実現できる
  • 転職先によっては前職より労働環境が良くなる場合もある
  • キャリアパスが広がりやすい
  • 雇用面の安定性が低くなる可能性が高い
  • 地方公務員と同等の待遇を受けるのが難しい
  • 周囲から民間企業への転職を反対される可能性がある

公務員は昇給・昇格の基準や昇給額がしっかり決められているので、いくら実力が高くてもいきなり大幅に年収をアップさせたり、出世したりすることは難しいです。

一方、民間企業は実力主義の風潮が強く、仕事の成果を認められればすぐに昇給や昇格ができる企業もあります。
また、企業によっては公務員よりも福利厚生が充実していたり、働き方を選べたりするのもメリットです。

しかし、地方公務員から民間企業への転職は難しいです。その理由として、公務員と民間企業では業務の性質や求められるスキルが大きく異なることが挙げられます。
地方公務員で培ったスキルは、民間企業では通用しないと考える企業も珍しくありません。

万が一採用されたとしても未経験者として扱われるケースが多く、スキル次第では同時期に入社した人より給与面でマイナスのスタートになる可能性も考えられます。

「民間企業への転職を成功させたい」「いち早くキャリアアップを目指したい」なら、資格を取得しておくのがおすすめです。

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中卒で地方公務員に向いている人・向いていない人

地方公務員は民間企業に比べて業務や働き方が大きく異なる職業です。そのため、地方公務員を目指すなら、あらかじめ自分に適性があるかどうかをチェックしましょう。

ここでは、地方公務員に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。

向いている人

向いていない人

仕事に安定を求める人

どんどん出世して稼ぎたい人

細かい作業が得意な人

同じ環境で働き続けたい人

相手の立場になって考えることができる人

ルーティンワークに飽きてしまう人

人の役に立つことにやりがいを感じる人

大きい裁量を持って仕事したい人

中卒で地方公務員になるのに向いている人の特徴4つ

地方公務員に向いている人の特徴は、以下の4つです。

  • 仕事に安定を求める人
  • 細かい作業が得意な人
  • 相手の立場になって考えることができる人
  • 人の役に立つことにやりがいを感じる人

地方公務員は景気に左右されにくい仕事なので、安定した収入を得やすいのが特徴です。そのため、仕事に安定を求める人や長期的に働ける環境を探している人に向いている職業と言えます。

また、地方公務員は書類やルールを確認しながらの細かい作業が多く、コツコツと地道に取り組むことが求められます。すぐに結果が出る仕事ばかりではないので、細かい作業が苦痛に感じない人にぴったりです。

くわえて、地方公務員の仕事のほとんどは、地域やその住民を支える役割を担っており、住民の立場になって考えなければいけない場面も出てきます。そのため、「人のために働くことが好き」という人は、特にやりがいを持って働ける職業です。
 

中卒で地方公務員になるのに向いていない人の特徴4つ

地方公務員に向いていない人の特徴は、以下の4つです。

  • どんどん出世して稼ぎたい人
  • 同じ環境で働き続けたい人
  • ルーティンワークに飽きてしまう人
  • 大きい裁量を持って仕事したい人

地方公務員は、年功序列が基本となっており、スキルを問わず勤続年数を積み上げていかないと昇給・昇進が難しい仕組みになっています。
いくら成果を出してもすぐに昇進できるというわけではないため、若いうちから出世してどんどん稼ぎたいという人には不向きな職業です。

また、地方公務員は3~4年に1回のペースで人事異動が発生するので、やむを得ない理由がないかぎり同じ環境で働き続けることはできません。

新しい職場環境や業務に慣れなければいけないため、環境の変化に対応するのが苦手な人にとって、地方公務員の働き方はストレスに感じやすいです。

さらに、地方公務員の仕事は細かく決められたルールに沿って繰り返し行う業務が多いのが特徴です。そのため、ルーティンワークに飽きやすい人や自身の裁量で働きたい人は、地方公務員は向いていないと言えます。

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中卒で地方公務員になるメリット・デメリット

ここでは、中卒で地方公務員になるメリット・デメリットを解説します。
地方公務員は学歴を問わずなれるものの、採用試験が高難易度であるがゆえに、地方公務員を目指すかどうか迷っている人もいます。

地方公務員の道に進むか検討する際は、メリット・デメリットを判断材料の一つとしてお役立てください。

メリット

デメリット

地方公務員試験に合格すれば学歴を問わず公務員として働ける

仕事の成果がすぐ給与に反映されにくい

民間企業に比べて雇用が安定している

残業が多い部署に配属される可能性もある

福利厚生が充実している

昇進するまでに勤続年数を積む必要がある

中卒で地方公務員になるメリットは3つ

中卒で地方公務員になるメリットは、以下の3つです。

  • 地方公務員試験に合格すれば学歴を問わず公務員として働ける
  • 民間企業に比べて雇用が安定している
  • 福利厚生が充実している

地方公務員試験は、年齢さえクリアできれば学歴不問で受験可能で、中卒者も含めて誰でも公務員として働けるチャンスがあります。

ちなみに、公務員の初任給は学歴ではなく合格した試験のレベルに応じて決まるため、高卒程度の初級試験に合格した中卒者は、高卒程度の初任給を支給されます。

民間企業に就職する場合、中卒者の採用に積極的な企業は限られており、給与も高卒者と比べて低く設定されているケースも珍しくありません。
そのため、学歴に関係なく目指せる地方公務員は、安定した収入を得たい中卒者にとって魅力的な職業と言えます。

また、地方公務員は終身雇用が約束されており、民間企業に比べて雇用面で安定しているというメリットもあります。
さらに、地方公務員は福利厚生が充実しているのもメリットです。たとえば、以下のような福利厚生があります。

  • 地域手当や時間外勤務手当、通勤手当などの諸手当
  • 結婚休暇や忌引休暇などの特別休暇
  • 短期給付事業や長期給付事業
  • レジャー施設や映画、テーマパークなどの割引優待
  • 祝金、見舞金、弔慰金、退職金

特に職務関連や生還関連の手当が充実しており、好待遇を受けやすいのが魅力です。
 

中卒で地方公務員になるデメリットは3つ

中卒で地方公務員になるデメリットは、以下の3つです。

  • 仕事の成果がすぐ給与に反映されにくい
  • 残業が多い部署に配属される可能性もある
  • 昇進するまでに勤続年数を積む必要がある

先述した通り、地方公務員の給与の仕組みは、勤続年数や年齢によって決まる年功序列が一般的です。そのため、仕事で成果を出してもすぐ給与に反映される可能性は低く、若いうちから高収入を得るのが難しいデメリットがあります。

また、地方公務員は定期的に異動が発生します。万が一残業が多い部署に配属された場合、自分のプライベートが思うように確保できず体調を崩す可能性も否めません。

配属される部署によって労働環境は大きく異なるため、ワークライフバランスを重視したい人や新しい環境に慣れるのに時間がかかりやすい人は注意が必要です。

くわえて、地方公務員は所定の勤続年数をクリアしなければ、昇進試験を受けられません
「初級(高卒程度)」の試験合格者は、「上級(大学程度)」「中級(短大程度)」の試験合格者より勤続年数が長めに設定されている傾向にあることから、早期のキャリアアップができないデメリットもあります。

 

中卒で地方公務員になるためのおさらい

最後に、中卒者が地方公務員になるためのポイントをまとめたので、おさらいしておきましょう。

ポイント
【中卒で地方公務員になる方法】
・筆記試験に合格する
・面接試験に合格する

【地方公務員に向いている人の特徴】
・仕事に安定を求める人
・細かい作業が得意な人
・相手の立場になって考えることができる人
・人の役に立つことにやりがいを感じる人

【地方公務員になるメリット】
・地方公務員試験に合格すれば学歴を問わず公務員として働ける
・民間企業に比べて雇用が安定している
・福利厚生が充実している

地方公務員は、試験に合格すれば学歴を問わず誰でも目指せる職業です。
地方公務員試験に合格するのは決して簡単なことではないものの、無事に合格して採用されれば長く働き続けることができ、収入面でも安定した生活を送れるメリットがあります。

本記事を読んで地方公務員を本気で目指したいと考えた方は、さっそく今日から地方公務員試験の勉強を始めてみましょう。

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『メンズバニラネクスト』では最終学歴が高卒・中卒(18歳以上高校生不可)の転職先を探している男性に向けた求人情報を発信しています。ご紹介する高収入男性求人は、いずれも応募資格として学歴不問を掲げながら、大卒並み、あるいは大卒以上の収入を安定して稼げる求人ばかりです。さらに業界未経験であったり、特別なスキルがなかったりしても採用に前向きな求人が多いのも特徴。誰にでも平等にチャンスがあるため、実力次第でスピード昇給・昇進も実現できます。安定した高収入を得られたら生活に余裕ができ、やりたいことや将来の夢が広がることでしょう。そのほかにも転職活動にあたって気になる情報や知っておきたい知識、面接対策などを解説したコラムも掲載しています。「学歴に関係なく評価してくれる仕事に就きたい」「高卒でも安定して稼げる仕事を探している」という方はぜひチェックしてください。

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